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ウニンスキーのショパン/ピアノ協奏曲第2番

硬質なタッチから詩情豊かに歌いあげる(戻る

硬質なタッチから詩情豊かに歌いあげるウニンスキーの魅力ある演奏。
オッテルローの伴奏は少々ひっこみ気味なのは録音のかげんでしょう。 大きく包み込むような伴奏で、大らかさと爽やかさの両方を兼ね備えていて、こちらも豊かな詩情を感じさせます。
昔の演奏なので、まったりとした感じかなと思うとさにあらず。 スピード感もあって胸がすくような場面が散見。 凛としていて、清潔で、実に気持ちのいい演奏です。

ショパンのピアノ協奏曲って、いいメロディ、美味しいところは全てピアノが持っていってしまっているみたいだし、そういった意味でも好き嫌いの割りあいにハッキリした曲ではないでしょうか。
こんな甘ったるい曲のどこがいいんだろ、なんて長く思っていましたけど、素晴らしい演奏に出会うと曲の印象もまた大きく変わってしまいますね。

自身の経験としては第1番ですが、大阪シンフォニカーの第37回定期演奏会(1994年3月28日、ピアノ:三村和子、指揮:トーマス・ザンデルリンク)がターニング・ポイントになりました。
中でも第2楽章、三村さんがファゴットを見ながら合わせて歌い込んでいって、なんと綺麗な音楽なんだろう・・・と目(耳)から鱗が落ちるようでした。 素晴らしく気持ちの乗った演奏というのは、色々な先入観を見事に乗り越えてしまうようです。 それ以来、ショパンのピアノ協奏曲第1番が柄にもなく好きになってしまいました。

さて、このレコード。 2001年の夏頃だったかな、ジャケットの写真のロマンティックさに惹かれて手が止まり、さらにオッテルローがハーグ・レジデンシーを指揮していたの後押しされて買ったものです。
ピアニストのアレクサンドル・ウニンスキーは、1932年の第2回ショパン国際ピアノコンクール優勝者なのですけど、買ったときにはまったくそのようなこと知りませんでした。
なお初期フィリップスの音源ですが、アメリカでは当時CBSにライセンスされていたそうで、このレコードはEPICレーベル。 廉価レーベルですね。

ジャケットのデザインといい、ちょっと古い録音みたいですし、どこかしら古臭い感じのする演奏かな・・・と思いながら針を降ろしたのですけど、第2番のピアノ協奏曲のイメージを変える演奏の出会いとなりました。 

冒頭のオケの響きこそ痩せて聴こえ、モノラルかな、と思ったのですけど、レンジは狭いもののステレオ録音のようです。 しかし、聴き進むうちにそのような録音のことなどまったく気にならなくなりました。
ウニンスキーのピアノ、タッチが硬質で強いのですけど、繊細でクリアですね。 クリスタルの響きみたいに向こう側が透けて見えるような感じがします。 また両端楽章など強いタッチからスピード感もあって爽快。 中間の第2楽章は、そのタッチが凛とした響きで甘くならず、でも詩情豊かに歌う真摯なショパンに魅了されました。 
ショパンの第2番のピアノ協奏曲、どこかしら若書きで、ぎこちないイメージがありましたけど、そのようなイメージを大きく変えた洗練された演奏です。