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大阪シンフォニカー 第14回ひまわりコンサート

田久保さんの響きを大切した音楽が魅力的戻る


大阪シンフォニカー 第14回ひまわりコンサート
2001年8月8日(水) 19:00 いずみホール

ロッシーニ/歌劇「セビリャの理髪師」序曲
兼島文香(S):ヴェルディ/歌劇「トロヴァトーレ」から「穏やかな夜」
古賀あゆみ(MS):チレア/歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」から「苦い喜び、甘い責め苦を」
柳内葵衣(S):ドニゼッティ/歌劇「連隊の娘」から「富も栄華の家柄も」
加藤紀久代(MS):サン=サーンス/歌劇「サムソンとダリラ」から「サムソンは私をさがして」
加藤紀久代(MS):チレア/歌劇「アルルの女」から「苦しいのは母」
加田真紀子(S):プッチーニ/歌劇「修道女アンジェリカ」から「母もなしに」
加田真紀子(S):プッチーニ/歌劇「トスカ」から「緑の中にすっぽり隠れて〜二人の愛の家」
加田真紀子(S):プッチーニ/歌劇「つばめ」から「ドレッタのすばらしい夢」
金桂仙(S):プッチーニ/歌劇「マノン・レスコー」から「ひとり寂しくすてられて」
西村規子(MS):ヴェルディ/歌劇「ドン・カルロ」から「むごい運命よ」
橘知加子(MS):サン=サーンス/歌劇「サムソンとダリラ」から「春はめざめて」「あなたの声に心は開く」
宮西央子(S):ロッシーニ/歌劇「セビリャの理髪師」から「今の歌声は」
馬場美代子(MS):ドニゼッティ/歌劇「ファヴォリータ」から「いとしいフェルナンドよ」
馬場美代子(MS):マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から「ママも知るとおり」

アンコール:全員:ヴェルディ/歌劇「ナブッコ」から「ゆけ、我が想いは黄金の翼にのって」

指揮:田久保裕一

久しぶりの田久保さんの指揮であるが、歌ばかりのコンサートはどうも苦手である。 おまけに前夜は出張で川崎から帰社したのが17時45分。 行くのをやめようか、とも考えたけれど思い切って仕事を切り上げていずみホールに向ったのは正解だった。 全体的にレベルの高い歌と、何より響きを大切した田久保さんのデリカシー溢れる指揮に魅了された。 特に後半のサン=サーンスの「サムソンとダリラ」から「あなたの声に心は開く」では、いつも熱演のシンフォニカーからフランスのエスプリをも感じさせるチャーミングな響きで魅了された。
歌は苦手だが簡単にコンサートを振りかえりたい。 まず冒頭の「セビリャの理髪師」序曲から田久保さんの響きを大切にしたさわやかな音楽が素晴らしかった。 管楽器がじつにまろやかであったことも印象的で、強引に引っ張ることとは無縁で、じつによく響きをコントロールした音楽であった。 これはどの伴奏であっても同じだった。 さて、一人目の兼島さんは、やさしい響きの声が魅力だったが、ややオケの伴奏に消え入るようで音像がちょっと遠かった。 古賀さんはドラマティックな歌だったが、前半ちょっとオケに埋もれ気味だったが後半のってきたのか改善された。 柳内さんは小さな身体から響きと艶のある歌声で会場を大いに魅了していたが、やや高域で苦しくなる場面も散見されたように思う。 加藤さんはいきなり野太い声でぐっと掴み込む巧さがあった。 響きは深いがよく透る声でドラマティックであった。 加田さんは以前にも聴いたことがあるが声の線が細くていのをチャーミングで可憐な役どころの選曲でカバーした感じ。 休憩を挟んで、金さんは出だしこそ堅さが感じられたが、抑えた表現の中にもドラマを感じさせた。 やはり人生経験に裏打ちされているからだろうか。 オケも気合が移ったのか優しい響きの中にも芯が感じられる好サポートであった。 西村さんは中域の声質に艶がありよく伸びるいい声のメゾで、テクニックもあって聴き応えがした。 橘さんは、巧いと思うがやや教科書的な感じがして、ややドラマ不足のように感じられた。 2曲目の「あなたの声に心は開く」は妖艶に迫る甘美なアリアとのことだが、どこかしみじみ歌う感じではあったが、オケのチャーミングな響きとよく合っていて聴き惚れてしまった。 宮西さんは響きのあるよく透る声をよくコントロールしていた。 余裕ある歌いっぷりでラストもがなりたてることなく綺麗に歌いあげていたのが印象的だった。 馬場さんは、テクニックはあると思うし一生懸命歌っているのだがどこか教科書的でドラマが感じられなかった。 マスカーニではオケのチェロの分奏が見事に決まっていたのが印象的だった。 最後は、歌手全員でのアンコールとして「ナブッコ」から1曲歌われたが、さすがにお祭りはもう終わりましたいった感じであった。
全体的に、歌手のレベルは高かったように思う。 またオケも田久保さんの指揮によって、洗練された響きを出して好感がもてた演奏会であった。