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シュナイダーハンのスプリング・ソナタ

優雅な気品を感じさせるベートーヴェンのソナタ(戻る


ヴォルフガング・シュナイダーハンが 2002年5月18日 86歳で亡くなったとの記事が23日付けの朝刊に載っていた。 哀悼の意をこめ、お気に入りのスプリング・ソナタとクロイツェル・ソナタのレコードを聴いている。 優雅なヴァイオリンの響きにはまったく押しつけがましいところがない。 気品にあふれている。 ヘリオドールの緑色のジャケットを見ながら、これを初めて聴いたとき、虜になってしまったことを思い出した。 しばらくこのレコードばかり聴いていたことがあった。 社会人になってから中古で購入したレコードで、なんとなくクロツェル・ソナタが欲しくなっていたときだった。 そんな時に偶然中古で見にとまり、まぁウィーンの人だからいいのじゃないかと・・・ そんな後ろむきな理由で購入したので、とくに期待はしていなかった(失礼だけれど事実それまでシュナイダーハンのことは名前も知らなかった)。 あとは安かったからという以外の理由は思い出せない。 とりあえず、当時の慣習としてまずカセット・テープにダビング、通勤時間にウォークマンで聴いたが、なんと耳あたりの良い響きと、よく歌うヴァイオリンにぐいっと心が捕らえられてしまった。 あわててレコードで聴きかえしたものである。 特にスプリング・ソナタが彼の優しいヴァイオリンの風合いによく似合っていて素晴らしいと思う。 クロイツェルも個人的には好きだが、もっと密度の濃い演奏を好まれる方が多いように思うが、どうだろうか。 また伴奏のカール・ゼーマンは、オルガニストからピアニストに転向した人とのこと。 素朴で線の太いピアノで曲をきっちりと支えている。 この太い響きの上でこそシュナイダーハンのヴァイオリンの優雅な響きに品格が備わり深い味わいを持たせているように思う。 オイストラフのような密度の濃さや、ズスケのような端正さもいいけれど、シュナイダーハンの抑制された優雅さのほうがスプリング・ソナタにはよく似合っているんじゃないかな。 ウィーン情緒を醸し出した演奏というと、なんとなく分かったような気にさせてくれる演奏である。
1998年12月に日本グラモフォンのみの限定盤としてシュナイダーハン1200のCDシリーズが出ていた(今もアンコール・プレスとして出ているらしいが)。 この時、やはりスプリング・ソナタの入ったCDを購入したのが手元にある。 東京駅構内のCD店であれこれと手にとってみたが、やはりスプリング・ソナタを買ってしまった。 シュナイダーハンが演奏するヴァイオリン協奏曲は聴きたいとは思わない、室内楽で気品にあふれた演奏をする人、というイメージが強い。 そして今、シュナイダーハンをCDで聴きたいとも思わない。 たしかに手軽に聴くにはCDだろうけど、シュナイダーハンの響きにはアナログの柔らかさががよく似合っているから。 黙祷。