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エーリッヒ・クンツ、ウィーンを歌う

上質なポピュラー・ミュージックみたいな感じ(戻る

歌曲を取り上げることが少ないのは、どこか苦手意識があるんですね。 クラシックの歌唱というと、やっぱり堅苦しい感じがするでしょ。 それに、よく漫画なんかにあるように、下手なソプラノ歌手がギャ〜って唸ってるそばで耳を押さえている・・・そんなイメージが潜在意識の中にまだあるようです。 もっとも最近の日本人歌手の技術レベルは飛躍的に向上しているそうですけどね、まだまだ僕の苦手意識は払拭できないでいます。

さて、今回取り上げたエーリッヒ・クンツの歌う「わが夢の都ウィーン」。 このレコードは、そんな僕でも無条件に受け入れることのできる数少ないアルバムです。 いずれもウィーンの街を歌ったいわば街の歌です。 パリにシャンソンがあるように、ウィーンのヴィーナー・リートですね。 ま、ヴィーナー・リートというとシューベルトの歌曲なんかが有名ですけれど、このレコードにはそんな有名な作曲家による歌は入っていません。 オペレッタの一幕で歌われるような小粋なウィーンの歌ばかりです。 上質なポピュラー・ミュージックみたいな感じがして気に入っています。

エーリッヒ・クンツはウィーンで生まれた歌手で、そのクンツが生まれ故郷への愛情をこめて歌っています。 柔らかく甘いバリトンで、ほっとするような優しい歌声がとても素晴らしいんですね。 「ist Wien, ist Wien, mein Wien」なんて歌っているのを耳にすると、ついいっしょに口ずさんでしまったりもします。 聴いていると心地良くなる、これが本当に巧い歌手なんだなって素朴に思えます。

また演奏は、ウィーン国立歌劇場管弦楽団と日本語表記されていますが、ウィーンフォルクスオパー管弦楽団です。 指揮者のアントン・パウリクは、このウィーンフォルクスオパーの指揮者として1939年から、なんと亡くなる1975年まで活躍していたそうですから、この両者による伴奏もまた愛情のこもったものでしょう。 肩の力が見事に抜けて、のびやかで、肌合いの優しい音楽がとても素適ですね。 ウィンナ・ワルツとはまた一味違った、ほのぼのとした暖かさを感じさせてくれるウィーンの音楽です。

わが夢の都ウィーン
《エーリッヒ・クンツ、ウィーンを歌う》
SideA
1 わが夢の都ウィーン(シチンスキー)
2 グリンツィングの天国通り(フェーデル)
3 郊外のヴァハウでは(アーノルド)
4 ペンツィング教会(ドマーニヒ)
5 ウィーンによろしく 〜喜歌劇「マリッツァ伯爵夫人」より(カールマン)
6 おやすみ、わたしの可愛い坊やよ、おやすみ(アイスラー)
SideB
1 ようこそ皆さん(アダムの登場) 〜喜歌劇「鳥商人」より(ツェラー)
2 プラータ公園の春(シュトルツ)
3 ウィーンの辻馬車の歌(ピック)
4 世界が花束だったなら(トイフル)
5 ローバウにて(シュトレッカー)
6 わたしのママはウィーン生まれ(グルーバー)
エーリッヒ・クンツ(Br)
アントン・パウリーク指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団
ウィーン・シュランメルン(SideA-2,4,SideB-3)