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デイヴィスの戴冠ミサ

生命力あふれるモーツァルト(戻る

フィリップスの宗教音楽1300シリーズの1枚。 サーの称号を得る前のコリン・デイヴィスは若きモーツァルティアンであり、またベルリオーズの権威であった。 あいにくベルリオーズは廉価盤に登場しなかったので今でも疎遠なのだけれど、モーツァルトにはとてもお世話になった。 この戴冠ミサもよく聴いたし、同シリーズのグレート・ミサや、交響曲第39番もよく聴いた(購入したのはこの逆順だったような気がする)。 いずれも若々しく生命感のあふれたモーツァルト、聴いていて何より高揚感を与えてくれる。

この戴冠ミサはとてもカッコ良い演奏だと思う。 冒頭のキリエの部分など堂々としながらもふわっとした開始。 歌手はみな粒がそろっていて、優しい音楽を聴かせてくれるのだけれど、続くグロリアからはドライブがかった演奏で、ぐいぐいっと惹き込んでしまう。 スピードをぐんぐん上げてゆくあたり、とにかくカッコ良い。 ジョン・オールディス合唱団は少々ドロ臭い感じもさせながら、力のこもった合唱という感じだろうか。 クレードではフレーズにメリハリをつけ、ぐいぐいと音楽を高揚させてゆき、合唱、弦楽器、金管楽器が渾然一体となった終結部、ここでアーメンと歌うあたりでは、つい一緒に口ずさんでしまうほどのノリの良い演奏である。 サンクトゥスやベネディクトゥスの最後のホサンナの一節(Osanna in excelsis)なども少々やりすぎとも思えるほどの盛り上がり方なのだけれど、それもなんとなく許せてしまう感じ。 アニュス・デイになると一転、慈悲深い歌が続いて癒されるのだけれど・・・ またもやエンディングで合唱が入ってくると、ぐんと曲が大きくなる感じ。 堂々とした音楽で全曲を閉じるのだが、さすがコリン・ディヴィスは常にモーツァルトらしい柔軟さや洒脱さを失わせない。 しかし、どこかロックン・ロール世代のモーツァルト、そんな感じさえさせる生命力のあふれた音楽なのが嬉しい。

ところでこの宗教音楽1300では、チマローザやペルゴレージなどのミサ曲も持っていて、これらもよく聴いたものだ。 そして今でも時々中古レコード屋で見かけると、つい手が伸びる。 同じくデイヴィスによるモーツァルトのレクイエム、ヨッフムのバッハのロ短調ミサ、ブルックナーのテ・デウム(ハイティンク)とヴェルディのテ・デウム(ケーゲル)が1枚になったものなどをこれまでに捕獲している。 残念ながらデイヴィスによるベルリオーズのレクイエムにはまだお目にかかっていないのだが、是非とも捕獲したいと願っている。

最後にこの戴冠式のレコードB面には、若き日のキリ・テ・カナワの歌唱によるモーツァルトのエクスルターテ・イゥビラーテK.165も入っていることを付記しておきたい。