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クルト・レーデル バッハ演奏会

ゆるりと楽しみましょう(戻る

このところ暑いでしょ、それに身体も元気ないこともあって、「ゆるり」という言葉を気に入って使っています。 「ゆるり」とやりましょう・・・てな感じですね。 でも、ちょっと言い方を変えて「ゆるい」にすると・・・ニュアンスが違ってきます。 とくに音楽では「ゆるい」というと、惰性で流すような、良い意味ではなくなってしまいますね。 でも、このクルト・レーデルのバッハ演奏会のアルバム。 音楽は決して「ゆるい」ものではありませんけど、気持ちを「ゆるり」としてくれるアルバムです。

クルト・レーデルさん、このサイトでは常連のように採り上げています。 それだけ影響力があったことはこれまでも述べているとおり。 今回も中古レコード屋さんで見かけたので、即連れて帰ることにしました。 エラート1000シリーズの1枚です。

冒頭の、コラール「主よ、人の望みの喜びよ」(カンタータ第147番より)から、暖かな日差しを浴びるような心地になりますね。 ほんと気持ちが癒されるみたい。 バッハはかくあるべし、そんな感じは微塵もありません。 
「シンフォニア・パストラール」はクリスマス・オラトリオの第2部に演奏されるカンタータの冒頭。 パストラールとは、羊飼いの音楽との由。 いつもながらLPジャケットの解説は勉強になります。
オーボエ協奏曲、ピエール・ピエルロ、この人もエラート盤の常連ですね。 ちょっと線が細い感じがしますけど、端正で控えめな演奏。 おしつけがましさなどなく、第2楽章などそこはことない色香が漂ってくるようです。 血気盛んだった中学生の頃には絶対に見向きもしなかったように思いますね。

B面は、ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲。 どこかで聴いたと思って、解説をよく読んでみると、2つのチェンバロのために協奏曲の原曲らしいですね。 原本が失われているための復元なんだそうです。 こちらのオーボエもピエルロさん。 第2楽章、時間が「ゆるり」と流れてゆくように感じさせ、しみじみとしちゃいます。
続いて「幻想曲とフーガ」とクレジットされてますけど、「アリア」が流れます。 いわゆるG線上のアリア。 ミスプリですね。 そんなことはともかく、控えめでしっとりした演奏で、低弦のやさしい響きがなんとも魅力的です。
そして「幻想曲とフーガ」、BWV908 なのでクラヴィーア曲からの編曲。 前半は管弦楽組曲風にまとめられ、後半の二重フーガもまた見事な真摯な演奏だけれど、ここでも押し付けがましさを感じさせないのがレーデルさんの魅力でしょう。

今では流行らないのかもしれませんが、クルト・レーデルさんでバロック音楽の洗礼を受けたおじさんにとっては、これからも「ゆるり」と楽しみたい1枚です。