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紫苑交響楽団 第33回定期演奏会

立体感のある演奏はいずれも覇気に満ち、堂々とした演奏内容に脱帽戻る


日時:2019年3月3日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:いたみホール(伊丹市立文化会館)・大ホール

曲目:シベリウス/交響詩「フィンランディア」
   シベリウス/交響詩「トゥオネラの白鳥」
   チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割り人形」
   シベリウス/交響曲第2番
(アンコール)シベリウス/悲しきワルツ

指揮:牧村邦彦


牧村さんの指揮は多くを語りませんが、要所をしっかりと抑えたリード。 それにオケがしっかりと応え、立体感のある演奏はいずれも覇気に満ち、堂々とした演奏内容に脱帽です。

冒頭の「フィンランディア」、底力のある響きをたっぷりと鳴らして、最初からこんな全開で大丈夫かいな、と余計な心配をさせるほどの迫力満点の演奏。 パワフルなだけでなくオーケストラ全体の響きが琥珀色に輝いているみたい。 耳に馴染んだ曲ですが、見事なオーケストラ・サウンドに聞き惚れました。

「トゥオネラの白鳥」は透明感の高い演奏で、オペラ指揮者の牧村さんの本領発揮でしょうか、物語を知らない人でも白鳥の情景が目に浮かぶよう。 先の曲とは一転、沈んだ表現、透明感の高いやわらかな響き、コールアングレを始めとしてオケの巧さも際立っていました。

「くるみ割り人形」は組曲の8曲を演奏。 スタイリッシュな牧村さんの棒のもと、いずれの曲も特徴をうまく出していて飽きさせません。 最後の「花のワルツ」は華やかさを抑えてしっとり感を出したたっぷりとした演奏が上品でした。 どの曲も華やかだけど落ち着いていて、還暦を迎えた牧村さんの年輪が出ていた、のでしょうか(たしか同い年)。

休憩を挟んでメインの交響曲第2番。 密度の濃い演奏でした。
響きのすき間をきちんと埋めて歌い繋いでいった第1楽章、明るい響きながら密度の濃い演奏に曳き込まれました。 第2楽章では今度は間合いをしっかりととりつつも歌いつないでゆく。 キレの良さもあり、立体的でドラマティックでもありました。 張りのある弦アンサンブルに木管のアンサンブルも響きが絡み合って素敵だった第3楽章より、ゆったりと繋いだ終楽章、雄大な情景が目に浮かびました。 抜けるトランペット、パワフルなホルンやトロンボーンが目立ちすぎることなく、これらを背景にたっぷりとした弦アンサンブルが充実。 ここでも立体感のある演奏に心奪われました。 牧村さんの要所をしっかりと抑えたリードに見事に応えたオーケストラ、全員一丸となった熱い演奏でした。 これほどまでに熱くしかもクールでカッコ良い演奏に出会うとは思ってみませんでした。 うーんん、巧かった。

アンコールは、牧村さんのリードで今度は情感たっぷりな悲しきワルツ。 先ほどまでの真正面から真摯に曲に対峙した演奏とは一味違った感じですね。 さすが関西人、サービス精神も感じて、どっぷりと音楽に浸かった演奏会。 満足しました。 皆さんお疲れさまでした。


以下、未稿