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アンソニー・コリンズ/ロンドン響のシベリウス交響曲第1番

男性的、豪胆なシベリウス(戻る


アンソニー・コリンズといえばシベリウスのスペシャリスト、そのことは知っていたが、CD時代にはなかなかお目にかかる機会がなく、1年半ほどまえにハンターで確か300円で捕獲したロンドン不滅の名盤シリーズ(定価1,200円)のレコードである。
アンソニー・コリンズについては、セラフィムの1,000円盤でコリン・デイヴィスとモーツァルトの交響曲第39番(コリンズ)と40番(デイヴィス)を振り分けたレコードを持っていたので、イギリス紳士的な節度をもった音楽をする人のイメージがあった。 が、このシベリウスの交響曲第1番はじつに男性的である。 特筆すべきは、何といってもティムパニの強打だろう。 全編にわたってティムパニを豪胆に打ち鳴らすさまに少々唖然としながらも、ぐいぐいと惹き込まれてゆく。 シベリウスの交響曲が単に北欧の叙情と幻想のヴェールに包まれた掴み所の無い音楽ではなく、古典性と構成感をもった熱い音楽であることを教えてくれる。 第1楽章の冒頭のティムパニのトレモロ、クラリネットの旋律こそ控えめであるが、主部に入るといきなり熱い。 コリンズはじつにダイナミックに音楽を展開させてゆく。 劇的な音楽である。 これは特に第3楽章のスケルツォで顕著。 ティムパニの強打につぐ強打、オケが少々遅れ気味になるほどの熱く速いテンポで音楽を推進させている。 トリオの部分では逆にテンポを落として層の厚い音楽を切れ味良く演じわけたのち豪快に結んでいる。 終楽章のほの暗い導入部からじわじわと盛りあがってゆき、息もつかせぬほどの劇的なアレグロ、充分な呼吸をするアンダンテがみごとに交錯する幻想的な音楽となっている。 豪快なだけではなく、胆力のすわった見事な演奏である。 全7曲すべて聴いてみたい。