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カラヤンのJ.S.バッハ/管弦楽組曲第2・3番

巧さが滲み出てくるような演奏(戻る


最近、ちょっと室内楽やバロック音楽づいている。 たぶんにならチェンバーの演奏会の影響が強いのだけれども、春のうららかな日にはこのような音楽がよく似合うと思う。 ところでカラヤンがベルリンフィルを指揮したバッハの管弦楽組曲は個人的にとても懐かしい演奏である。 中学2年生の時にフェスティヴァルホールで見た記憶がある・・・ といっても映画なのだけれど、たしか数百円の入場料を自分の小遣いから出し、生まれて初めてのフェスティヴァルホールにわくわくしながら入ったことを思い出す。 映画では、大きな画面にカール・ハインツ・ツェラーがフルートを吹いていた顔が大写しになっていたのをよく憶えている(第2番)。 もちろんカラヤンのアップもふんだんに入っていたはずなのだが、こちらは全く印象には残っていない。 当時から、すでにアンチ・カラヤンだったとは思えないのだけれど、ツェラーさんばかり憶えている。 さてこのレコードは、昨年カラヤンが振ったヴィヴァルディの四季のレコードがとても素晴らしい演奏だったので、続いてハンターで 300円で捕獲したもの。 でもこのレコード、あの四季のような強いインパクトを受けることなく、ちょっとがっかりして放置していた。 しかしこのところ上記で述べたような室内楽のマイブームだし、ちょっと身体も疲れ気味なので、あっさりと楽しめるかな、とこのレコードを取り出してみた。 最初はふぅ〜んと気楽に聞き流していたのだけれど、でも味わえば味わうほどに巧さが滲み出てくるような演奏だということに気付いた。 これが録音されたのは1964年。 当時のカラヤンらしい颯爽とした場面を以前は期待していたのだけれど、巧さが光っている。 ヴィヴァルディとバッハの違いだろう、ここでは音楽を勢いにまかせることななく、バッハらしく逆に緻密に計算しつくしているみたい。 そしてベルリンフィルという類稀な音楽集団を率いて、そのバッハの音楽の世界を構築している。 しかし巧いのは、流れ出てくる音楽がまったく硬直化することない点で、これが聞き手の安心感に結びつくような感じ。 G線上のアリアなど、まさしくアダージョ・カラヤンなのだろうなぁ(このてのCDは買う気はさらさらないけれど)。 とにかく、聴けば聴くほどにカラヤンの巧さを感じるばかり。 強いインパクトはないけれど、その実とりこになるほどに、カラヤンの手中で遊ばせてもらっているかのような感じさえしてきた。