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ベーム/ウィーン響のモーツァルト「レクイエム」

遅いテンポ・圧倒的な迫力(戻る

フォンタナのグロリア・シリーズの1枚。 クラシック音楽を聴き始めた頃に出回っていた懐かしいレコードです。 ディスク・ユニオンで100円で買ってきましたが、冒頭は遅いテンポながら、次第に有無を言わさぬ強引とも思える直裁的なベームの圧倒的な演奏が展開されていきます。 そして各歌手も素晴らしいし(特に入祭文でのソプラノのランダルは惚れ惚れします)、合唱団もちょっと荒い感じがしますが、力強くてほんと素晴らしい演奏ですね。 そして、いわゆるレコードのB面に入ってジェスマイヤーが手を入れた部分では、どうしても音楽が弛緩してしまうのですけれど、ここではそんなことすら感じさせない押しの強さがあります。 サンクトゥス〜ホザンナの豪快とも思える押しの強い演奏には参りました。 これまで擬似ステレオなんで、この録音を避けてきた面もありましたが、それは全くの杞憂でした。 そんな些細なことを吹き飛ばすほどの堂々としたレクイエムに打ちのめされました。

ところでこのレクイエムの演奏には、「怖い系」と「癒し系」の2派があると思っています。 「怖い系」はリヒターやケルテスに代表される演奏で、ベームがウィーン・フィルを振った名盤の誉れ高いグラモフォンのステレオ盤は「癒し系」の筆頭ではないでしょうか。 このCDも持っていますが、はっきり言って掴みどころがなくって好きではありません(友人はナマコのような演奏と言ってましたが)。 しかし、ここでのベームは、ウィーン・フィルとの演奏とは対極にあるような感じさえします。 うーん、ウィーン・フィル盤も聴きなおしてみないといけないかもしれませんね。 とにかく、リヒターの演奏はモーツァルトはバッハの後に続くバロック世界の延長であることを教えてくれる演奏ですが、このベーム/ウィーン響の演奏は、モーツァルトがベートーヴェンにつながる古典派の大作曲家であることを伝えてくれているようです。 構成感をしっかりと持ちつつもモーツァルトらしさを失わない、ちょっと19世紀的すぎるかもしれませんが、堂々とした素晴らしい演奏だと思います。