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ニコラーエワのJ.S.バッハ/フーガの技法

深遠なるバッハの世界へのいざない(戻る

タチアナ・ニコラーエワのバッハ演奏。 この深遠なるバッハの世界をうまく表現する術を持たないけれど、何かを書いておきたい、誰かに伝えたい、そんな気持ちを強く持つ不思議な力を持つ演奏です。 そして特にこのフーガの技法、バッハ最晩年の作品に込められた一種独特な境地・孤高ともいえる世界があります。 この曲をピアノという楽器ひとつで、無限の生命、いやバッハの死の予感でしょうか、汲めども尽きない世界を漂いながら、静かな感動に身をまかせています。

今年1月の出張時、お茶の水ディスクユニオンで500円で捕獲したレコードです。 日本ビクターによるメロディア原盤の2枚組。 1967年録音ですが、このレコードは1980年代に出たものでしょう。 このレコードが出ていた1980年頃というと、ピアノによるバッハ演奏なんて邪道だ、と本気で思っていましたね。 バッハの時代にはピアノは出来ていないから、チェンバロかパイプオルガンによる演奏でないとおかしいなんて・・・ああ恥ずかしい。 

話はちょっと飛びますが、先日図書館で礒山雅さんの「J・S・バッハ」(講談社現代新書)を借りてきました。 これまたお恥ずかしながらこの著作のことは以前から知ってはいても読んだのは初めてです。 フーガの技法については、153ページから興味深い事柄が書かれていますね。 それまでも時々このレコードを拾い聴きしていましたけれど、今回は全曲を通して聴いてみたくなったというわけです。 

詳細に曲や、演奏の紹介をするつもりはありませんし、できるはずもありませんが、このニコラーエワの演奏。 一言で言うならば、強い生命力を感じます。 ダイナミックな響きと響きの間に広がる空間に、これまで聴いてきたオーケストラ用に編曲されたこの曲とはまったく違う世界を感じてやみません。 これまで何を聞いてきたのかな、とも思ってしまうほどです。 前述の礒山さんの著作、フーガの技法が書かれている「数と象徴」の最後の節は「音楽を超える音楽」というタイトルが付いています。 まさにそんな深遠なるバッハの世界です。