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ゴルシュマンのメンデルスゾーン/イタリア交響曲、真夏の夜の夢

意外と緻密な正統派(戻る

ウラディミール・ゴルシュマン。 その名前からロシア人とは分かるけれど、そのロシア人がウィーン国立歌劇場管弦楽団を振った録音が何故あるのだろう・・・中学生の頃、レコード屋さんの店頭でキング・レコードの1,000円盤を見て何度首をかしげたことでしょう。 でも結局、なんだか胡散臭い感じがして1枚も買いませんでした。 雑誌「週刊FM」の廉価盤コーナーなどで推薦されていたら話は違っていたかもしれませんけれど、そんなこともありませんでしたし。 しかし今、こうやって聴き返してみると、意外と緻密で流麗な音楽作りが魅力的ですね。

ウラディミール・ゴルシュマンを調べてみると、1893年12月16日にパリで生まれたとあります。 ロシアのお金持ちだったのかもしれません。 パリのカントルムで学び、最初はヴァイオリニストとして活動、1919年にゴルシュマン・コンサートを企画して同時代の音楽を指揮したとのことです。 1923年にアメリカにデビュー。 1931年からセントルイス交響楽団の常任指揮者となって25年間その位置に留まり、1956年に名誉指揮者となって勇退。 その後も活動して1972年にニューヨークで没した経歴は、典型的なアメリカの指揮者でしょう。
あと、何故ウィーン国立管弦楽団との録音が多いのかについては、第二次大戦で疲弊した欧州に強いアメリカ・ドルでもって多数の録音をしたことによるものでした。 ゴルシュマンもその一つヴァンガード・レーベルに録音をしています。

さて歴史の時間はここまでにして、実際に音楽をかけてみましょう。
ロシア人、名前のゴルシュマンという言葉の響きから想像する強引な音楽とは違って、流麗でかつ緻密な音楽造りの正統派ではないでしょうか。

メンデルスゾーンのイタリア交響曲。 中庸な表現と言ってよいと思いますが、流麗で丁寧な音楽ながら覇気を失っていません。 ただし、第1楽章で印象的なトランペットのファンファーレがほとんど響いてこないのに驚きます。 解釈なのでしょうか、その代わりオーボエとクラリネットでしょうか、パホパホ吹いているのがクローズアップされているのが面白くもあります。 全般的に木管楽器をよく鳴らし、中低弦をまろやかでかつしっかりとさせた演奏は正統的な音楽造りです。 第1楽章の後半などステレオの左側から流れる高音弦がちょっと薄っぺい感じもしますけれど。

「真夏の夜の夢」からは序曲およびスケルツォ、夜想曲、結婚行進曲の3曲が収録されています。 こちらの序曲は緻密な音楽造りが魅力的です。 明るく柔らかで流麗な弦楽器をベースにし、木管楽器をクローズアップしながら進めます。 「夜想曲」のホルンはウィンナホルンでしょうか、柔らかな響きですね。 「結婚行進曲」の金管も落ち着きを感じさせてしっとりとした感じ。 「真夏の夜の夢」の音楽自体そんなに聴くことはなく、あまり好きな曲とはいえないのですけど、この演奏は強引なところが全くないのに聴かせる力を持っていますね。 お気に入りの演奏です。