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リステンパルトの「管弦楽組曲全集」「フーガの技法」

深い芸の味わい(戻る


学生時代はイ・ムジチのヴィヴァルディの「四季」を初めとして、バロック音楽がブームでした。 僕は廉価盤でクルト・レーデルに薫陶を受けた世代です。 もうちょっとお金があるとカール・リステンパルト、更にお金があるとヘルムート・ヴィンシャーマンやカール・リヒター、ヘルムート・ヴャルヒャにお世話になったでしょうか(学生ではアルヒーフ・レーベルにはまるで手が届かなかったのでこのレーベルは今でも疎遠です... 苦笑)。

この前、いつもの中古レコード屋に行って、リステンパルト/ザール室内管によるバッハ「管弦楽組曲全集」の2枚組LPを300円で救出してきました。 その1ヶ月ほど前には同じコンビによるバッハの「フーガの技法」の2枚組LPを200円で救出しています。
カール・リステンパルトって、今ではほとんど忘れられたような指揮者になってしまいましたが、僕にとってはちょっと高嶺の花的な存在でした。 そして今ごろになってようやくその想いを果たすべく中古レコード屋のゴミ箱のような箱の中から救出しているのです。

今では古楽器演奏が当たり前になっていて、自由闊達な演奏が主流ですが、カール・リステンパルトの演奏はまるで楷書のような演奏です。 思わず居ずまいを正して聴こう... みたいな、ありがたいバッハ様の演奏といった趣が漂ってきます。 とりたててソロ奏者が上手いわけではないのですが(アンドレやヴィンシャーマンも参加していますが)、有名・無名の奏者みんなが一生懸命演奏しているのが手に取るように判ります。 しかし決してこれが硬直した演奏ではなく清々しいとさえ感じる演奏になっています。 語り継がれた上質な古典芸みたい感じでしょうか。 過剰に精神に訴えかけるような派手さや技巧は抑え、ひたすら信じた道をまっしぐらに進んでいます。
さすがに全曲を通して聴くのは時間的(家庭的?)に難しいのですが、LPの片面を一気通して聴いています。 聴いていてどこか落ちつくのは、やはり古い世代だからでしょうね。 しかし時代には合わなくとも、このような真摯な演奏が忘れ去られるのは本当に惜しいことだと思っています。