BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
関西学院交響楽団 第99回定期演奏会

集中力が高くそれぞれに充実したカレリア組曲戻る


関西学院交響楽団 第99回定期演奏会
2002年6月30日(日) 14:00 尼崎市総合分化センター アルカイックホール

ムソルグスキー: 交響詩「禿山の一夜」(*)
シベリウス: カレリア組曲クラシリネット協奏曲 イ長調 K622
ドヴォルザーク: 交響曲第7番 ニ短調

アンコール: ドヴォルザーク: スラブ舞曲第1番

指揮:藏野雅彦 (*)学生指揮:津田卓哉

雨も降り、歯痛が続くなか、ちょっと迷ったけれど自宅でごろごろしてても何も始まらないので、重い腰をあげて尼崎のアルカイックに向った。 藏野雅彦さんの指揮は今年で3回目だが、関西学院交響楽団は初めて聴くオケである。 まず最初の禿山の一夜は学生指揮による演奏は、ストレートで真摯な表現でなかなか聴き応えのある音楽だった。 続いて藏野さんが登場、カレリア組曲はさすがプロの指揮である、弦楽器の艶や一体感がまるで違う(もっとも練習量も違うのでしょうが)。 各ソロ演奏も見事だったし、集中力・軽やかさもあって、3つの曲をそれぞれに違った角度から充実した素晴らしい演奏で楽しませてくれた。 しかし休憩後のドヴォルザークの交響曲第7番は、カレリアの演奏で期待がふくらんだぶん、やはり難しい曲なのだろうなぁ、と感じた演奏だった。 名誉のために言っておくが、各メンバの演奏はきちんとおり、崩れたところは感じられなかった。 ただあと一歩の何か足りなく感じてしまったのである(たとえばリズム感や演奏のキレのようなものでしょうか)。 それに僕のほうも歯痛が襲ってきたために集中力を大きく欠いていた面があり、体調がもっと良ければいろいろと別の聴き方が出来たのに・・・と悔やまれるところである。 次回は下野さんの指揮による100回の記念演奏会だし体調万全で臨みたい。 そんな思いを持って会場をあとにした。

アルカイックに到着すると10分前、いつもどおり2階席に直行した。 1階席には7割くらい入っていたように思ったが2階はパラパラと人がいる程度、中央ブロック最前列といっても最右端に身を納めて一息つく。 いつもながら慌しいなぁ、と思いながら舞台を眺めると、おや、いつもの藏野さんの時とは違ってオケの座席は通常配置。 これまでに4回藏野さんの演奏を聴いてきたが、初めての通常配置だと思う。
さて演奏会はまず学生指揮者の津田さんによる禿山の一夜から、出だしからぐっと締まった音でよく纏めている。 ちょっと速いフレーズでたたみかけるような部分でもインテンポで淡々と演奏していくのは致し方ないところだろう。 ストレートな表現で丁寧に盛り上げていったあと淡々とまた流していった。 巧い指揮だと思ったが、味わいが若干薄くなるのは学生だから仕方ないところだろう。 オケでは、重く張りのある音でタイミング良く叩くティムパニが要所を締めて核となっていて聴き応えを演出していたように思う。
続いて、いつもながら元気よく登場された藏野さん、オケの集中力を高めて出てきた間奏曲の弦のトレモロの息づいた響きが素晴らしい。 ホルンも抑制がよく効いていて大きく・小さくとてもよく練り込まれた曲の開始からぐいぐいと音楽に惹き込まれていった。 曲調が明るくなっても集中力は落ちず、抑制もよく効いて充実した音楽だ。 しだいにオケに熱気が孕んできて、ぐっと盛り上げてさっと引くのも見事。 最後でホルンの若干惜しい場面があったが、とても充実した音楽だった。 続くバラードは、最後のコールアングレの響きの良さに全てを奪われたみたい。 冒頭はクラリネットとファゴットの朴訥とした響きだったが、芳醇な弦楽器が出てきた。 チェロが芯となった弦の分奏がきちんと決っている。 藏野さんは音楽に抑揚をたっぷりとつけ、オケも見事にそれに応えていた。 音楽はしだいに密やかな表情を見せていたが、ふっと一息でまたもとの潤いのある響きに変化するといった具合である。 そして最後はコールアングレの懐かしさを含んだ響きに深い溜息をつくような弦のピチカートもからんで会場を魅了した。 行進曲風は、一転明るく軽やかに始まったが、徐々に熱気を増し、自信をもったフィナーレに結びついた。 冒頭の透明感のあるヴァイオリンの響きから広々とした雰囲気が醸し出されてトランペットのファンファーレも軽やかだった。 オケは各楽器が自分の持ち場をしっかりと守っていて、それらがしだいに熱気を増していった。 シンバルの音がちょっと大きめで、少したたみかけるように盛りあがっていったが、オケの各パートの響きに色どりがきちんと添えられて、それらがまた織り合わさり響きあっていた。 そして自信を持ち、大きく曲をまとめたようなフィナーレに結びついた。 それぞれの曲を違った角度からスポットライトをあてた演奏で、藏野さんの指示にオケも見事についてきて、充実したとても素晴らしい演奏を堪能させてもらった。
カレリアの素晴らしい演奏で大きく期待がふくらんだドヴォルザークの交響曲第7番だったが、やはり難しい曲なのだろうなぁ、と感じてしまった。 別の大学オケで聴いたこの曲も同様なことを感じたことがある。 ただ技術的としては今回のオケのほうが遥かに巧いと思う。 でも同じような感想になってしまうのだから、難しい曲ではあるのだろう。 それに何より今回は歯痛がじんじん押し寄せてきたという面もあって聞き手としての余裕もなかった。 歯痛でなければもっといろいろな聴き方が出来たのに・・・と悔やまれるところでもあった(すみません)。 それでも一応振りかえってみることにすると、第1楽章は重みを感じさせる響きによって始まった。 重厚というよりも、音を凝縮させたような感じである。 先ほどまでの自信満ちた軽快さはなく、ちょっと手探りのような響きにも感じた。 盛りあがる場面では、おおきく丸ぁるく指揮する藏野さん。 うねるようにおおきくゆったりと表情をつけようとしているようだ。 曲が進んでもやや濃厚な味付けではあるが、フィナーレの盛りあがりはストレートで力強いもので、なんか聞き手としての僕の焦点がちょっと定めきらないうちに曲が終わったという感じだった。 第2楽章はクラリネットの暖かい音色と懐かしい感じのするファゴットの音に弦のピチカートがゆったりと曲を進めていった。 ちょっと淡々としたところはあり、心地良い音楽がしばらく流れていった。 巧いとは思っているのだが、どこかインパクロに欠ける演奏に思えてしまう。 歯痛による疲れで集中力が欠けてきたみたい。 第3楽章のスケルツォは、藏野さんの踊るような指揮で、弦がうねるように響くが、管楽器はどこか朴訥とした感じでちょっとアンマッチか。 独特なリズムが拍感をずらす場面はすっと流れていった(個人的にはここにアクセントが欲しいところだがアマオケにそこまで要求するのは酷だろう)。 フリアントが戻ってきて音楽が大きくなる。 きちっと纏って演奏されているはここでも分かったが、何かが欲しい感じが拭えない・・・何だろうか。 アタッカで入った終楽章はゆったりとしていたが、しだいに速度をあげていった。 弦の厚く熱い響きに抑揚がついてぐっと盛りあがってゆくが、キレが良くないのかパシッと決まらないように思えた(わざと決めていないのかな)。 迫力はあるが、わっーと演奏しているみたいにも聞こえる。 決して手抜きではないのもよく分かっているのだが、歯痛も手伝っているせいで集中力が切れていることもあるのだろう。 色々な聴き方ができず、CDで耳にしている演奏と違う部分を想像して再構築する思考ができないのである(すみません)。 曲は終始おおきくゆったりと振っている藏野さんに合わせて盛りあがってゆき大きくまとめたようなエンディングで曲を閉じた。
終演後の藏野さんの様子を見ると大汗をかいた熱演のようでしたが、う〜んんん、こちらはちょっと空回りしたような気分になってしまいました。 しっかりと体調を整えて次回はリベンジしたいと思います。 やはり歯医者に先にいくべきでした。