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スワロフスキー田園にまつわる仮説
2000.2.18、2002.9.28 一部改訂

 仮説と書きましたが、それほど聴き込む時間がないので、勘違いがあるかもしれませんが、正体不明録音については、「廉価盤CDの楽しみ」にも書いたとおり、本物探しをやっています。

 俗悪PILZ2枚組(と@niftyのクラシック音楽フォーラムで呼ばれていた)CDとして売られているハンス・スヴァロフスキー指揮 ミュンヘン交響楽団のベートーヴェンの「田園交響曲」について調べてみました。  カップリングは、アドルフ指揮南ドイツフィルハーモニーの交響曲第3番となっていますが、これについては、すでにズデニック・コシュラー指揮スロヴァキアフィルの演奏であることが判明しています。

 まず、おおもとの俗悪PILZ2枚組CDの田園は、以下のクレジットとなっています。カッコ内は1〜5楽章の演奏時間の表記です。

ハンス・スヴァロフスキー指揮 ミュンヘン交響楽団
 (10:28,13:22,5:12,3:50,10:35)

 これとよく似た演奏のCDを持っています。

 BRILLIANT CLASSICS から出ていたベートーヴェン交響曲全集(旧全集、現在の全集はロッホランやブルゴスを中心にしたものであり、これとは別物)にある田園のクレジットは以下のとおりです。  カッコ内も同じです。  第1・4楽章が1秒違いですが、ほぼ同じになっています。

アントン・ナヌート指揮 ライバッハ放送交響楽団
 (10:27,13:22,5:12,3:49,10:35)

 ライバッハ(Laibach)とは、スロベニア共和国の首都リュブリャナのことで、ドイツではライバッハと呼ぶようです。 かのグスタフ・マーラーが若かりし頃にライバッハの歌劇場にいました。  ライバッハ放送交響楽団とは、リュブリャナ・ラジオ・シンフォニー・オーケストと推定できます。  話が横道にそれますが、このリュブリャナのオケはバッタもんCD専門の安物オケと受け取れるかもしれませんが、実際には、このオケの前身はマーラーが指揮していたライバッハ歌劇場オケの流れをくむ由緒正しいオーケストラとのことです(現在はスロベニア放送交響楽団と改称しているらしい。 本オーケストラについては「STANDARD CLASSICS」のページでも紹介しています)。

 あと、POINT CLASSICS というレーベルから出ている田園のCDも同じような演奏です。  しかし、これが混乱しているのです。  CD裏面とインレートカードでは演奏・時間ともやや異なっています。  実測してみると、時間はインレートカードの方が正しいようです。

 <CD裏>
ビストリック・レジュハ指揮 スロヴァキア・フィルハーモニー
 (10:28,13:23,5:12,3:50,10:36)

 <インレートカード>
ヘンリー・アドルフ指揮 南ドイツフィルハーモニックオーケストラ
 (10:33,13:28,5:13,3:50,10:40)

 時間は正しくてもアドルフさんは幽霊です。  レジュハさんは実在しています。  でも前述のナヌートさんも実在しています。  いったい何が正しいのでしょう ...

 ここで仮説1

POINT盤では、カップリングされているベートーヴェンの交響曲第8番が、ナヌート指揮リュブリャナになっているので、実は、6番と8番の演奏者の表記をミスしたのではないか?

 あと、ディアゴスティーニ(当時は同朋舎出版)のクラシック・コレクション(バッタもんCD付き雑誌と勝手に呼んでいたりします)から出ている「田園」もあります。  第3楽章の時間が大きく違いますが、基本的に同じような時間で聴いた感じでは同じような演奏です。

イーゴル・ゴーゴリ指揮マズリア・フィルハーモニー管弦楽団
 (10:29,13:23,2:54,3:50,10:34)

 このゴーゴリさんが実在しているか、幽霊なのか、情報がつかみきれていません。  ゴーゴリさんの別の演奏のCDもあと1枚あったはずですが、それと対峙するCDがあるか調べきれていません。

 今回、上記「田園」のすべてのCDの第3楽章のみ聴き比べをしましたが、大きな違いは分かりませんでした。  すべての楽章に渡り、詳細に聴き込んで比較試聴しないといけないのですが、出来ていません。

 ここで仮説2

ゴーゴリさんも幽霊だとしたら、第3楽章の繰り返し部分をそっくり削除して繋いでいるのではないか?  このCDは、運命とのカップリングで、総時間が 73:47 もあるためカットしたのではないか?            
(なお運命の演奏はナヌート指揮リュブリャナです)

 また仮説1 に関連して、BRILLIANT CLASSICS から出ているベートーヴェン交響曲全集の第8番についても調査しないといけないと思いますが、まだ出来ていません。

 もっとも僕の耳には絶対音感なんていうものはないので、ホルンやオーボエ、フルートといった楽器のソロを中心に刻みを入れているヴァイオリンの様子などで判断しています。  マスターを作成する時にミキシングなんてされていたら全くわからなくなるので、この耳による比較は非常に怪しいことは事実です(やっぱ楽譜と照らして、奏者のミスが追求できないといけないのでしょうが...うーんんん、できません ;_;)

 よって、この「本物は誰だ」について結論付けられずにいるのが現状です。

 今後の見通しですが、ナヌートのCDの大半や、レジュハのCDを出している本家のストラディヴァリ・レーベルを一応の原本とし、「田園」調査をしたいと思っています。 しかしなかなかこのレーベルのCDって出会わないのですよねぇ...

 と、PILZ探険にハマると、無駄なCDが増えるので、一般の人には決してお勧めできない... というわけです(自戒をこめて)

<追記 1>

 後日、BRILLIANT CLASSICS から出ているベートーヴェンの8番を検証したところ、ビストリック・レジュハ指揮スロヴァキアフィルの演奏で、別物と判明しましたので、この仮説1 は崩れ、レジュハを本命としての探索に切り替えることにしました。<1999.1.19>

<追記 2>

 ミュンヘン交響楽団という団体は実在していることが判明しました。 よって、これはまさしくハンス・スワロフスキーが演奏したものとして考えるのが正しいように思います。 しかし、演奏内容からスワロフスキーではない、とい考えておられる方もいるようです。 <2002.9.28>