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ジャン=マリー・オーベルソンによるモーツァルト/グレート・ミサ

熱い感動がひたひたと押し寄せてくる(戻る

じつに感動的な演奏です。 ソリストもとてもしっかりしていますし、合唱団も気合入っていて、まさしく「グレート」の名に恥じません。 このような素晴らしい演奏があったなんて、とコンサートホール・ソサエティの奥深さを垣間見せてくれる素晴らしいレコードです。
なお録音もコンサートホール盤にありがちな霞がかかったようなことはなく、けっこう鮮明な録音です。 2枚組みなので4面に渡って収録されている余裕もあるのでしょうけど、各ソロ楽器などにもスポットライトが当たっていて、分離もよく、ダイナミックレンジも割りと広めに取られているのが感動をより大きくしてくれているようにも思います。

この演奏、ソリストが豪華です。 テノールのワルデマール・クメント、バスのハインツ・レーフスは、カラヤンの指揮でもソリストとして名前が挙がっていますし、このレコードでも素晴らしい歌唱を聴かせてくれます。 メゾ・ソプラノのネッダ・カセイは、現在は愛知県立芸術大学の客員教授でもあるようですが、光沢のある声質が魅力的です。 そして特筆したいのがソプラノのマリア・シュターダー。 カール・リヒターのよるモーツァルトのレクィエムや、ロ短調ミサでも歌っていますが、ここでの熱い歌唱もまた見事です。

指揮者のジャン=マリー・オーベルソンもまた、きびきびとした曲の運び、合唱も熱く歌わせて盛り上げてゆきます。 なかなかの手腕だと思うのですが、ジャケットの解説文には「スイス生まれの中堅指揮者。 大きな合唱曲を得意にしている」と書かれているのみ。 女性指揮者か男性かも不明です。
なおネット検索せ調べてみたところ、女性かどうかは依然として不明ですが、1920年5月2日スイス・ローザンヌ近くの Chavornay で生まれ、2004年7月4日フランスで亡くなっていました。
ローザンヌのコンセルヴァトワールで学び、1943-1946年にローザンヌ室内管のヴァイオリニスト、1946-1949年にはスイス・ロマンド管でヴィオラを弾いていたそうです。 その後指揮者に転向し、ギュンター・ヴァントに指揮を学び、アンセルメやカール・シューリヒトにも教わったとありました。 詳細は以下を参照してください。

http://www.bach-cantatas.com/Bio/Auberson-Jean-Marie.htm

キリエの冒頭、どこか躊躇するような暗い感じで始まりますが、合唱が入るとぐぃぐぃっと盛り上がっていって一気に惹きこまれました。 ウィーン国立歌劇場合唱団、男声が実にパワフルですね。 それが静まったあともソプラノ独唱に張りのあって、クリステ・エリソンと長く伸ばす声がとても艶やかで魅了されます。
グローリアはそんなソプラノが大活躍。 まず明るく熱い合唱とともに、様式美と豊穣さを兼ね備えた演奏を展開、ヴァイオリンの美しい旋律とともにソプラノが「Laudamus te」と歌う部分が最高潮ではないでしょうか。 オペラのアリアのような美しい歌を堪能。 オーボエもいい感じです。 溜息が出ます。
「Domine Deus, Agnus Dei」と歌う、メゾ・ソプラノとの2重唱、「Quoniam tu solus sanctus」でのテノールも加わった3重唱なども聴き応えあります・・・などと書き出せばキリがありません。
熱い感動がひたひたと押し寄せてくるモーツァルトのグレート・ミサ。 コンサートホール録音の出色のものだと思います。

モーツァルト/ミサ曲 ハ短調 K.427「ザ・グレート」
マリア・シュターダー(S)、ネッダ・カセイ(MS)
ワルデマール・クメント(T)、ハインツ・レーフス(B)
ジャン=マリー・オーベルソン指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団・合唱団