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ヨゼフ・クロイツァー/デンマーク王立響のブラームス交響曲第2番

爽やかで真摯な室内楽的ブラームス(戻る


テイチクの千円盤シリーズ(クラシック・ベスト・コレクション・シリーズ)のなかのオーヴァーシーズ・レーベルのもの。 こんな録音があることすら知らなかったが、300円だったので捕獲したところ、これが大当たり。 ややヴァイオリンが薄くて金属的な響きがするが、その反面内声部をしっかりと歌わせた演奏に魅了される。 純ドイツ的な重厚さとは違うが、本来ブラームスの交響曲が持ち合わせている室内楽的な響きを堪能させてくれる演奏である。 旧西ドイツのSTEREO TAPE AGのライセンスとなっているが、テープでのみ発売されていた録音だろうか(欧州にはオープン・リールのミュージック・テープがあったそうだ)。 しかし、人知れず埋もれてしまったこのような立派な演奏を聴かせてくれるヨゼフ・クロイツァーとはいかなる人物だったのだろうか。 相当な実力者ではないだろうか。 興味がつきない。
第1楽章、のどかで牧歌的な感じだが、とても自然な雰囲気で始まり、ぐっと引き込まれる。 弦楽器が加り、盛りあがるととても爽やかである。 それはややペラペラな感じのするヴァイオリンのせいであるのだが、しかし第2主題の中音弦はまろやかでこれとは対照的。 何より低弦の響きを抑えてとらえられているがしっかりと鳴っているのは終始変わらない。 また管楽器も控え目ながらきちっとしており、それぞれが見事に絡む。 これらの素晴らしい演奏によって、この曲全体の構成感が際立ってよく聞こえるようだ。 惜しむらくは盛りあがるほどに前述のヴァイオリンの響きが少々耳に障るのであるが、指揮者は自信に裏打ちされた緩急をつけ、内声部をよく歌わせるいて、時々はっとさせられる演奏である。  第2楽章、チェロによる主題呈示も楽器を絞り込んだような感じ、ホルンや木管楽器もやや控えめであるが緊密に絡み、ゆっくりと進んでいく。 とても室内楽的な魅力のある演奏である。 第3楽章、明るい音色のオーボエと裏の木管楽器がここでも緊密に絡む。 テンポが変わっても中低弦がよく聞こえ、木管も変わらず緊密さをもって応えている。 非常に丁寧な印象を持つけれど、堅苦しくならないところがまた素晴らしい。 第4楽章、乾いたコントラバスの歩みがきこえる主題の呈示から、はじけるようなクライマックスまで軽量級である。 やや弾力のあるティムパニ、クラリネットなどがしっかり鳴っている。 ヴァイオリンがややヒステリックに聞こえるのがここでも惜しいけれど、色々な楽器がモザイクのように鳴り、お馴染みのフレーズを構成しているのが手にとるようによく分かる。 インテンポで交通整理に徹している演奏ではなく、要所で抑揚や表情をつけている。 オケは馬力こそないがこれに真摯に応えていて、フィナーレに突入すると実に清々しい感動を与えてくれて曲を閉じる。  ヨゼフ・クロイツァーとはいかなる人物なのだろうか。