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カラヤンの「四季」

意外や意外、細やかで繊細、率直で爽やかな四季(戻る


数寄屋橋のハンターで100円で捕獲したレコード。 多量に在庫があったなかで状態の良さそうなのを興味本位で捕獲したが、これはとても素晴らしい四季だった。
このレコードが録音された1972年、僕はようやくクラシック音楽を聴き始めていたころである。 当時1000円盤と呼ばれていた廉価盤しか買えないこともあって、大のアンチ・カラヤンだった。 そしてこの四季のレコードが出たことは覚えているし、FMでも聴いたはずなのだが、カラヤンは金儲けのためにバロックまで演るのかよ... というだけの記憶しかなく、演奏の記憶はまるでないのである。 しかしそんなアンチ・カラヤンだった僕も齢を重ねるにつけ、デッカ録音を中心に1970年代ころまでのカラヤンは許容できるようになった。 そして曲の特質と自分の個性を強くぶつけあう若いカラヤンに大いに魅力を感じている。 そしてこの四季もそんな魅力を求めて捕獲したのだった。
さて、カラヤンの演奏というと、良くも悪くもどこか作為的なものを感じさせるのだが、意外とこの四季にはそんなものをまったく感じさせない。 じつに繊細でかつ率直な演奏である。 さすがにベルリンフィルは巧くて、各楽器から出てくる音楽の造形がきちんと整理された演奏である。 そしてまた音の繋がりが実にスムーズでまろやかである。 強いて言えばこの点がカラヤンらしい点だろうか。 それでも後年のカラヤンのようにベタつくような感じはまるでない。 爽やかな演奏である。 ベタつくといえば、かえってイ・ムジチなどのほうがヴィルトージォ的でしつこい感じがするほどだ。 逆にまた同じドイツのミュンヒンガーの四季のように硬質で堅牢な感じがしない。 これはオケの巧さなのか、それともカラヤンの才覚なのか。 オケはジャケットの写真によると第1ヴァイオリン6名、第2ヴァイオリン5名、ヴィオラ4名、チェロ3名、コントラバス2名である。 なお通奏低音はチェロ(エーバーハルト・フィンケ)、チェンバロ(ホルスト・ゲーベル)がクレジットされているが、ほとんどチェンバロの音は聞こえず、チェロで演奏されている。 これもまろやかさの要因だろう。 そして最後になったがシュヴァルベのヴァイオリンが柔らかい響きであるのもまた何よりの魅力である。 これほどの演奏なのに最近忘れ去られているのもまた「カラヤンの」だからなのだろうか。