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A-Winds 2002年冬の演奏会(第10回記念演奏会)

指揮者による響き方の変化が印象的戻る


A-Winds 2002年冬の演奏会(第10回記念演奏会)
2002年12月15日(日) 14:00 やまと郡山城ホール 大ホール

ジョセフ・オリヴァドーティ: 序曲「バラの謝肉祭」 (*1)
ホマー・ラ・ガッシー: 海の肖像 (*2)
ウィリアム・H・ヒル: セント・アンソニー・ヴァリエーション(1985年改訂版)(*3)
ベルト・アッペルモント: ノアの箱舟(*4)
ロバート・W/スミス: 月への12秒(*5)

アンコール: Jan Wan der Roots: CANTERBURY CHORALE (*5)

(*1) 指揮:魚谷昌克(団内指揮者・団長)
(*2) 指揮:井村誠貴
(*3) 指揮:吉崎直之
(*4) 指揮:佐藤司(団内指揮者)
(*5) 指揮:中西 勲

奈良のアマチュア・ウィンド・オーケストラ(吹奏楽団)A−Windsの演奏会に始めて行った。 というか吹奏楽団の定期演奏会というものも始めてであった。 吹奏楽というと学校の音楽室にこもって練習してて、何かの学校行事の時に出てきて演奏する…といった程度の印象しかなかったが、A−Windsはアマチュアであるけれど、演奏はとてもしっかりしたものだった。 各自が本業を持ちながらも、きちっとした演奏を心がけているように感じられた。 そして派手に吹き飛ばしたりせず、全員がきちんと一丸となった演奏を心がけていて、時には風格すら感じられる面もあった。 ただ個人的には馴染みのない曲が続いたことと、いつも耳にしている管弦楽とはまた違った響きの質感に戸惑うことが多かったことも事実で、ぐいぐいとのめり込むとろまでいかなかったことは残念だった。 これはA−Windsのせいではなく今後の自分の改善ポイントである。 とにかく、演奏自体はとてもしっかりしていたし、指揮者の指示にも柔軟に反応していたこともあって、指揮者による響き方の変化がとても印象に残った演奏会だった。 またアンコールが終わったあとに客席に向かって団員の方が一斉に一礼をしたのはとても清清しかったことも記しておきたい(小林健一郎さんが指揮するオケではよくあるけれど、団員にどこかはにかみが感じられるのだけれど)。

冒頭の序曲「バラの謝肉祭」は、とても柔らかい響きによる始まりが印象に残った。 団長の魚谷さんの指揮のもと、とてもきちっとした演奏だった。 カーニヴァルの情景とのことだが、ちょっと生真面目に聞こえてしまったのは団長さんの性格が出ていたのだろうか。
井村さんが登場されて、インタヴューが始まった。 ここ数年、結構井村さんの指揮による音楽を聴かせてもらっているが、声を聴いたのは始めてではないかしら。 クラシックとか吹奏楽というジャンルではなく音楽を一緒にやる仲間としてA−Windsにも関わっておられるとのこと。
さてその井村さんによる「海の肖像」は、暗譜でかつ指揮棒を持たず素手によるスケールの大きな指揮で、メンバーをぐいぐいとノセていった。 自在に音楽をコントロールしている感じ。 集中力の高い演奏だった。 しかし、このあとに指揮された方の演奏と比べると、吹奏楽的なメリハリには乏しく、大きな音楽のうねりを強調したオペラ的な印象をもった。 曲そのものの性格なのかもしれないけれど・・・
「セント・アンソニー・ヴァリエーション」は、有名なところではブラームスのハイドンの主題による変奏曲のテーマとして有名だが、このテーマを用いて華麗な吹奏楽曲としたものとのこと。 そして演奏された音楽は派手に音を出し盛り上がったという印象が強い。 井村さんは音楽を横の響きを繋いでいたような感じだったけれど、吉崎さんは縦の響きを強調していたようにも感じた。 トランペットやトロンボーンの強奏、ティムパニやパーカッションの強打などがちりばめられて、吹奏楽の醍醐味のようなものを感じた。 なおこの曲からコントラバス奏者として井村さんも演奏に加わった(はっきり言って縁の下の響きなので鳴っているのは分かりましたがどうだったのかはコメントできません)。
休憩に入って、沢山のパーカッションやキーボードが用意された。
団内指揮者でフルート奏者でもある佐藤司さんによる「ノアの箱舟」は、柔らかさと輝き持ったトランペットのソロに加えて(バンダの?)スネアドラムによる厳かな曲の開始。 このあとの楽しい気分から一転して嵐になると、ウィンド・マシーン、拍子木、トタン板などが登場。 パーカッション女性奏者が舞台狭しと移動していた。 嵐が終わって温かみのあるクラリネットのソロなども分かりやすくて、なんとなく大河ドラマ的な曲という印象を持った。 もうちょっと長い曲なのかな、と思っていたけれど意外とすんなりと終わったようにも感じた。
さて、最後はデヴュー・コンサートの時に取り上げた曲という「月への12秒」。 トランペットには指揮者の吉崎さん、フルートには佐藤さん、もちろんコントラバスは井村さんという全員参加による演奏で、中西さんの指揮のもとに大いに盛り上がった。 指揮者の中西さんは、吹奏楽の醍醐味を充分に引き出すテンションの高い指揮で、スペクタクル満点だった。 鉄琴を弦楽器の弓で弾いて音を出したり、鉄の塊(金床?)を金槌で連打するなどの独特な演奏方法もあったけれど、サックスの物悲しい響きや、ホルンの斉奏など、吹奏楽の魅力を充分に出しきっていたようだ。 集中力は全く途切れることはなく、曲を最後までを締めくくっていた。 終演後大きな拍手に包まれていた。
個人的には馴染みのない曲が続いたことと、いつも耳にしている管弦楽とはまた違った響きの質感に戸惑うことが多かったことも事実で、ぐいぐいとのめり込むとろまでいかなかったことが残念だった。 これはA−Windsのせいではなく今後の自分の改善ポイントである。 とにかく、演奏自体はとてもしっかりしていたし、指揮者の指示にも柔軟に反応していたこともあり、指揮者による響き方の変化がとても印象に残った演奏会だった。 最後に、アンコールが終わったあとに客席に向かって団員が一斉に一礼をしたのはとても清清しかったことも記しておきたい(小林健一郎さんが指揮するオケではよくあるけれど、団員にどこかはにかみが感じられるのだけれど)。