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エーリッヒ・クライバー/ACOの田園交響曲

快速・優雅・そして熱き名演奏(戻る


1956年に66歳で亡くなったエーリッヒ・クライバーの田園交響曲は言わずもがなモノラル時代の決定的名盤。 またカルロスの父親としても興味はあったけれど、歴史的名盤の愛好者ではないし、これまで何度か購入の機会はあったけど、その都度他に欲しいものを優先させて見送ってきたエーリッヒ。 ようやくロンドン不滅の名盤シリーズ(1300円盤)の美麗盤が300円で出ていたのでやっと捕獲とあいなりましたが、針を降ろしてみて吃驚しました。 モノラル録音ながらなんと若々しく瑞々しい音楽なんだろう。 まいりました。
針を降ろしたとたん、明るく軽快なテンポで進む第1楽章にまず吃驚。 なんと若々しい現代的な感覚なのでしょう。 しかしよく聴くとフレーズの終わりを綺麗に流しこんでいてなんて美しいんでしょう。 流麗とはこおいうことを言うのですよ、と見せつけられて(聴かせられて)いるようなお手本で、いやぁもう痺れました。 そして第2楽章に入ると、今度はゆったりと優雅に歌いあげていくようです。 それがまた微温的に流しているのではなくしっかりとしている。 ソロ楽器のフルート(うぐいす)、オーボエ(うずら)、クラリネット(かっこう)がいずれも渋い音色だし、浮き立つことなく渾然一体となって演奏を盛りたてていて、ゆったりと音楽が進むのをうっとりと聴きているだけで、なんかじわじわっと感動がこみあげてきます。 さて盤をひっくりかえしての第3楽章は、軽快さと緻密を併せもった熱演でしょう。 コンセルトヘボウ管が自在に鳴っていて巧い。 モノラル録音なんですがロンドンの ffrr で細部までくっきりと聞こえていてかつ芳醇な音はアナログ盤での特権でしょうね(もっとも高級CDは持ってないので比較できずの自己満足モードですが)。 第4楽章は弾力のある演奏。 ティムパニやコントラバスの音に粘りがあって耳にささるような刺激的な感じはしないけど底力を感じさせる演奏で終楽章に突入すると、今度は中弦のなんとよく歌っていること。 オケはやっぱり弦楽器が巧くないといけないというお手本を聴いているよう。 確かにホルンの地味な音色もとても魅力的だけれど、ここは弦楽器全体が絡み合って歌いあう熱さが何より素晴らしい演奏ですね。 そして壮大に盛りあがったあと、すっと退いて、終結部はまったく媚びずにタンタァーンとさらっと終わったのがまたなんとも現代的。 いやこれはもうベーレンライター新版がどうのこうなんて言ってる場合じゃないですね。 本当にまいりました。