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コレギウム・アウレウム合奏団のモーツァルト交響曲第40番

密かな楽しみ、心休まる演奏(戻る

今日ではあたりまえになっている古楽器によるモーツァルトの演奏である。 僕がクラシック音楽を聴き始めた頃はまだ珍しい存在だった。 そんな時代、このコレギウム・アウレウム合奏団が演奏したレコードは、音楽雑誌や新聞などで推薦・特選に輝いていた。 バロックから古典派の時代にはこのような響きがしていたんだろうなぁ・・・と心ときめかせ、耳をそばだてて聴いていたものだった。 このモーツァルトの交響曲第40番もそのようななかの1枚である。 生き生きとした演奏なのだが、優しく穏やかな表情が素晴らしく、モーツァルトの短調の曲ながら不思議と心休まる演奏となっている。

流麗さ、もしくは決然とした響きで強調されがちな第1楽章の冒頭さえ、すっと心に染み入ってくるアンサンブルがとても素晴らしい。 アンサンブルの人数は多くはないけれど、フッガー城の糸杉の間の響きが豊かなのだからであろうか、まろやかな響きに味わいがある。 最近の古楽器演奏、また現代楽器による演奏においても、ノン・ビブラートの古楽器奏法を使って、ピィとかキィなどという響きが耳につくことが多い。 またピッチも高くしているせいか、ときに高音が強調されすぎて響きに余裕がなく、面白い演奏だと思うことはあっても、音楽として楽しめるか、というと疑問符を付けたくなる演奏もある。 しかしこのコレギウム・アウレウム合奏団の演奏については、古楽器を使い、調律も違うとのことだが、音楽が柔軟で生き生きとしていて楽しめる演奏が多いのではないだろうか。 この交響曲の演奏でもは、アンダンテやメヌエットの楽章がまさにこれに当てはまる。 ゆったりとした時の流れに身をゆだねて聴くにはもってこいの演奏だと思う。

このような素晴らしい演奏で、古楽器演奏ブームの火付け役になったコレギウム・アウレウム合奏団。 しかし今ではほとんど忘れ去られた存在となっているのが残念だ。 古楽器演奏についての研究も盛んになり、時代考証も進んだため、このようにロマンティックに演奏するのは違うのかもしれない。 しかし、そのようなことと演奏自体の価値とは関係ないと思うのだが、どうだろうか。 そして今彼らについて語る人は少ない。 これも商業主義のせいだから仕方ないのだろうが、少なくともあの当時、心をときめかせて聴いた者として、また個人的な思い入れが強いと言われるかもしれないが、コレギウム・アウレウム合奏団の演奏が評価に値しない演奏であるようにはとうてい思えない。

もっとも、いつもこんな感じで肩肘張って音楽を聴いているわけではない。 他人が評価しなくとも、自分にとって面白い・楽しいと思える演奏であればそれで充分、そんな気持ちに変わりはない。 個人的な密かな楽しみとして、これからもコレギウム・アウレウム合奏団のレコード楽しんでゆきたい。