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カラヤンのシベリウス交響曲第6、7番

磨き抜かれた宝石のような演奏(戻る

こう暑いとなると涼しげな音楽が欲しくなり、出してきたのがこのシベリウスの交響曲第6、7番。 シベリウスの交響曲についても、まったくもって良い聞き手とは言えなくて、特に第4番以降は苦手といってもいいのですけれど、カラヤンの聴かせ上手な指揮にも支えられたこの盤は別格かな。 ベルリン・フィルの磨きぬかれたサウンドが時には煌くようにもなるし、機動力を持ってどっと押し寄せてもくる。 カラヤンとベルリン・フィルのコンビでしか成し得ないような緻密で豊穣な響きの演奏が冴え渡っています。 純音楽的に楽しめる1枚です。

このレコード、グラモフォンの廉価盤レゾナンス(1,500円盤LPのほう)。 岡俊雄さんの解説が詳しく書かれていて勉強になります。 これもLPレコードの楽しみの一つです。 そして解説の最後には以下のような記載もあります。 なるほどと思えるので、長文ですが引用したいと思います。

シベリウスはマーラーよりも5年おそく、1865年に生まれ、マーラーとほぼ同時代に創作活動を行っていた。 (マーラーは1911年に死んでいる)。 近年の最大のシンフォニストとして、シベリウスとマーラーの足跡は偉大なものであったが、その作品はまったく対照的である。 交響曲の巨人的な方向をひたすら追求したマーラーにたいし、これを極端に圧縮し純度を高めたシベリウス。 そのシベリウスが単一楽章の第7番にたどりついたあと、ついに筆を絶ってしまった理由が、この曲をきくとわかるように思われるふしがたいへん多い。

確かにそんな感じですよね。 第6番など、1〜3楽章が完結せず唐突に終わってしまいますし、終楽章もそれを解決するでもありません。 ただただ美しい音楽が流れていって終わってしまう、そんな感じさえします。 これを北欧らしい情緒性で流すのではなく、純音楽的にカラヤンは処理していますよね。 美しい音楽はあくまでも美しく、厳しい音楽はより厳しく対処する。 そんな感じではないでしょうか。 

第7番、単一楽章として更に純化された世界。 低弦や低音管楽器が十二分な陰影を付けられる緻密なベルリン・フィルだからこそ成しえたのかもしれません。 透明な音楽が流れ出てきます。 しかも終盤には機動力をもって逞しく、輝かしい光を放ったのち、磨きぬかれた弦楽器でアダージョに。 そして最後は雄大さと威厳を持った響きで全曲を綴じて見事。 聴かせ上手なカラヤンの指揮が冴え渡っているようです。 

確かにインターナショナルな音楽になっているかもしれませんが、この曲の音楽的な魅力をこれほどまでに呈示してくれるような演奏はあまりないのではないでしょうか。 そういった意味で楽しめる1枚です。