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ブリュッヘンのテレマン/ブロックフレーテ・ソナタ集

晩秋の息遣い(戻る

ブロックフレーテの響きが似合う季節になってきました。 ブリュッヘンが吹くと、中学校で習っていた縦笛(リコーダ)がこんなにも雄弁な楽器だったのか、とその素晴らしい息遣いに感嘆していまいます。 そしてこのテレマンのソナタは、音域の跳躍もあって溌剌としています。 縦笛すら吹けないながらも、同じようにフッフッフゥ〜と息遣いを真似ながらついつい聴き込んでしまいます。 世間の嫌なことを忘れ、ただブロックフレーテの響き身を委ねるのもまた良いものだと思います。 ほんとうにそんな季節になってきましたね。

さてこのレコードはいつごろ買ったのかしら・・・よく憶えていません。 ひょんなことから最近発掘し、よく聴いています。 聴くきっかけになったのはこのレコードを録音したカセットテープの発見にありました。 以前、レコードを買うとすぐにカセットテープに録音していましたから、こんなテープが沢山まだ転がっています。 レコードが磨り減るのが嫌さに多くの方がこのような作業をされていたのではないでしょうか。 
しかしそんなカセットデッキも最近はまったく動かすことがありません。 先日、カセットテープの音源をパソコン経由でCD−Rに焼こうとしたんですが、セットデッキの不調に気付きました。 何度か操作を繰り返すうちに調子を戻してくれたので安堵したんですが、以来カセットデッキも時々動かすように心がけています。 何かの仕事をしながらBGMを流すときなどに利用しています。 このとき色々なテープを引っ張り出して断片的に聴くのですが、このテレマンのソナタ集が出色でした。 どこから聴いても本当に素晴らしい演奏に感激しました。

それで今度はレコードを引っ張り出し、プレーヤにかけてみて驚きましたね。 じつに素晴らしい息遣いがスピーカーの向こうから聞こえてきました。 感じられた・・・というのが正しいかもしれません。 確かに音楽の輪郭はカセットテープでも充分に分りますし、曲の面白さや気分のようなものは伝わってくるのですけどね、レコードの実力をまざまざと感じた瞬間でもありました。 
実際には実演にかなうものはないとは分かっていますけどね。 比較論として。

このレコードはテレマンの6曲のソナタで構成されています。 このうちA面の1曲目・2曲目とB面の1曲目・3曲目の4つが「忠実なる音楽の師」という曲集から取られているそうです。 この曲集の副題は「14日間の練習」と言うそうで、素人の音楽愛好家のために1728年にハンブルクから出版されたと解説に書かれています。 また残りの2曲は、やはり1720年以降にハンブルクで出版された「音楽練習曲」から取られているとのことです。 題名に比して後者は技巧的にかなり高いものが要求されているようですが、いずれにしてもブリュッヘンの操る技巧はもう見事としか言いようがないですね。 素早いタンギングと音の跳躍、愁いをこめたブレスなど、こんなにも表現力が豊かな楽器なのかと思わずにはいられません。 
暮れゆく晩秋、深みのあるブリュッヘンのブロックフレーテの音色を味わってみるのもいいものですよ。 できればレコードでね。