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ライナー/シカゴのマーラー/大地の歌

精緻でストレート、クールな美しさが魅力的(戻る

久しぶりに取り出したライナーとシカゴ響によるマーラーの「大地の歌」。 すっきりとした解釈で、精緻でストレートな音楽がとても心地良いですね。 オーケストラの機動力は抜群だし、フォレスターの声も貫禄があって素晴らしいと思うのですけど、この演奏、マーラー・ヲタクにはあまり評判良くないみたいですね。 悩みをあまり感じないからかな? でも入門用にはいいじゃないですか? このレコードでこの曲を知った者としては、とても想い出深い1枚です。

このレコードが出た1973年当時、1,000円で買えるマーラーの交響曲ってほんの僅かでした。 第1番が3種類(バルビローリ、クレツキ、ラインスドルフ)、第4番が2種類(メンゲルベルク、ホーレンシュタイン)、それにこのライナーによる「大地の歌」だけ。 「大地の歌」の名盤として誉れ高いワルター/VPOによるフェリアー、パツァークのは出ていましたが、1,200円盤。 当然ながらモノラルでした。 そんな状況下にあったので、飛びつくようにして買って擦り切れるほど聴きましたよ。 

「大地の歌」、マーラー独特の生死感に加え、李白などの中国詩を題材にしていたことなど、多感な若者にはたまらない魅力でした。 さすがにこの年齢になってしまうと「告別」をしみじみと聴いてしまいますけれど、あの頃はやっぱり「大地の哀愁を歌う酒の歌」や「青春について」「美について」「春に酔える者」でした。 何故か当時から酒の歌が多いのですけども・・・

とにかくこの演奏、精緻なアンサンブルが見事ですね。 そして、すっきりとした音楽にはケレン味がなく、クールな美しさが魅力的。 リチャード・ルイスの声がやや明るく真面目な感じがしますけれど、脳天気な音楽にはなっていず、しっかりとマーラーの音楽が息づいていると思います。 このレコードが出た当時は、まだまだワルター風の粘着質なマーラーが主流だったと思うけれど、このようなストレートな「大地の歌」は現代的で、この曲の入門にはもってこいではないかな・・・ってかつて自分がそうだったからなんですけどね。 機会があればお試しあれ。