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高槻フィルハーモニーオーケストラ 第12回定期演奏会

見晴らしの良い演奏が印象的戻る


日時:2018年12月9日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:高槻現代劇場・大ホール

曲目:ベートーヴェン/「レオノーレ」序曲 第1番
   メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
   (アンコール)J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番よりラルゴ
   メンデルスゾーン/交響曲第3番イ短調op.56 「スコットランド」
   (アンコール)J.S.バッハ/G線上のアリア

独奏:馬渕清香(vn)

指揮:白谷 隆


キビキビと動く白谷さんに率いられた小編成で小回りの利くオケとのコンビ、見晴らしの良い演奏が印象的でした。

弦楽器の編成は 8-7-6-5-4 の通常配置。 スコットランドなど個人的にはもうちょっとゆったりとして弦の響きをたっぷりととった演奏に馴染んでいるのですけれど、時おり弦アンサンブルのすき間より届けられる木管のフレーズなどにハッとさせられたりもし、興味深く聴かせていただきました。

またスコットランドでは、コンマスの楽器の弦が切れる(?)アクシデントがあり、予備の楽器を取りに後ろに走ったら、後ろのプロトの女性奏者が先にトラブル発生で予備器を既に使っていたり、ヴァイオリン・パートにとっては受難だったでしょうが、そんな影響を感じさせずしっかりと曲を進めておりました。 小編成なりのチームワークの良さかもしれませんね。

そんなトラブルのあったスコットランドでしたが、キビキビとした大きな振りで進める白谷さんのもとコンパクトで引き締まった演奏を展開。 第1楽章のクライマックスなどちょっと戦闘的な盛り上がりでしたね。 第2楽章冒頭のホルンとクラリネットの好演よりいきいきとした演奏とし、第3楽章もキレのよい動きの白谷さんより各楽器が絡み合っているのが垣間見えて面白かったな。 そして終楽章では動きを逆にコンパクトにした白谷さん、タイトな金管を交え、各楽器にスポットライトを当てる見晴らしが良く、活気ある音楽として締めくくりました。

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、白谷さん率いるメリハリを利かせたしっかりとした伴奏に、馬渕彩香さんの可憐でメロウな響きのソロで歌いあげていました。 馬渕さん、冒頭こそちょっと線が細いかなぁって思いましたが、終始オケと対峙して踏み込んで丁々発止となることはなく、常に曲を慈しむように弾き進めていたのが印象的でした。 対するオケは、オケのみになると少々ヴォリュームをあげて躍動的、しっかりと馬渕さんに寄り添ってフィナーレはスケール感を大きくとって全曲をしっかりと締めました。 両者正反対な感じですが、全体としては補完しあってうまく纏まっていたのではないでしょうか。

馬渕さんのアンコール、J.S.バッハの無伴奏も良かったですね。 暖かな音色ながら深遠でスケールの大きさを感じました。

冒頭のレオノーレ序曲第1番、白谷さんの両腕が大きく回して深い響きを導き出した堂々たる開始。 小編成オケらしく見晴らしの良い演奏で、慎重に音を紡いで進めてゆきます。 白谷さんの指揮を見るのは3回目ですが、しっかりと大きく振って、徒手体操みたいな面も。 分かりやすい指揮ではないでしょうか。 フィナーレも機械人形のようにカクカクっと動いてデジタルのように音量があがっていったようでした。

いずれもオーソドクスな解釈で、何度も書きますが見晴らしの良い演奏。 これでオケが冷たい響きになると解剖学的な演奏と言えるでしょうが、常に前向きで熱い響きに彩られた演奏となっていました。 ちょっとストレートにすぎた面も無きにしも非ずですが、面白く聴かせていただきました。 ありがとうございました。



以下、未稿