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パガニーニ:ヴァイオリンとギター・第1集

優美な音楽(戻る

LPレコードの楽しみは、ジャケットを眺める楽しみもあります。 
このレコード、いつどこで買ったのか記憶が定かではありませんが、多分今は亡き数寄屋橋ハンターでしょうか、ジャケットを見た瞬間に購入を決めたものです。 ギターとヴァイオリンの配置も面白いし色合いも綺麗ですものね。 演奏もまた期待を裏切りません。 軽やかさと伸びやかさ、そしてパガニーニらしいエキゾティックな雰囲気も漂わせてワクワクするようなアルバムです。

このレコード、テレフンケン・レーベルで、1976年にキングレコードから発売されているようです((p)1976の記載あり)。 

ヴァイオリンを演奏しているのは、ジョルジィ・テレベジという男性。 1932年ブタペスト生まれ、ブタペスト音楽アカデミーからフランツ・リスト音楽院のマスターコース、その後にパリ音楽院で学んだと記載され、ミュンヘン室内管、南西ドイツ室内管そして1972年よりフランクフルト放送交響楽団のいずれもコンサートマスターとして活躍していると記されています。
ギターを演奏しているのは、ソーニァ・ブルンバウアーという女性。 1948年ハンブルグ生まれ、8才よりピアノ、14才でギター始め、1968年から4年間ウィーン音楽アカデミーで学び、ディプロマを得たようです。 1974年よりハンブルグ音楽アカデミーで教鞭をとっているそうです。

演奏者の方については、ジャケットに書かれた上記の知識しかありませんけれど、またパガニーニがヴァイオリンとギターの曲を書いていたことも、このレコードを手に取るまで知りませんでした。 しかし、これについては、やはりジャケットに書かれた大木正純さんの解説「パガニーニとギター」が参考になります。 かいつまみますと・・・

パガニーニが父親から最初に与えられた楽器がマンドリンで、当時最もポピュラーだった撥弦楽器だったギターも親しんでいた可能性がある。 13才で本格的なヴァイオリンの修業のためパルマで習ったアレッサンドロ・ロッラはギター演奏にも秀でた人手で、レッスンの時にはギターで伴奏をつけていたこともあったとのこと。 パガニーニがヴァイオリンの名手となったのち1801年から4年間トスカナの貴婦人のところで隠遁生活を送ったとき、その婦人が愛した楽器がギターであり、デュエットを楽しんだことも違いないと思われる。 そしてパガニーニ自身「ギターは楽想を呼び起こすのに便利な楽器」と語っていたそうで、スコルダトゥーラ(特殊な調弦法)やハーモニックスなどは、明らかにギターの奏法よりヒントを得たものとのことです。

と、ここまでの薀蓄は薀蓄として音楽を楽しみましょう。

A面に4曲、B面にも4曲収録されていますが、いずれも軽やかに歌うヴァイオリンに伴奏をつけるギターといった感じですね。 ヴァイオリンが伸びやかに旋律をまわすのに比して、ギターの撥弦が心地よく弾んで曲を彩って、上品なサロンの音楽といった趣がします。 実際にチェントーネ・ディ・ソナタはそのようなサロン音楽として提供されたもののようですね。 第4、6番など、優美な音楽です。 第1、3番の冒頭は、ちょっとヴィルトオーゾ風の開始ですけど、聴衆の耳を惹きつけたあとは、優美な音楽となります。 ソナタ・コンチェルタータは、ギターの比重が増した2重奏。 パガニーニ10才代の頃の作品だそうです。 このレコードでは一番長い12分ほどの曲ですが、さすが天才パガニーニの片鱗を感じさせる明るさと軽い覇気のある演奏が心地よいですね。 
このところ室内楽にも興味が拡がってますし、第2集などがあれば入手したいと思っています。

蛇足ながら、ジャケットを読む楽しみもまたLPレコードの楽しみですね。