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ミトロプーロスのショスタコーヴィッチ交響曲第5番

客観的な「革命」(戻る

黒い円盤のレコードを買っていると言うと、外盤や初期盤狙いのマニアと思われがちだが、1,000円盤と呼ばれていた廉価盤を中心に、今でも安いものばかり捕獲する癖が抜けない。 このレコードは外盤だけど、ジャケットの裏にセロハン・テープを貼ったあとが残っているためか 500円だったので捕獲。 お恥ずかしながら、ギリシア出身の作曲家であり偉大な指揮者でもあるミトロプーロスの録音はこれまで1枚も持っていなかったので、自分的には最高価格ともいえる500円を出して捕獲してみたのであった。

話はちょっと飛んでしまうが、クラシック音楽という音楽が好きになったのは1972年頃。 1,000円盤と呼ばれていた廉価盤で薫陶を受けたからであって、ここに登場しなかった指揮者は(ミトロプーロスも)疎遠となっている。 興味がなかったわけではないが、お金がなかったために接点も無かったということである。 これが今にまで尾をひいているという、なんともお粗末なお話・・・ 

さて、そんなことはともかく、買って帰るとすぐにレコードに針を降ろしてみた。 興味深々のなかから出てきたのは、モノラル録音であるが、キリリッと締まった響き。 凝縮した響きにぐっと引き寄せられたが、残念ながらこの時はあまり時間がなかったこともあって、第1楽章の冒頭と第4楽章の冒頭のみ聴いておしまい。 後日改めて聴くことにしたのは、変に中途半端に聴くのが勿体無い…そんな気がしたからである。 

そして今日、改めて針を降ろしてみたわけだが、期待に違わない素晴らしい演奏に感激した。 ミトロプーロスは、作曲家らしく、どこまでも客観的な解釈で演奏を進めてゆく。 かといって冷めた演奏をしているわけではなく、冒頭の凝縮感や、第4楽章の高揚感もきちっと演出している。 しかも個人的な思い入れの強さといったものを感じさせない。 アンチェルの演奏のような中庸な表現ともまた違うし、くりかえすが能面のような無表情でもない。 もちろんバーンスタインやロジンスキーのように感情が迸り出てくるような演奏とはまったく違うのだが、十分に熱い終楽章を形成している。 ギリシア彫刻のように均整のとれた芸術の香りのようなものも感じさせてくれる演奏だと思う。 ミトロプーロス、もっと安く出回ってくれないものだろうか。 もっと色々と聴いてみたくなってきた。