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ケンペ/バンベルグ響のブラームス交響曲第2番

音楽の流れを大切した演奏(戻る

ケンペのブラームスの交響曲全集はミュンヘン・フィルのをLP時代から聴いていましたが(CDでも持っていますがLPのほうが迫力あるみたい)、バンベルグ交響楽団を振った第2番ってのもあったのですね。 オイロディスク原盤ですが気付きませんでした。 

このレコードもコンヴィチュニー/VSOのロマンティックのを見つけたとき、同じく 300円で投げ売られていたもので一緒に救出してきました。 1963年6月4/9日録音と書かれていますから、ミュンヘン・フィルとの録音(1975年)の12年前の録音になります。 干支でちょうど一回りということですね。 

今回ともにLPで聴き直してみましたが、基本的な解釈はまったく変わっていないようです。 オケの差でしょうか、あと若さもあるのかもしれませんが、バンベルグ交響楽団との録音のほうが若干熱くなっているように感じる面を感じました。 いずれにしても良い意味での中庸で素晴らしいブラームスです。 意味不明なんですが・・・ブラームスらしいブラームスといった感じの演奏ですね。

ところでこのレコード、1977年5月に日本コロムビアが出した「正統をつたえる十人の指揮者たち」というシリーズの第1枚目でした。 トップバッターがこのルドルフ・ケンペで、このあとには以下の人達が並んでいることがジャケット裏面に書かれていました。

フランツ・コンヴィチュニー(ゲヴァントハウス管、ブルックナー/交響曲第7番)
クルト・ザンデルリンク(ベルリン響、シベリウス/交響曲第5番)
クルト・マズア(ゲヴァントハウス管、メンデルスゾーン/交響曲第4・5番)
ハンス・スワロフスキー(チェコフィル、マーラー/交響曲第4番)
ジョン・バルビローリ(チェコフィル、フランク/交響曲ニ短調)
ジャン・フルネ(チェコフィル、ドビュッシー/夜想曲、交響詩「海」)
カレル・アンチェル(チェコフィル、ヤナーチェク/シンフォニエッタ、タラス・ブーリバ)
ズデニック・コシュラー(チェコフィル、シューベルト/劇音楽「ロザムンデ」より)
ヴァーツラフ・ノイマン(チェコフィル、ドヴォルザーク/交響変奏曲、スケルツォ・カプリチオーソ他)

拙サイトでは別の意味で取り上げているスワロフスキーとフルネ以外はLP/CDの感想で登場するので、けっこう王道をいっているのかな・・・とも思ってみたり・・・(ウソウソ)

さてこの演奏、ケンペらしい造形のしっかりした演奏なんですが、人間的な暖かみも充分に感じさせてくれます。 先にも書いたとおり、ミュンヘンフィルのとの演奏とは大きく違ったところは無いように思います。 気付くのはティムパニの音がやや抑制されていることでしょうか。 しかしこれも録音の加減のように思います。 対位法的な弦楽器のフレーズの対比や受け渡しの妙は相変わらずですし、管楽器のフレーズの浮かびあがらせ方なども控えめで素直。 とりたてて目だったりもしないのですが、やや響きが素朴な感じに思えるのはオケの違いでしょうか。 特に第3楽章の木管楽器の響きなどそんな風に思います。 

しかしいずれにしてもフレーズを追いかけ、響きの調和に耳を傾けるとき、真摯なブラームスの音楽にのめり込んでしまいます。 大向こうを唸らせるような大仰な音楽ではないけれど、じつに巧い演奏だなと思います。 若干このバンベルグ交響楽団との演奏のほうに気負いのようなものを感じますが(第4楽章の冒頭など)、やはり若さなんでしょうか。 でも音楽の流れを大切した演奏には違いなく、先のコンヴィチュニーのブルックナーのロマンティックといい、このブラームスも大変に聴き応えのある演奏で満足しました。

蛇足: ケンペ/ミュンヘンフィルのブラームスの交響曲全集はCD(PILZ/ACANTA)よりもLP(TEICHIKU/BASF)で聴くほうが重厚感があって良いようですね。 CDではともすると甘く聞こえがちな感じがしました。