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ケルテス/VPOのシューベルト交響曲第1・2番

振幅の大きいウィーンフィルらしい演奏(戻る


イシュトヴァン・ケルテスがウィーン・フィルを振った名盤としてドヴォルザークの新世界交響曲や、ブラームスの交響曲全集、モーツァルトの交響曲などはよく取り上げられるのだけれど、シューベルトの交響曲全集については何故か無視されているような気がする。 しかし、ケルテスはここでも(いやそれ以上に)ウィーン・フィルの特長を生かしたダイナミズムと繊細さを兼ね備えた音楽を聴かせてくれる。 確かにシューベルトという観点では、もっと爽やかに演るのが一般的なのかもしれない。 しかしウィーンで生まれ育ったシューベルトをもっともウィーンらしく演奏している(ちょっと意味不明だけど)ケルテス盤がとても面白いと思うのだが… どうだろうか。

ケルテス/VPOのシューベルトの交響曲の演奏は、1971年に録音された1〜3、6番、1970年に録音された4、5番と 1963年に録音された8、9番と序曲で構成されている。 この中では録音年代の新しいほうが生き生きしていて面白いように思う。 特にこの全集の第1枚目にあたる交響曲第1番、第2番がとても好きだ。

もともとこられの曲、あまり取り上げられることのない曲なのだが、青年シューベルトの息吹を感じさせる佳曲だと思う。 好きな曲なので色々な録音も買ったけれど、このケルテスの演奏ほどウィーン(フィル)の魅力を詰め込んだシューベルトは無いように思う。 物腰は柔らかいけれど、強靭で腰の据わったシューベルトである。 暖徐楽章ではウィーン・フィルの特長ある柔らかい管楽器と弦楽合奏が呼応しあい、特上ブレンド、といった感じなのは当然として、冒頭の楽章や終楽章のヴィヴァーチェでは、リタルダンドをかけた弾むリズムでぐんぐんと盛り上げてゆく。 そして要所ではトランペットやウィンナ・ホルンをたっぷりと鳴らす。 ホルンがこんなにも豪放磊落に鳴っているので一瞬ハノーバー・バンドの演奏みたい、と思ったほど。 とても聴き応えのある演奏である。

ある意味とても頑固と言えるウィーン・フィルと相性がよく、こんなにも自在に操ることができた才能が早世したことを惜しまずにはいられない(と、これを書くために調べていたら自分がいつのまにかにケルテスの亡くなった年齢を超してしまったことに気付いた・・・ げ〜)。

輸入盤 LONDON の紙箱入り(4枚組) 3,500円程度だったと思う (1997,8年頃)