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オーマンディのシューベルト「グレート」

恰幅の良いグレート(戻る

オーマンディによるシューベルトのグレート。 こんな演奏あったのか、と思わず買って帰って聴いてみたら、やっぱりオーマンディ/フィラデルフィアやなぁ、と妙に納得した演奏でした。 明るい音色が特徴的で、全ての楽器をよく鳴らした開放的な感じのする演奏。 小細工は一切なし。 噛んで含めるような感じもして、少々くどいと感じる人もいるかもしれませんが、実にあっけらかんとした恰幅の良いグレートですね。 小難しいこと考えずに、音楽を楽しみましょうよ、と語りかけられているみたい。 これはこれで面白い演奏でした。

このところのオーマンディのマイ・ブーム。 中古レコード屋さんでオーマンディのレコードがあると、手が止まってしまいます。 それでも、いかにもオーマンディ向け、といった曲ばかりで、たいていはそのまま元に戻すのですけど、「グレート」の録音があったとは気付きませんでした。 500円と、少し高い値付けでしたけど迷わず持ち帰りました。 ちょっと考えると、泰西名曲はたいてい録音しているでしょうから、「グレート」もあって当然と思ってしかるべきなのかもしれませんが。 何故か意識からすっぽりと抜け落ちてました。

ところでこのレコードは「オーマンディ音の饗宴1300 Vol.37」と題されたもの。 1977年発売で、録音は1966年12月28日と書かれています。 1日で録り切ったのでしょうか。 そう言われてみると、一発録り的な溌剌とした感じもしますね。 それにすっきりとした録音。 意外と良い音で収録されていることも、そんな風な躍動感を感じてしまうのかもしれません。

さて、オーマンディが指揮する演奏は、何か書物に、全ての楽器が等価に鳴る、そんな事が書いてありましたけど、この演奏でもどの楽器のどのパートも明快で見晴らしが良いですね。 裏で響きを支える、という感じではなく、全体的ぱぁ〜と鳴っている感じ。 だからでしょうか、この上もなく明るい演奏に仕上がっています。 
それにやや遅めのテンポでしょうか、ゆったりしたリズムがちょっと噛んで含めるようにも思えるのですけど、良い意味での軽さでしょうか、嫌味には感じませんね。 あっけらかんとしすぎ・・って思う人はいるかもしれませんけどね。

等価に鳴るといえば、第2楽章の冒頭。 低弦の歩みに導かれて奏でるオーボエによる主題も全然際立ってませんねぇ。 全ての楽器が同じ音量で鳴っている感じです。 華麗なるフィラデルフィア・サウンドで甘く奏でるなんてことありませんし、かなり淡々と演奏していますけど、そこから諦観のようなものを感じることもありません。 悪く言うなら、単に音が出て流れているだけ・・・でもね、これがオーマンディの魅力かもしれませんね。 小難しいこと考えずに、音楽を楽しみましょうよ、と語りかけられているみたいな演奏です。