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大阪シンフォニカー 第68回定期演奏会

重厚な響き、ドイツ音楽の真髄に触れた戻る


大阪シンフォニカー 第68回定期演奏会
2000年5月26日(金) 19:00 ザ・シンフォニーホール

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
シューマン:交響曲第4番 ニ短調 作品120
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品83

指揮:トーマス・ザンデルリンク 独奏:園田高弘(P)

ザンデルリンクが指揮すると大阪シンフォニカーは変貌する。 どうしてこのように響きに奥行きや深み、そして緊張感が出てくるのだろうか。
園田高弘をソリストにぶつけてきたブラームスのピアノ協奏曲がメインというちょっと異色なプログラムと思えたが、重厚な音と音とがぶつかりあい、久しぶりにドイツ音楽の真髄に触れたような演奏会だった。

まずはウェーバーの序曲。 冒頭に書いたとおり、ザンデルリンクによるオケの深い響きに驚かされた。 弦楽器を主体に組みたてられた音楽、低弦が豊かに響いてくるが、決して重く引きずることはなく、若いオーケストラの芯の通った見通しの良い音楽とあいまって心地良い。

これが見事に結実していたのがシューマンのニ短調の交響曲第4番。 冒頭、ザンデルリンクが大きくふりかぶり、アンザッツを合わせる緊張感が客席にまで届く。 そしてユニゾンが多用されたこの曲を低弦を主体に組み立て、管楽器を抑制した実にオーソドックスな解釈。 これには共感を覚える。 管楽器が唯一解放されたのは第4楽章の臼田さんのソロくらいだったろうか。 しかし全体的にテンポはやや速めで引きずることはない。 小刻みに震えるザンデルリンクの棒なのだが、それゆえか、緊張感は最後まで切れない。 ザンデルリンクは常に低弦に向って指示を繰り出す。 その充実した響き、また演奏の切れも良く場面転換が見事に決まっている。 最初から最後まで魅了されてしまった。 この曲のCDを数多く聴いていることもあり、また大好きな曲なのだが、このように充実した実演に接することが出来たのは本当に幸せだった。 これは名演(と思うが、ブラボーがかからなかったのは不思議... ん?)。

さてメインのブラームス。 重厚な響きと響きがぶつかり合い、結果的にはブラボーがかかっていたが、個人的には前プロのシューマンの方が楽しめた。 曲も曲であるし、ソリストのヴィトージオとザンデルリンクの重厚な響きでがっぷり四つに組んだこともあり、ちょっと聴き疲れたした感じ(これは個人的な嗜好によるものと思う)。 第1楽章の冒頭の細田さんのソロはブラームスらしく素朴な表現でよかったが、途中オケが少しザワついた感じもあったのがちょっと残念、第2楽章あたりからエンジンがかかってきたかな。 園田さんのピアノは打鍵が明快で力強い。 オケも堂々とそれに応えての熱演。 ただこの曲全体を通して感じたのは、もう少し伸びやかさが欲しかった、ということ。 しかし、この巨匠同士の組み合わせでこれを求めることは間違っているのかもしれない。 そのようななか第3楽章で園田さんとチェロのギアさんのかけあいが一服の清涼剤であった。 単なる熱演以上のものを聴いても、もうそれだけでは満足しないほど大阪シンフォニカーの演奏力が向上し期待度も大きいということだろうか。
ということもあり、完全に個人的な嗜好・趣味で、シューマンに大満足した演奏会だった。