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宝塚市交響楽団 第35回定期演奏会

演奏への強い自信を感じた戻る


宝塚市交響楽団 第35回定期演奏会
2002年9月1日(日) 14:00 ザ・シンフォニーホール

サン=サーンス: 英雄行進曲 作品34
ウェーバー: ファゴット協奏曲 ヘ長調 作品75(*)
ベルリオーズ: 幻想交響曲 作品14a

ファゴット独奏: 宇治原 明(*)

指揮: 田中 一嘉

連ちゃんでシンフォニーホールへ、今日は一人なのでのびのびできる・・・と思って30分前にホールについたらなんと長蛇の列。 予想外に人が集まってきたのでしょうか、15分ほど並んでからホールに入りましたが、最終的に3階席まで人が入っていたのでほぼ9割の入りだったと思います。 やはり座席引き換えに手間取ったからでしょう(あれでは遅れるのも無理もないような列でした)開演時間が10分ほど遅れての開始となりました。
さて、このオーケストラ、若くてイキの良さと演奏への自信を強く感じました。 ヴァイオリンのアンサンブルなどもきちっと揃っていて透明感があって見事な響きでしたし、管楽器の皆さんのソロはどれも巧くて、またアンサンブルもきっちりと呼吸して纏めていました。 そして何より幻想交響曲のクライマックス、ものすごい迫力で締め上げていたのが凄まじくて度肝を抜かれました。 またあれほどの大音響であっても、アンサンブルが全く崩れないんですね。 イケイケドンドンっていう感じではまるでなく、かちっと最後まで纏まっていたのが本当に素晴らしかったと思います。 田中一嘉さんの指揮はこれまでにも神戸市民交響楽団の演奏会で接していますが、ちょっと地味な感じがするのですけれど、きちんとオケの手綱を握っているのと同時にオケの自主性をも見事に引き出しているような感じです。 オケのほうもそんな田中さんに全幅の信頼を置いているのでしょうね、演奏する曲に対して自信を持って臨んでいたように感じました。 とにかく素晴らしい演奏会でした。

さてコンサートを簡単に振り返ってみたいと思います。 まずサン=サーンスの英雄行進曲の冒頭の柔らかく、しかも弾力のある弦楽器の響きに痺れました。 コントラバスの響きもよく響いてくるのですが、響きの角が取れてチャーミングな感じさえしました。 しかし甘いだけの演奏かというと、上から見ていても弦の分奏がきちっと決まっているのが目で確認できるので、各パートが本当によく揃って同じように響かせているのでしょうね。 こういう演奏を苦もなくやっているように見えました(本当は必死にさらっているのかもしれませんが見ている限りはそんな風には見えません)。 国民主義の自信を鼓舞するサン=サーンス曲を自信をもって演奏していました。
ウェーバーのファゴット協奏曲は、オケを10型に絞り込んだオケ(コントラバス=4本、チェロ=6本)と、宇治原さんのちょっと野太くて渋くて暖かく響くファゴットがよくマッチした一体感のある演奏になっていました。 素敵な演奏でした。 第1楽章の序奏は透明感のあるヴァイオリンの響きが軽やかで、そこにファゴットのソロが温かみのある音色が響いてきました。 オケのフルートやオーボエとの絡みもきちんとこなしていましたが、もともとの曲調もあるのでしょうね、どことなく几帳面さも感じた楽章でした。 第2楽章は何よりも憂いを帯びたファゴットの響きとオケのホルンとのしみじみとしたアンサンブルがとても素晴らしかったですね。 第3楽章はややユーモラスな楽想を朴訥に吹く宇治原さんに、きちんと寄り添うオケ伴奏でしたが、田中さんが細かなニュアンスを付けていたようです。 これまでもソロとオケの一体感を感じていましたが、より強くそれを感じさせた素晴らしい演奏になって曲を閉じました。 演奏終了後(最初に出てきたときもそうでしたが)長い棒(ファゴット)をもってひょこひょこと歩いて出てくる宇治原さんの姿は飄々としたお人柄の良さも伝わるようで素敵でした。
休憩をはさんで幻想交響曲は、何よりクライマックスがものすごい迫力で締め上げていたのが凄まじく、度肝を抜かれました。 あれほどの大音響であっても、アンサンブルが全く崩れなく、イケイケドンドンっていう感じではまるでなく、かちっと最後まで纏まっていたのが本当に素晴らしい演奏でした。 まず第1楽章は、木管楽器から弦楽器に繋いで柔らかく密やか響きによる開始でした。 息をのむほど巧かったですね。 この後、透明感のある弦楽器が音を重ねていくのですが、中低弦楽器がきゅっと締まって豊かに響いて曲を支えている安定感のある素晴らしいアンサンブルが続きました。 後半、華やかな金管楽器が出てきても抑制がよく効いていてソリッドな感じで、低弦が断ち切るようにダンダンダンと鳴らす場面もスパっと切れて気持ちよかったです。 第2楽章の舞曲は、中低減の支えられたゆったりしたものでした。 けっこう雰囲気を出していたように思います(個人的にはバルビローリのような粘った舞曲が好きなのですがこれはアマチュアには向かないので個人的な趣味は無視します)。 低弦がことあるごとに顔を覗かせて不安を見え隠れさせる場面もよかったし、クライマックスの盛り上がりが凄まじい強奏のあと、最後はまたゆったりと大きくまあるく終わりました。 第3楽章は、この演奏に中で一番よく練られた演奏になっていたのではないかと思いました。 最初のコールアングレの響きには艶があってしんみりとさせてくれましたし、オーボエとの呼吸もぴったりと合っていました。 弦楽器の分奏もきちんとしててヴィオラの刻みもうまく絡んでいました。 各パートが有機的に絡んでいて素晴らしかったと思います。 クラリネットも暖かくしっとりした響きが素敵でした。 エンディングのティムパニが4人になったところではちょっと緊張していたようにも見えましたが、ラストはまたしみじみとしたコールアングレが見事でした。 第4楽章は低弦のよく締まった響きとメリハリのある打楽器・金管楽器による開始でした。 ソリッドな響きのよく締まった音楽でした。 最近は楽章で主題を繰り返す演奏も多いので、そうするのかな、と思っていましたがあっさりと(普通に)終わったような感じがしました。 第5楽章にアタッカで入らなかったことにもよると思いますが、エンディングの凄まじい迫力満点の演奏のために休憩を入れたのでしょうね。 仕方なかったのかもしれません。 さてその終楽章ですが、力強い低弦の響きに導かれて
ぐいぐいと音楽が進んでいってバンダの鐘の音に繋がりました。 鐘の音は固めの音で2個の鐘を鳴らしているようだったのですが、残念ながら僕の席からは微妙にズレて聴こえました。 ずっとズレて聴こえていたので、そういう響きの席だったのかもしれませんが、そのためにちょっと軽い響きになって聴こえたのが残念でした。 しかし音楽は集中力をより高めてクライマックスに進んでいきました。 そしてエンディングはこれ以上は無いという感じの大音量で度肝を抜かれました。 またあれほどの大音量であっても、アンサンブルが全く崩れないのがとにかく凄かった。 イケイケドンドンっていう感じではまるでなく、かちっと最後まで纏まっていたのが本当に素晴らしかったと思います。
普段は良いところばかり聴いた感想文を書くのですが、これほどまでに巧く演奏されると、ちょっと気になった点も書いてしまいましたが、実に素晴らしい演奏だったと思います。 演奏会がハネたあとの客席にも演奏の余韻が強く残っているようでした。 お疲れさまでした。