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吹田市交響楽団 サマーコンサート

夏の恒例行事・鉄腕アトムが飛び出した戻る


吹田市交響楽団 サマーコンサート
2003年8月31日(日) 14:00 吹田市文化会館「メイシアター」大ホール

音楽処方箋
〜桂しん吉さんの語りで、症状に合わせた音楽を〜

第1部

ヴェルディ:歌劇「アイーダ」より凱旋行進曲
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
ハイドン:交響曲第94番「びっくり」より第2楽章
チャイコフスキー:弦楽セレナーデより第1楽章冒頭
ショパン:プレリュード第7番イ長調より(p)
ショスタコーヴィッチ:交響曲第5番「革命」より第4楽章

指揮:新谷 武
案内人:桂しん吉、Dr.米山(p)

第2部
Let’s Try − あなたも名指揮者!

ショスタコーヴィッチ:交響曲第5番「革命」より第4楽章
ヴェルディ:歌劇「アイーダ」より凱旋行進曲
チャイコフスキー:弦楽セレナーデより第1楽章冒頭

案内人:桂しん吉、米山 信

第3部

J.ウィリアムス:交響組曲「ハリー・ポッター」

指揮:米山 信

アンコール

高井達雄(作曲)新谷武(編曲):鉄腕アトム主題歌

指揮:新谷 武


今年で5年連続ですね。 夏休みの終わりは吹田市交響楽団のサマーコンサートを聴く、これは我が家の恒例行事と化してしまった感があります。 堅苦しいことを言わず、気軽に楽しめるこのようなオーケストラの企画物ってもっとあっても良いと思うのですけどね。 しかもこのオケのサマーコンサートは無料ですからもう見過ごすわけにはいきません。 まぁ演奏する側にとっては、耳慣れた有名名曲のオンパレードっていうのは別の意味でキツイとは思いますけれど、今年もしっかりとした演奏をたっぷりと楽しませてもらいました。 またオケのそんな努力の甲斐もあってか、毎年ちょっとづつお客さんは増えているようですね。 今年はここ5年では一番お客さんの入りが良かったように思います。 いつも聴かせてもらっている者としてもお客さんが増えるのは嬉しいことですね。 さて今年の目玉は何と言ってもアンコールでしょう。 アンコールの鉄腕アトムの主題歌にはホール内が熱気の渦に巻き込まれていたようです。 そしてその最高潮な盛り上がりのままお開きになり、子供たちともども大変満足し大喜びでホールを後にした演奏会となりました。 


さてこのサマー・コンサート。 毎年ちょっとずつ趣向を凝らしていますが、今年は落語家の桂しん吉さん(なんでもチェリストの団員の方のご子息とか)の司会という新機軸でした。 落語家さんの司会ということでしたが、思ったほどハイテンションにはならず、いつもの落ち着いた雰囲気のなか、Dr.米山さんのトークも入ったクスクス笑いで進行していきました。
冒頭のアイーダは、舞台に向かって右の袖の部分にトランペット5本、左に2本、オーケストラの中にも2本のトランペットと立体的な音響効果を狙った演奏でした(いかんせん僕はいつもどおり2階席上段なのでちょっと悔しかったんですけどね)。 最初の曲ということもあって、多少緊張しているせいか演奏にどこか硬さも感じましたが、煌びやかで華やかな開幕です。
白衣を着た音楽処方師Dr.米山さんがここで登場し、桂しん吉さんとのトークになりましたが、まだちょっとお互い手探り状態な感じ。 クラシックのコンサートなんで難しいみたいです。 とにかく癒しの曲としてバッハのコラールの演奏を聴くことになりましたが・・・
このバッハのコラールが実に良かった。 美感を漂わせていて、金管と低弦による響きはオルガン・サウンドでした。 ゆったりといい気分になることができ、会場からも華やかだったアイーダにも勝る大きな拍手を受けていました。
さて今度は恋の病に効く音楽として処方されたのがマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲。 こちらはじつに穏やかな弦楽サンサンブル。 これみよがしな変なアクセントなどつけないところが魅力的でした。 なかでもヴァイオリンとチェロの対比が見事に決まっていたのが印象に残りました。
さて、これでは眠くなってしまうということで処方されたのがハイドンの「びっくり」なんですが、こちらは暖かい感じのするアンサンブルとなりました。 とても丁寧に演奏されていて、コーダこそぐんと盛り上がりましたけど、ここでも誠実な音楽といった印象ですね。
う〜ん、これではまた眠くなってしまう、との桂しん吉さんの話を受け、Dr.米山さんも18世紀の人間は驚いたかもしれないが・・・とことわりを入れたあとプログラムにはないが指揮者の汗が飛び散る曲としてチャイコフスキーの弦楽セレナーデの冒頭を紹介。 新谷さんがそれに応えて大きな身振りでこの曲を演奏しましたが、この部分だけでは汗が飛び散ったかはちょっと疑問ですけどね、とにかくうねりを大きくとった演奏でした。
このあとお腹に効く曲として、Dr.米山さん自らピアノに座って胃薬のテレビ・コマーシャルで有名なショパンのプレリュードを演奏したあとストレス解消の処方として出されたのがショスタコーヴィッチですが、これは大変な熱演でした。 
ティムパニのタイトな響き、快調なリズムに乗せた金管楽器群、特に低音金管楽器が十二分に締まった音で実にカッコ良かったですねぇ。 中間部の不安な雰囲気もよく出ていたし、コーダの部分では堂々とした演奏になって、最後にホルンがベルアップしていたのは視覚的にもカッコ良くまた音響的にも大変充実した演奏でした。 この曲、実演では少なくとも2回は聴いたことがあるはずですがホルンのベルアップは見過ごしていたようですね()。 部分的に聴くのもまんざら捨てたものではないと反省しました。 最後に1点だけ、大熱演の打楽器軍団の銅鑼がちょっと小さかったようでした。 奏者の思いほど響きが行き渡らなかったみたいでちょっとここだけが残念でした(この残念というのは奏者の方の気持ちが残念という意味で、演奏全体には満足しています)。

第2部のお馴染み指揮者コーナー。 
今年は年代性別を違えて4人の人が挑戦しました。 小さな女の子によるアイーダ(米山さんのサポート付き)、桂しん吉さんの弟さんによる大熱演の弦楽セレナーデ(腰をくねくねさせていたのも印象的で、やっぱ何事も腰が据わってないとアカンなぁ〜と改めて感じさせられましたけどね)、主婦の方によるアイーダ、年配の外国の方によるショスタコーヴィッチと、いずれもそつなくこなしていたようです。 崩壊寸前にまでテンポを落とすとか、いきなり速くなるのほうが見ている方は面白いんですけどねぇ(ってお前指揮しろって言われるイヤですけどね)。 いつものとおり楽しませてもらいました。

さて指揮者コーナの後は休憩もなく引き続き第3部のハリー・ポッターの音楽になりました。 
プログラムには8つの場面にアルファベットのAからHまでの記号をつけていますが、演奏する順番はバラバラで、おまけに1場面だけ演奏しない曲もあるとのこと。 どの順番で演奏したかを当てるクイズ形式にもなっていました。 僕はこの映画のことはよく知らないし、ましてこの映画音楽をジョン・ウィリアムスが作曲していたのもこのコンサートで知ったほどです。 神秘的で快活な演奏がメドレー形式でどんどん流れて行きましたが、いずれもそれらしくてコメント不能です。 しかしハリー・ポッター・ファンを自称する長女はこれまでになく懸命に演奏を聴き、パンフレットを見ながらメモをしていました。 とても真剣なんでこちらのほうにびっくりしてしました(苦笑)。

そしてアンコールでは会場が大きく盛り上がりました。 新谷さんの編曲による鉄腕アトムの主題歌。 僕のようなハリ・ポタには少々戸惑っていたおじさん・おばさんも一緒になり、ホールは熱気の渦にまきこまれました。 曲もしっかりと歌詞の1番から3番まで演奏され、このことに手塚治虫ファンでもある長女は大喜びをしていました。 その最高の盛り上がりのままお開きになって大変満足してホールを後にしました。 
このような素敵なコンサートを毎年無料で開催してくださる皆さんどうもありがとうございました。

)奏者の方より掲示板に書き込みをいただきました。 ショスタコーヴィッチの交響曲第5番終楽章のコーダの部分におけるホルンのベルアップは団独自の判断によるものとのことでした。 この曲は元気のでる音楽処方箋による演奏であるため、トランペットやトロンボーンは朝顔の部分を正面に突き出して演奏することになり、ホルンはリハーサルで協議した結果、本番でベルアップを採用したとのことでした。