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墨染交響楽団 第24回定期演奏会

「清新」という言葉がピッタリときた戻る


日時:2018年9月17日(月・祝) 14:00開演(13:00開場)
場所:文化パルク城陽・プラムホール

曲目:モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
   モーツァルト/交響曲第36番「リンツ」
   ブラームス/交響曲第3番
(アンコール)ブラームス/セレナード第1番 第4楽章「メヌエット」

指揮:大島正嗣


35才、気鋭の指揮者・大島正嗣さんを迎え「清新」という言葉がピッタリときた演奏会。 オーソドックスに振る大島さんでしたが(3曲ともに暗譜でした)、オケとの相性も良かったように思います。 指揮者とオケが一緒になってフレッシュで美しく響かせたモーツァルト(ホルンは2本ともナチュラル・ホルンでしたね)、正攻法でバランス良く鳴らしたブラームスは重厚でもあり、とても聴き応えありました(指揮者の手が完全に下がるまで沈黙を守った客席にも拍手)。

文化パルク城陽で開催されていたフリーマーケットを見てから(けっこうコレ楽しみなのです)10分前にホールに入場したら、お客さんがたくさん入ってました。 2・3階席は締め切られているので、今回もまたステージ近く、前から4列目 D-14 に落ち着くことにしました。 目の前は1st.ヴァイオリンの3プルト目かな、指揮者の表情もよく見えます(今月これまでの3回の演奏会、いずれも前方の席で聴いていて、右側・中央・左側に座ってますね)。 今回は周りにお客さんが少ないのと、座席が身体を包み込むような形状なので、のびのびと音楽に浸ることができました。

まずはモーツァルトの歌劇「魔笛」序曲。 指揮台に上った指揮者の大島さん。 長身でスリム、カッコ良いオトコですね。 指揮台の上でしばし沈思黙考したあと、さっと振って明るく透き通るようなファンファーレで開始。 冒頭こそ慎重でやや手探り感もありましたが、キビキビとした音楽として波に乗ります。
そしてファンファーレ、ここは明るくもおだやかな表情が良かったですね。 ここから不安げな雰囲気も滲ませながら、また快活な音楽としますが、低弦がうまく絡んで曲を支えているので軽薄にはなりません。 しっかりとした構成を保ちつつも、最後まで快活で美しい音楽としていました。 気持ちのいいモーツァルト、よかったですよ。

演奏が終わり、いったん奏者全員が楽屋に引き上げましたが、なんとホルン奏者の2人ともナチュラル・ホルンを持ってました(トランペットは、ロータリーでもなくピストン式でしたけど)。 ファンファーレのおだやかな表情もここから出ていたのかもしれませんね。

続いてモーツァルトの交響曲第36番「リンツ」、ここでもナチュラル・ホルンを持って奏者の2人が席に着きました。 弦楽器の編成は、先と同じく 10-8-6-6-6 の通常配置。

モーツァルトって聴きやすいけれど、そのように演奏するはとっても難しいと思っていますが、「リンツ」もまたとても気持ちの良いモーツァルトとなっていました。
第1楽章冒頭の充実した和音、堂々としながらも軽快さと落ち着きをも併せ持って進めてゆきます。 しなやかで弾力のある弦楽アンサンブル、落ち着いたトランペットや木管。 響きのキレの良さよりも、音のすき間を作らないよう、巧く各楽器の響きで埋めている感じかなぁ。 第2楽章、大島さんここでもていねいで几帳面に振り、落ち着いた響きでもって美しさを演出していたのじゃないかな。 第3楽章、ここでも響きのキレよりも響きの美しさをたっぷりとさせていたみたい。 終楽章、ここでぐっと力をこめてパワフルになりましたが、まろやかな響きによる音圧。 ていねいに音を紡ぎ、バランスよくオケを鳴らしていました。 若い指揮者と若いオケメンバーの一体感でしょうね。 各パートが主張しながらもよく纏まっており、清新なモーツァルト、気持ちいいモーツァルトとなっていました。

20分間の休憩をはさんでメインのブラームス。 オーケストラの編成が 12-10-9-8-7 に拡大しました。 その分、オケの響きに厚みと馬力が出ましたね。 正攻法でバランスのよく響かせた音楽として、終楽章のフィナーレではキレもあって十分に熱い音楽となりました。 熱く盛り上げ、そして静かに終わるエンディング、大島さんの腕が完全に下り切るまで拍手を待った観客もまた良かったですね。 若い熱気に縁どられた正攻法のブラームスをたっぷりと楽しませて頂きました。

第1楽章、力強いホルンなど管楽器と弦楽アンサブルに、強打のティムパニも交えてそれぞれの響きが綺麗にブレンドされた堂々の開始。 しっかりとタメを作り、若いオケらしくやや明るめの響きでした。 大島さん、しっかりと手綱をとってていねいに曲を進めますが、クラリネットなどやや大きめの音だったりして、オケからは覇気ある響きが垣間見えてきました。 第2楽章、ここでもクラリネットの響きがやや大きめだったかな。 落ち着いたヴァイオリンと、ヴィオラ・チェロの響きが左右よりステレオ効果で届いてきました。 第3楽章、チェロの深い響き、ヴァイオリンの旋律は憂いを秘めていますが、泣きが入るほど臭くなりません(この楽章、泣きを入れて演歌のようにするのが、けっこうお気に入りだったりしますが、若いオケと指揮者ではこうはなりませんね)。 ホルンは柔らかく素敵な響き。 ていねいにバランスとっていたのが印象的でした。 終楽章、分厚い響きながら見通しの良い開始、じっくりと溜めて、鋭く切り込む、充実した開始。 大島さんのコントロールのもと熱い音楽が整然と進み、ヴァイオリンがちょっとタメを作ってから冷静に熱くピークを形成。 そして明るい響きがなだらかに下りて(しみじみ感がないのが若さですね)静かに着地。 音が無くなり、大島さんが高く掲げた腕がゆっくりと下りて、十分に下がったところから拍手。 この静寂も良かったですね。 清々しい演奏でした。

若い指揮者と若いメンバーの多いオーケストラですが、常に正攻法であったように思います。 「清新」という言葉がピッタリときた演奏会でした。 聴かせていただいて、とても気持ちよくなりました。 有難うございました、そして、皆さんお疲れさまでした。


以下、未稿