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バーンスタイン/NYPの古典交響曲

音楽が音楽としての喜びを持っている交響曲(戻る


バーンスタインの演奏は、絶対にニューヨーク・フィルを振ったCBS時代の演奏のほうが颯爽していて素晴らしい。 もうあちこちにこのことを書いているので耳タコ状態かもしれないけれど、いいものはいいので繰返しておきます。

さて、そのような若きバーンスタインの魅力が満載で、躍動感に富み、ウィットに満ち満ちた演奏としてプロコフィエフの古典交響曲があります。 CDジャケットの解説には、プロコフィエフがハイドンが現代に生きていたらこんな曲を書いたであろうことを念頭において書いた曲、と書かれています。 またバーンスタインは、有名な「ヤング・ピープルズ・コンサート」という番組で、15歳のときラジオでこの曲を初めて聴いて涙がでるほど笑い転げた、とも語っているようです。 1拍多い拍子や、1拍少ない拍子、間違った音が紛れ込んでいるのに、音楽は何もなかったように進む音楽による風刺の傑作だからだそうです。 素人には、このあたりについてはよく分かりませんが、確かにこの古典交響曲、聴いていてもちっとも面白くない演奏があるのも事実です。 風刺を利かせるにはそれなりのテクニックが必要だからだと思いますがどうでしょうか。

このCD、ソニーが1996年に発売していた廉価盤です。 今(2003.3)でもアマゾンでは入手できるようです。 ただしメインはショスタコーヴィッチの交響曲第5番です。 これはいわゆる旧録音(1959年)です。 この年、バーンスタインはモスクワに行って同曲を演奏し、ショスタコーヴィッチから激賞されたと言われています。 こちらも充実した演奏で、東京公演ライヴによる新録音とともにベスト1・2とされている演奏です。 で、古典交響曲ですが、こちらは1968年録音。 バーンスタインがニューヨーク・フィルの音楽監督を退任したのが1969年だから、このコンビの最後に近い頃の演奏になります。 当時のニューヨーク・フィルは、テクニックの衰えたメンバーを誰一人解雇しなかったため(そのためオケ・メンバーからバーンスタインは慕われていましたけれど)、ゴミを満載した貨物列車のような汚い音がした、などと酷評されることもありますが、ここでは元気一杯なところを聴かせてくれます。 両端楽章の躍動感、中間楽章のウィットに富んだ表現、さすがハイドンを指揮しても素晴らしい演奏を聴かせてくれるバーンスタインの面目躍如たる演奏でしょう。

バーンスタインは、このあと作曲に専念することを理由に確か2年間の引退生活を送ったあと、ヨーロッパ楽壇に復帰し、あとは皆さんご存知のような大活躍をします。 ライヴで燃える指揮者として、リリースされるCDにはライヴ録音とのクレジットが書かれていました。 しかし実際の演奏会を録音したものもあったでしょうが、たいていは録音のためにお客を入れたセッションだったようですね(確証はありませんが)。 そして、音楽は重くなり(内容が濃いと言われていたようですが)、特異な雰囲気も持っていたように思います。 期待して聴いたいくつかのグラモフォンのCDは、いずれも僕にはしっくりときませんでした。 やはり、音楽が音楽としての喜びを持ち、躍動感にあふれ、機知に富んでいた時代のバーンスタインが好きです。 そして古典交響曲は、そんな彼らの蜜月時代を象徴するような演奏だと思っています。

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