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エルヴィン・フィエルスタードのペール・ギュント

素朴さと粘り強さの魅力(戻る


出張時に300円で捕獲したキング・レコードの名盤集(Classical Library 1500)の1枚。 知らない指揮者だったので1回は購入を見送ったのだが、どこか気になるところがあったので次の出張時で捕獲した。 こおいう場合、売りきれていることが多いのだが... まぁ残っていたら残っていたで、また今度... というのが多いのだけど、これには霊感を感じさせるものがあったので持ち帰った。 ちなみに指揮者のフィエルスタードは、1903年ノルウェーのオスロ生まれの指揮者、作曲家、ヴァイオリン奏者であり教授とのことで、1983年に他界されているようだ。
さて演奏であるが、このレコードを手にしたときの霊感は当たっていた。 冒頭の「前奏曲」からグイグイと引き込まれてゆく。 力強い金管ファンファーレ、野太いヴィオラの響き、ちょっと間違うと単に粗っぽいだけになってしまいそうなのだが、そこはさすがにこの時代(1958,9年録音)のロンドン交響楽団は脂がのっていて絶妙のブレンドで楽しませてくれる。 そして続く「朝」も荒涼とした朝であるし、「オーセの死」も作り物っぽくない悲しさがひたひたと迫ってくるような演奏である。 これはめっけもんだ... と思って「クラシック名盤大全 管弦楽編」(音楽之友社)を確認すると、ちゃんと寺西さんのご推薦盤としてと載っているではないか。 知らなかった。 そしてここで寺西さんが「根源的な民族的生命感が脈打っている」と書かれている「山の王の宮殿で」の演奏も、重々しい低弦のピチカートやファゴットの響きから始まって地の底から鳴り響くような全奏を耳にすると頷けるような気がする。 気がする、というのはノルウェーの民族的生命感ってどんなものだがわからないからだけど、しかしまぁなんとなくそんなことをも納得させてしまうような、エレガントとはまるで対極的にあるが非常に魅力に富んだ演奏である。