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クルト・レーデル バッハの息子たち

バッハ一族の広がり(戻る

よく売れたのでしょうね。 中古レコード屋さんに行くと今でもよく見かけるのがこの「バッハの息子たち」のアルバム。 クラシック音楽を聴き始めたころ、僕もこのレコードが欲しい時期がありました。 けど、月の小遣いが 1,000円の時代でしたから、他の作曲家に投資していたらバッハの息子さんにまで手が届きません。 ようやく御茶ノ水ディスクユニオンで帯付きの美麗盤を捕獲しました。 さすが大ヒット・アルバム。 いずれの曲・演奏ともに魅力ありますね。 理屈抜きに楽しめますし、バッハ一族の広がりを感じさせてくれるアルバムです。

当時はバロック音楽ブームといってもいい時代でしたね。 FM放送の早朝にはバロック音楽の番組もありました。 皆川達夫さんや服部幸三さんによる「バロック音楽の楽しみ」。 寝床でよく聴いていたものです(当時から早起きでした)。 年始には「ニュー・イヤー・バロック」なんていう番組もありました。

廉価盤では、クルト・レーデルとパイヤールの演奏を多く含んだエラート盤をレコード店で繰るのも楽しみでした。 ほとんど買えませんでしたけどね、J.Cってヨハン・クリスチャンで、C.P.Eはカール・フィリップ・エマニュアルなんて覚えたもの、このときの立ち読みによる成果だと思います。

さてこのレコード、A面には C.P.E.バッハフルート協奏曲ニ長調 が収められています。 既に持っているクワァンツのフルート協奏曲みたいだなぁと思って聴いていましたけど、第3楽章がシュトルム・ウント・ドランク、疾風怒濤期の様式なんですね。 劇的な表現が折り込まれていて聴き応えあります。 ハイドンの影が見えるようです。

B面の最初は、J.C.バッハシンフォニア第2番変ホ長調作品9。 ロンドンのバッハとしてモーツァルトの先生になったのは後年のこと、こちらは初期の作品です。 快活な第1楽章もいいですが、第2楽章がロココ風で優雅で繊細な音楽が心に沁みます。 モーツァルトへの橋渡しといっては失礼かしら。

B面の最後は、W.F.バッハシンフォニア ニ短調。 J.S.バッハの長男、ウィルヘルム・フリーデマンは奔放な性格で恵まれない境遇だったようですが、一番音楽的な才能が高く、J.S.バッハに近いといわれていますね。 このシンフォニアはそれを示す名曲でしょう。 フルートとオーボエが交差する哀愁の第1楽章からフーガとなる第2楽章が続けて演奏されて、深遠な曲想といい交差する簡素な響きの中に漂う雰囲気は大バッハの面影を垣間見せます。

そしてこれらを演奏するレーデルさん、自身のフルート演奏においても、厳しく真摯に演奏しているのですけれど、その響きの中には温もりを感じます。 安心して音楽に身を任して聴いていられるのはいつもどおり。 このレコードもまた理屈抜きに楽しめますね。