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ベーム/VPOの「ジュピター」ライヴ

圧倒的なフーガ(戻る

コロムビア・ヒストリカル・レコーディング・シリーズ(VOX録音)によるベームとウィーン・フィルによるライヴ録音です。 録音年が記載されていませんが、1950年代ではないでしょうか、少々痩せ気味のモノラル録音ですが、ジュピターの終楽章はいつ聴いても圧倒されますね。 ウィーンフィルもベームに必死で付いてきているようです。 分厚いオケによる演奏は、最近の軽量級のモーツァルトに馴染んだ人には古臭く感じるかもしれませんが、ベームらしい無骨さが特徴的な男性的と言えるモーツァルトもまた良いものです。
このレコードは、たしか中学3年生ころに買ったんじゃないでしょうか、長いお付き合いなんですよ。 先日、ワルター/コロムビア響による「ジュピター」のレコードを買ったのです。 ワルターはこのとこと敬遠気味だったのですけど、とにかく安かった(60円)ので手を出したのですが、優しい眼差しというか、噛んでふくめるような演奏を聴いていたら、無性にこのベームの演奏を聴きたくなったというわけです。 やはりこっちが好きですね(もうほとんど刷り込み状態なんでしょう・・・ワルター・ファンの方、気を悪くしないでください。 ワルターがダメだなんて一言も言ってませんからね)。
それで、このウィーン・フィルとの「ジュピター」なんですが、最初にも書いたとおり、モノラル録音で、ちょっと音が痩せ気味なこともあるのですが、とても気合が入って聞こえます。 実際に結構燃えている演奏だと思います。 実にゆったりと堂々とした開始から徐々にスピードを上げて燃えていく感じです。 急緩をうまくつけてますが、歌う部分はそっけなくすぎていって、もう我が道を行っています。 でも、全体的に言えるのですが、弦楽器の音の後ろでウィーンフィル特有のホルンの響きなどほんのりとウィーンフィルらしさが聞こえてきます。 第2楽章は、ゆったりとした演奏ですね。 ここでも媚びを売るような場面は一切なく、無骨な表情で淡々と演奏しているという感じです。 第3楽章のメヌエットは堂々とした感じですね。 出だしはちょっと丁寧に表情をつけているのですが、主題がくりかえされるたびにだんだんと熱くなってきます。 そしてレコード盤をひっくり返した終楽章は、いきなり暴走するような感じなのに吃驚します。 いやもう圧倒的な演奏ですね。 第3楽章と終楽章を続けて聴けるといいのにな・・・と常々思っていますが、これは仕方ありませんね。 さて、どの程度暴走しているかというと、1961年にBPOを振ったグラモフォンのCDでは、この楽章は6分34秒なんですが(ちなみにCBSのクーベリック/バイエルンは6分39秒、デッカのカラヤン/VPOは6分12秒、CBSのバーンスタイン/NYPは6分40秒)、ここを5分55秒で駆け抜けていきます。 急緩をつけているので、ただ速いという感じではないですが、速い部分ではかなり巻きを入れた感じに聞えます。 そしてこれが4重フーガになっていますので、圧倒的な盛りあがりです。 いかにもベームらしい無骨さが特徴的な男性的なモーツァルトです。 やはりジュピターはこうでなくっちゃぁね、とひとりごちながら聴いてしまいます。