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枚方フィルハーモニー管弦楽団 第58回定期演奏会

チームワークの良さで聴かせたガイーヌ戻る


枚方フィルハーモニー管弦楽団 第58回定期演奏会
2003年10月13日(祝・月) 14:00 門真市民文化会館・ルミエールホール

ヴェルディ: 歌劇「ナブッコ」序曲
ハチャトリアン: バレー音楽「ガイーヌ」抜粋(剣の舞、子守歌、クルドの若者たちの踊り、バラの娘たちの踊り、レズギンカ)
ブラームス: 交響曲第1番ハ短調 作品68

アンコール: エルガー: 行進曲「威風堂々」第1番

指揮:生島 靖


1年ぶりの枚方フィルの演奏会。 今回は会場を門真に移しての演奏会でしたが、ほぼ8割は入っていたでしょうか。 このオケの演奏会も気軽に音楽を楽しもうという人たちに恵まれた暖かい雰囲気のする演奏会でした。 ちょっと年配の方がお孫さんと思われる小さなお子さんを連れて来られていたり、若い夫婦が小さな子供さん連れて来られていたのがちょっと目立っていたようです。 でも演奏中はとても静かでした。 ルミエールホールが綺麗だったからでしょうか(枚方市民会館だともっと自由な雰囲気だったかも・・・笑)。
さて、演奏はどの曲も几帳面といってもいいくらいに丁寧に纏められた演奏でした。 ブラームスなどは、もっと弾けてもいいのに、と思ったほどでした。 なかでも良かったのはガイーヌですね。 とてもよく出来た演奏で、各ソロもよかったし、それを支えるこのオケのチームワークの良さも光った演奏でした。 とても楽しめましたが、中でも「クルドの若者たちの踊り」のクラリネットの女性奏者が常に首を振りながらリズムをとって演奏しているのを見ていると、こちらまで楽しくなって首でリズムをとっていました。 「剣の舞」のサキソフォンも色っぽかったし、「子守歌」のオーボエもエキゾチック、「レズギンカ」のフルートの響きのところではすっと周りが退いて柔らかいソロを浮き出していたチームワークも見事でした。 イケイケドンドンにならず、きちっとした音楽で最後までしっかりとした演奏は特筆すべきでしょう。 演奏終了後のブラボーも頷けました。
次回からまた枚方市民会館に戻り、1年後は50周年の第60回定期だそうです。 これからも地域音楽を支える地道な活動を続けていかれる枚方フィルを聴いてゆきたいと思います。


さて簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。いつもの枚方市駅ではなく古川橋駅で下車。 ここは運転免許証の書き換えの時にお世話になる駅なんですが、この時に前を通ったことのあるルミエールホールに始めて入りました。 いつもの枚方市民会館とは違ってとても綺麗なホールですね。 2階席は締め切られていたので、1階席の中央後方に座ることにしました。 開場して10分もたっていないのに目ぼしい席はいっぱいになっていました。 隣の席に来た初老のおじさんも、なんで門真やねんやろ・・・なんて言っていましたが、もう何度もこのオケの演奏会には来られている常連さんのようでした。 そんな常連さんに囲まれてホールはほぼ7割ほど入っていたでしょうか。 1曲目の時には遅れてきた人たちが沢山立ち見をされていましたので、最終的には8割ほどのお客さんが入っていたと思います。 入場無料ということもありますが、終始和やかな雰囲気に包まれていました。

第1曲目はヴェルディのナブッコ序曲。 トロンボーンとチューバの厳かな響きによる始まりがとても素晴らしかったですね。 このあとの弦楽器と打楽器のタイトな響きの対比もきちんとついていました。 ティムパニは重い響きで、チェロのピチカートもよく響いていました(ホールの響きのトーンだったかも)が、全奏になってもはやることなくコンパクトに纏めていました。 場面転換をしっかりと決めた纏まった演奏となっていました。 小手調べなんでしょうが、もうちょっとハメを外しても面白かったかな・・・なんて思いました。 冒頭の響きがとても素晴らしかっただけに余計にそう思ったのかもしれません。

第2曲目のガイーヌの曲は、ここ1年ほどの間に3回は聴いていると思いますが、チームワークが良くてとても楽しめた演奏でした。 特に「クルドの若者たちの踊り」が出色だったのではないでしょうか。 クラリネットの女性奏者が常に首を振りながらリズムをとって演奏しているのを見ていると、こちらまで楽しくなって首でリズムをとっていました。 そしてこの曲、なんとなく日本の民謡調にも聞こえたのもまた面白かったですね。 素敵な演奏でした。
「剣の舞」、先端が赤く小さなマレットに持ち替えて弾むリズムで始まり、これをピッコロ、フルートがきっちりとしたタイトな音楽で応えていました。 サキソフォンの響きが艶かしくて素晴らしかった。 「子守歌」、オーボエのエキゾチックな響きが魅力的でした。 これにファゴット、フルートとの絡みも素敵でした。 弦アンサンブルもよく雰囲気を出したものでした。 「クルドの若者たちの踊り」、クラリネットの響きも素晴らしかったしオケとの一体感が良く出た素晴らしい演奏でした。 クラリネットの女性奏者は常に首を振りながらリズムをとって演奏していて、それを見ているとこちらまで楽しくなって首でリズムをとっていました。 この曲、どこか日本の民謡調に聞こえたのも面白かったですね。 「バラの娘たちの踊り」、ここでもクラリネットが明るく楽しい響きと、ミュートをかけたトランペットの絡みがよかった。 弦楽器は常に安定してきちっとこの曲を支えていました。 「レズギンカ」、とてもよく纏まった演奏で、だんだんと音楽が熱くなってきたのが分かりました。 フルートのソロの時には周りがちょっと抑えてソロを浮き立たせ、ホルンの斉は全体に馴染んで突出することなくチームワークの良さを感じさせた演奏でした。 いずれの曲もイケイケドンドンにならず、きちっとした音楽で最後までしっかりとした演奏は特筆すべきでしょう。 演奏終了後のブラボーも頷けました。

休憩をはさんでブラームスの交響曲第1番、フィナーレは熱く燃えていましたが、各パートの誠実な音を丁寧に纏めたような演奏でした。 もうちょっと弾けてもいいのになぁとも思えましたほど几帳面なブラームスといった感じの誠実な音楽でした。
第1楽章はティムパニの弾力と深みを併せ持った響きで始まりました。 なかなかドイツっぽく重量感のある素晴らしい始まりだったのですが、弦楽器が少々控えめだったように感じました。 この後の長い序奏の部分、各パートは誠実に音を出し、生島さんが響きを重ねているのですが、なんか全体としての調和がイマイチみたく感じたのは何故でしょうか・・・展開部で主題が戻ってきたあたりから潤滑油が回ってエンジンが滑らかに回っていたように思いました。 コーダの部分は熱くなっていましたが、エンディングをふわっと終わらせた上品なものでした。 第2楽章は弦のアンサンブルに厚みが出てきたようです。 中低弦がタイトに響いてきました。 第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの対比もきちっと描かれていたようです。 明るいオーボエの響き、おちついたクラリネット、ホルンのソロは力強いものでしたが、いずれも全体の中に収まっていました。 ちょっと残念だったのはちょっと管と弦の間に隙間が感じられた部分があったことかな。 これはオケというよりも指揮者の領分かもしれませんね。 第3楽章の冒頭のクラリネットが牧歌的でした。 弦は中低弦の響きがずんとくる感じでなかなかよかったですね。 そのままアタッカで入った終楽章は熱い音楽になっていました。 ピチカートがよく揃っていて弾力を感じさせます。 ホルンが雄大な感じで響いたあとフルートが清潔感ある響きで応えていました。 お馴染みの弦楽器による主題はコクのある響きが素晴らしかった。 気合が随分入っていたのではないでしょうか。 このあと木管楽器も綺麗にからみながら音楽が徐々に大きくより熱いものに変身していきました。 さらに後半になるとホルンのタイトな響きも加わって全体に緊迫感が感じらるようになり、主題が熱く戻ってきたときに裏で鳴るトランペットの伴奏も面白く聴けました。 音楽はここから繰り返されるたびに更に熱気を孕んでいきましたが、生島さんは煽ることなくポイントになる部分をきちんと整えていたようです。 金管のコラールは堂々としかつ浮揚感のある見事なものでした。 最後にティムパニがたたみかけてきましたがこれを全体でしっかりと受け止め、最後まで誠実な音楽が崩れことなく曲を終えました。 とても几帳面なブラームスといった感じがしました。 個人的にはもうちょっと弾けてもらったほうが面白かったかなって思いましたけどね。 まぁ有名曲なので許してください。
アンコールのエルガーの行進曲「威風堂々」第1番は、管楽器のメンバーを打楽器に回しての熱演でした。 六甲おろしに似た曲・・・と生島さんは言われていましたけれど、元気一杯の演奏でアンコールにはうってつけですね。 楽しい気分になって帰路につくことができました。