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奈良交響楽団 第44回定期演奏会

タイトで熱気のこもった音楽が素晴らしい戻る


奈良交響楽団 第44回定期演奏会
2003年12月14日(日) 14:00 やまと郡山城ホール・大ホール

モーツァルト: 交響曲第35番ニ長調「ハフナー」
ブルックナー: 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ハース版)

アンコール: シューベルト: 劇音楽「ロザムンデ」間奏曲

指揮:船曳 圭一郎


城(ジョウ)ホールというと関西の若者では大阪城ホールなんですが、僕にはやまと郡山城ホールですね。 平和のシンボル金魚が泳ぐ城下町、と市役所の屋上に書かれているのを発見しました。 ここに来ると、な〜んとなくのんびりとした気分になってしまうんですけど、演奏は熱くて力(リキ)のこもったものでした。 そのせいか演奏後には客席から「凄かったね」の声が囁かれているのを耳にしました。 いずれも聴き応えのある演奏でした。
モーツァルトのハフナー交響曲では両端楽章。 重量感あるサウンドがすごいスピードで飛ばしていましたね。 ちょっとやり過ぎかな、と思えなくもない面もありますけど、こおいうはっきりした解釈は好きです。 楽しませてもらいました。
ブルックナーのロマンティックも若い指揮者らしく元気でメリハリのよく効いた音楽でした。 タイトな金管の咆哮と低弦の響きに熱気がこもっていました。 時折垣間見せる木管楽器の響きも素敵でしたが、欲を言えばヴァイオリンかな。 ここに磨きぬかれたような艶が感じられると更に良かったように思いますけど(多分にカラヤン/BPOの影響ありなんで)、そこまで望むのは本当に酷ですね。 とにかく常に熱い演奏で、大いに楽しませてもらいました。
奈良交響楽団も聴くたびに巧くなっていくなぁ〜というのが実感させられます。 次回定期はショスタコーヴィッチの交響曲第5番とシベリウスのヴァイオリン協奏曲。 いずれも難曲ですが、大いに期待したいと思います。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

出張帰りのあと立て続けに演奏会。 本当によく行くなぁ〜って自分でも思うんですけどね、13時にいそいそと自宅を出、城(ジョウ)ホールに向かいました。
城(ジョウ)ホールっていうと関西の若者にとっては大阪城ホールのことなんでしょうが、僕にとってはやまと郡山城ホールです。 近鉄郡山駅から線路ぞいに戻るようにちょっと歩くんですが、今回「平和のシンボル金魚が泳ぐ城下町」というのが市役所の屋上に書かれているのを発見しました。 奈良県文化会館だと、いつもせかせかと歩いてホールに向かうのですけどねぇ、このホールへはいつもこんな風にのんびりとした気分で歩いてゆけます。 リラックスした気分になって演奏会に望むことができるホールだと思います。
定刻の20分前にホールに入ったらクラリネット3本によるロビーコンサートが始まるところでした。 申しわけありませんが、ロビーコンサートを横目で見ながら2階席に上がって2列目(BB)の12番に落ち着きました。 真中よりちょっと左寄りですね。 ところで最近、音楽をもっと身近に感じてもらおうという趣旨からでしょうね、どこの演奏会でも開演前のロビーコンサートが盛んです。 とても良いことだと思いますけど、本番を控えてオケメンバーの方の負担になっていないかな・・・などとと余計なことも心配してしったりもします。 でも今回の演奏会については全くの杞憂でしたね。 いずれも熱くて力(リキ)のこもった演奏でした。 演奏後には客席のあちこちから「凄かったね」の声が囁かれているのを耳にするほどで、けっこうウケていたようです。 とにかく聴き応えのある演奏会でした。

1曲目はモーツァルトのハフナー交響曲。 メンバーが整列入場しましたが、8型の編成なんですけど中低弦のメンバーがちょっと多かったみたいです(8,7,6,6,6)。 チューニングが終わり、船曳さんが微笑みながら登場。 指揮棒を持っていませんでした。 船曳さんは客席に向かって一礼してオケの方を向いたあと、呼吸を整えているのか集中しているのか、ちょっと長めの間合いをとってから、気合のこもった音楽を導き出しました。
重量感のある音なんですが、まるで弾むようにグングンと進んでいきました。 コントラバスを始めとする中低弦、数が多いこともあってこれらの響きがしっかりと出ているんですが、スピード感があるので音楽がスタイリッシュに響いていました。 面白かったですね。 素直に音楽を進めているって感じがしました。 ほほう、こんなやり方もあるんだなぁと聴いていて嬉しくなってきました。 弦の響きの合間から聞こえる木管もチャーミングだったし、トランペットの響きもまろやかで(ロータリーではなくピストン式でしたね)全体のなかに溶け込んでいて素適でした。 フィナーレではホルンに煽りを入れてこの楽章を一気に駆け抜けたような感じでした。 
第2楽章の冒頭ちょっと出が合わなかったように思いましたが、この楽章は重厚な感じだったんですけど響きが端正。 もったいぶらない感じなのがよかったですね。 ゆったりしてても響きに熱気が滲み出てて、退屈せずに楽しめました。
第3楽章、メリハリのついたスケルツォでした。 ここでは柔らかいティムパニの打音が心地よかったのが印象に残っています。
終楽章はまた快速でした。 響きに重厚感があるんですが、それがぐんぐんとスピードを増していったのは第1楽章と同じですね。 ティムパニはヘッドが緑色のマレットに持ち替えてコンパクトに叩いてましたが、全体がぐんぐんと盛り上がってゆきました。 ちょっとやりすぎかなぁ〜なんて思える面もありましたけど、とにかくオケは最後まで指揮者についてゆきましたね。 見事でした。 ぐんと盛り上がったフィナーレには会場も大ウケで、後ろの席から「凄かったね」なんていう声がしきりに聞こえてきました。 
とにかく小難しいことを考えず、ストレートに若さと情熱で音楽で語った、という感じでしょうかね。 こおいうはっきりしたモーツァルトの解釈は好きです。 楽しませてもらいました。

休憩をはさんでメインのブルックナーのロマンティック。 オケは12型ですが、こちらも中低弦のメンバーをちょっと多くしていたようです(12,10,10,9,8)。 とにかく若い指揮者らしく元気でメリハリのよく効いた音楽でした。 タイトな金管の咆哮と低弦の響きに熱気がこもっていました。 時折垣間見せる木管楽器の響きも素敵でしたが、欲を言えばヴァイオリンかな。 ここに磨きぬかれたような艶が感じられると更に良かったように思いますけど(多分にカラヤン/BPOの影響ありなんで)、そこまで望むのは本当に酷ですね。 とにかく常に熱い演奏で、こちらも大いに楽しませてもらいました。
第1楽章、冒頭に弦のトレモロが充分に抑えられていてホルンの響きがとても見事でした(やった〜って感じ)。 ただこのあと木管が入ってホルンが呼応する場面にはちょっと怪しいかなって思う面もありましたけどね、体制にはまったく影響なく、そのままぐんぐんと盛り上がって見事なクライマックスを築きあげていました。 充分に引き締まった響きが本当に見事でしたね。 2階から見ているのでオケが一丸となっているのが良く分かります。 金管も頑張っているし木管も頑張っているんですが、チェロとコントラバスがよく揃っていたのがここでは効果的だったんじゃないでしょうか。 ただ、すっと退いたときに若干軽くなるような感じも受けました。 ここは指揮者の統率力の問題のような気もしますけどね、ヴァイオリンに艶が感じられるともっといいのになぁ〜なんて欲張ってしまいました(すみません)。 フィナーレは更に一段と強いファンファーレ、ホルンの強奏がとてもカッコ良かったですね。
第2楽章、船曳さんは棒をおいて指揮を始めました。 チェロの響きがまろやかに浮き出てきました。 木管楽器がちょっと強めに入ってきたでしょうか。 全体的にメリハリがついていて気持ち前に前に進むって感じがしなくもありませんでした。 これも若さゆえかな(う〜んん、我ながらおっさん臭いな)。 でも好きですね、こんな明快なブルックナー。 調が変って(?)明るくなる部分が好きなんですが、ここももうちょっとヴァイオリンを歌わせて欲しのが希望でしたけど、ここは指揮者の解釈としてすすっと進んでいきました。 しかし、チェロによるメロディ、オーボエの響き、そして瑞々しいピチカート、素適でしたね。 同じ音楽がどんどん繰り返されていい気持ち。 そのせいか回りでは寝ている人が多数いたようですけどね、僕は目をらんらんと輝かせてオケを見ながら聴かせてもらいました。 フィナーレはぐっと大きく盛り上げたあとすっと退いてじっくりと着地しました。
第3楽章、抑えたホルン、輝かしいトランペットによるファンファーレ。 華やかなんですが、全体の響きから突出することないのがいいですね。 盛り上がったあとのクラリネット・ソロが柔らかくて素適でした。 またこのあとのクライマックスでは朗々としたトランペットの響きが抜けてきたのとたたみ掛けるホルンの響き、力強くてカッコ良かったですね。
終楽章、チェロとコントラバスがズンズンと心臓の鼓動のように響いてきました。 じわじわっと盛り上がったあと、スパッと切る、よく揃ってました。 ずいぶんと気合が入っているのでしょうね、ここから熱い音楽が全開です。 もちろん金切り音での絶叫ではありません。 大きく開放的なファンファーレでホルンやトロンボーン、チューバの響きが力強く横から包み込むようななかトランペットの朗々とした響きがまっすぐに透ってきて気持ち良かった。 そしてすっと退いて木管楽器の柔らかい響きも清涼剤でした。 そしてまた冒頭のチェロとコントラバスがズンズンと響いてきて繰り返されます。 これまでヴァイオリンがもうちょっとなんて思う面もありましたがここまでくると熱く燃えて全員一丸でしたね。 静かな部分でも弦のトレモロに熱気が感じられました。 じっくり熟成されたような音楽から徐々にフィナーレに向けて音楽が熱く呼応しながら盛り上がったあと、ふわっと終わりました。 
ここちょっと(かなり)意外な展開でした。 パラパラっとフライング拍手みたいなのが出たあと、拍手が止んでしまいました。 船曳さんが客席を向きなおしてからようやく拍手に包まれましたが、なんか観客もバツが悪かったみたいな拍手になってしまいました。 タイミングよくなかったですね、可哀相でした。 でも確かにこのフィナーレ、あれだけ盛り上げたのだから、僕も元気よくスパッと切って割れんばかり拍手やな・・・って思いながら聴いていたんですね。 だから僕もちょっと唖然としてしまって拍手に乗り遅れてしまいました(すみません)。 しかしカーテンコールでは客席も気を取り直して充実した熱い演奏に盛んな拍手を贈っていました。