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ミュンシュの「未完成」

しなやかで堂々とした熱演(戻る


ミュンシュという指揮者のイメージは、RCAで大挙廉価盤登場となった指揮者というイメージが強い。 このRCAグランプリシリーズのレコード、いまいち音質が良くない? との先入観があって数枚しか捕獲しなかったこともあり、ミュンシュの録音を買ったことはなかった。 このためずいぶんとミュンシュは縁遠い指揮者となってしまったのだけれど、最近、河出書房のLPで燃焼度の高い第九に接し、遅まきながらミュンシュも集め始め始めたしだいである。

このレコード、そのRCAグランプリシリーズではなく、日本ビクターから出ていた時代のものである。 「運命」「未完成」をカップリングしたお馴染みのものであるが、LIVING STEREO 録音で Super RECORD 盤となっているのがミソ。 300円で捕獲したものだが、たぶんRCAグランプリシリーズでは RGC1003 として出ていたものと同じだろう。 音はこちらが優れている(と思いたい、比較視聴できないのでなんともいえないけれど)。

さて、演奏はいつもながらフレーズを早めに切りあげるタイプの熱演。 しかしながら、随所に聴かれるソロをしなやかに歌わせて巧いのは、さすがボストン交響楽団。 先に聴いた 第九では劇的な演奏だったけれど、「運命」はやや手堅くまとめた、そんな感じかな。  確かにこれも素晴らしい演奏には違いないと思うけれど、個人的には、より堂々とした未完成のほうに惹かれるものを強く感じる。 充分にぶ厚い弦楽器も重すぎず、実にしなやかな柔構造を呈している。 そして先にも書いたとおり、フルート、オーボエ、クラリネットといったソロが柔らかで実に美しいのが何より印象的。 しっかりとしたドイツ的な基盤のうえにたっていながら、随所にフランス的なしなやかさがちりばめられた感じがする熱演である。 特に第2楽章にその特徴がよく現れていると思うのだがどうだろうか。

このように堂々としながらもヴィヴィッドな未完成交響曲な〜んてのはまったく現代的とは言えないと思うけれど、十分に感動的である。 いわゆる通俗名曲なのだけれど、ああ聴いてよかったなぁ... そんな充足感に満たされる演奏である。