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吹田市交響楽団 第58回定期演奏会

イタリア交響曲がとても素晴らしい戻る


吹田市交響楽団 第58回定期演奏会
2004年6月6日(日) 14:00 吹田市文化会館メイシアター・大ホール

ワーグナー: 「さまよえるオランダ人」序曲 (*)
シューマン: 交響曲第4番(マーラー加筆版)op.120 (*)
メンデルスゾーン: 交響曲第4番「イタリア」

(アンコール) メンデルスゾーン: 「真夏の夜の夢」より「夜想曲」

指揮:新谷 武(*)、米山 信


イタリア交響曲がとても素晴らしかったのが印象的な演奏会でした。 米山さんの指揮は、いつもながらの省エネ指揮法。 でも、きちんとツボをおさえているためでしょうね、オケがしっかり反応しててとても気持ちいい音楽でした。 もともとイタリア交響曲はロマン派の音楽として、明るさや爽やかさが感じられる気持ちのいい曲なんですけどね、そこに古典派の延長線上としての構成感もしっかり感じられました。 オケの皆さんも健闘していて、低弦楽器の上に高音弦が乗り、木管そして金管がそれぞれの上に音が乗って、響きが綺麗に塗り重なってゆく感じがしたのが素適でしたね。 開放的なように聞かせても、きちんと抑制の効いていたイタリア交響曲。 米山さん、これみよがしな目立ったことは何もせず、淡々としているようなんですけどね、明るさや勢いだけじゃない聴き応えのある演奏に大満足しました。
なおこれに先立って演奏されたマーラー加筆版によるシューマンの交響曲第4番。 スコアにはまったく詳しくはありませんし、よく分からなかった・・・というのが本音です。 というか、個人的にはこの第4番の交響曲は大好きなのでよく聴いています。 しかし、なんか演奏にはピンとくる部分を感じませんでした。 好きな曲なんでハードルが高いってことで許してやってください。 もちろんオケが下手だったとかではないですよ(念のため)。 ホルンの斉奏やら、終楽章の盛り上がりなどは見事だったし、部分部分ではいいなぁ〜と思えた箇所は色々とあったんですけどね、全体として、個人的に欲しいと思っている部分でのメリハリが乏しく感じられたんですね。 そのせいかちょっとノリ切れなかったんです。 すみません。
最初の「さまよえるオランダ人」序曲は、なんと言ってもフィナーレのホルンのベルアップがカッコ良かった。 しかしこの演奏、ちょっと音が前に前にと出てくる感じだったかな。 もうちょっと懐の深さが感じられるともっとよかったように思いながら聴いていました。
ということで今回、前半2曲はちょっと辛口になってしまったんですけど、イタリア交響曲に満足して帰ってきた演奏会でした。 


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

今回は長女を連れてメイシアターに行きました。 長女は最近なぜかクラシックの演奏会づいています。 奈良女オケ、奈良響、そして今回の吹響と、1ヶ月に3つも演奏会に行ってます(蛙の子供は蛙って・・・?)。 そして演奏会が終わって帰宅すると、演奏会で気に入った曲のCDが無いのかと聞いてきます。 今回はイタリア交響曲がリクエスト。 やはり長女もこの演奏が好きだったようでした(やっぱり蛙の子やな〜)。

さて席はいつもどおり2階席の中央通路の後列に陣取りました。 ここは足元が広いので楽なんです。 そして今回、前回に比べてちょっとお客さんの入りが少ないような感じました(いつもどおり?)。 1階席は6割程度入っていたかしら。 2階席は3割くらいかな。 席では、足元もまた両脇も広々と開いてゆったりとしていました。 こんなに楽して音楽を聴くことに慣れてしまったせいですね、座席指定の演奏会はちょっと躊躇してしまいます。 ま、音楽は苦行ではないですからね、楽なのはいいことです(集客したいオケの皆さんゴメンナサイ)。

定刻になりました。 指揮者の新谷さんがゆっくりと歩いて登場。 「さまよえるオランダ人」序曲の冒頭、元気の良い音楽で始まりました。 ただ音が前に前にと進んでくる感じかな、わっ〜と演っているって感じかな。 もうちょっとうねるような感じが欲しかったんですけど、冒頭だからこんなものでしょう。 嵐がおさまると、一転して丁寧な音楽の運びになりました。 オーボエ(コールアングレでしょうか)、いい響きでしたね。 そしてまた嵐になると、ここではうねり感もよく出てきました。 ぐぃぐぃと響きが押し寄せてくる感じ。 ホルンの斉奏、ティムパニもタイトにきっちりっと決めてから、水夫の合唱。 大きくたっぷりとした音楽で、さらに盛り上がった頂点はホルンのベルアップでしょう。 ここでベルアップするんですね、知りませんでした。 とにかく格好良かった。 この後、すっと退いてからリアニに盛り上がり、パンっと弾けるようなエンディングでした。 元気よかったんですけどね、もうちょっと懐の深さが感じられるともっとよかったのではないでしょうか。 

ホルンやチューバ、ハープなどのメンバーが抜け、トランペットが入れ替わりました。 マーラー加筆版によるシューマンの交響曲第4番。 スコアにはまったく詳しくはありません(ただの変ったもの好きなんでマーラー版のCDも持っています)けど、今回の演奏についてはよく分かりませんでした。 というか、個人的にはこの第4番の交響曲は大好きなのでよく聴いてて、けっこうハードルの高い曲なんですね。 だからってことで許して欲しいのですけど、どうもピンとこない演奏に思えました。 もちろん、オケが下手だったとかでは全然ないですよ(念のため)。 ホルンの斉奏やら、終楽章の盛り上がりなどは見事だったし、部分部分ではいいなぁ〜と思えた箇所は色々とあったんですけどね。 個人的に欲しいと思っている部分でのメリハリが乏しく感じられたんですね。 そのせいかちょっと演奏にはノリ切れなかったんです。 すみません。

第1楽章、ちょっと長い間合いをとったあと序奏が始まりました。 やっと思い切るようにして始まった序奏。 たっぷりとした感じで、性急さはありません。 いい感じの始まりでした。 そして曲に明るさが見え、主部に入ると勢いがつきます。 ただ、ここにくると、ずんずんと曲が進んでいく感じがします。 主題のフレーズを切れ切れに処理する部分などいいんですけどね、もうちょっとタメが欲しかったなぁ。 そしてホルンの斉奏でぐっと盛り上げたあと、ここに一瞬の間合いを置いてもらいたかった(このあたりスコアが読めないので的確な指摘ができなくてすみません)。 金管を加えたクライマックスもリズムのノリはいいんですけどね、なんか各楽器間でのフレーズの受け渡しに漫然としたものを感じました。 フィナーレでホルンが健闘してこの楽章を閉じました。

第2楽章、柔らかな和音からオーボエのソロがとても綺麗でした。 ここではチェロがしっかりとオーボエの響きに合わせいて、これによってオーボエのソロもより引き立っていたのではないでしょうか。 さて、オケの響きが漸増し、悲壮感というか不吉な感じがより強く漂ってきます。 でもここでもなんだか纏まり感にちょっと欠けたような感じ。 ヴァイオリン・ソロは綺麗な響きでなんですけど、オケの響きのボリュームにちょっと埋もれてしまいそうに感じました(ホール最後尾ってこともあると思いますけどね)。 この後、コントラバスのピチカート、トロンボーンのコラール風の旋律、それぞれいいなぁ〜と思うものの、オケ全体として充分に溶け合っていないよう。 冒頭のオーボエの綺麗な旋律が戻ってきたとき、なんだかほっとし、この楽章を終えました。

第3楽章、早めのテンポよる開始だったかしら。 生き生きとしたスケルツォだったと指示されていたと思うのですけど、どこか淡々とこなしている風。 これは他のCDなどで聞いていた演奏の影響かしら。 どうも他のCDなどの演奏のイメージに引っ張られているのでしょうね、しっくりこないんです。 この楽章では、打点をもっと明確にし、ふっと止めるようなメリハリが欲しい・・・な〜んて思って聴いていました。 スコアも読めないのに偉そうに言ってすみません。

第4楽章、じっくりとした序奏。 これまでとちょっと雰囲気が違います。 ストレートなトランペットの響きから、ホルン、ティムパニと頂点を築いてゆきました。 ここでは一瞬の間をとって、主部に入ります。 いいですね。 更に欲を言うなら、もうちょっと迫力も持たせてもよかったんじゃないかしら。 とにかくこんなメリハリが欲しかったんです。 このあと新谷さん、もっとリズミカルに曲を盛り立てていこうと努力していましたけど、オケがなんだが及び腰みたいな感じ。 ようやっとクライマックスに向けて音量は上がってゆきました。 ホルンの斉奏がタイトで格好良かったな。 新谷さんは、その後も各楽器に指示を与えながらグィグィとオケを乗せてゆきました。 音楽に力が漲ってきて、かつスムーズに音楽が流れたエネルギッシュなフーガが感動的。 コントラバスも力いっぱい響いてきましたね。 急速なコーダから力強い和音にて曲を締めました。 このエンディングはとってもよかった。
いろいろと偉そうに書きましたけど、マーラー加筆版はともかく、この曲についてはもっとゴテゴテした感じの演奏が個人的に好きなのかもしれませんね。 そんなことをなんとなく感じた演奏でした。

15分の休憩のあと、指揮者は米山さんにバトンタッチ。 さすがにこのオケの常任指揮者兼音楽監督ですから、響きが違って聞こえました。 米山さんの指揮は、いつもながらの省エネ指揮法。 でも、きちんとツボをおさえているためでしょうね、オケがしっかり反応してて、とても気持ちのいい音楽になります。 もともとこの曲は、ロマン派の音楽として、明るさや爽やかさを感じさせる曲なんですけど、そこに古典派の延長線上としての構成感もしっかりと感じられる演奏でした。 低弦楽器の上に高音弦が乗り、木管そして金管がそれぞれの上に音が乗り、響きが綺麗に塗り重なってゆく感じがしたのが素適でしたね。 開放的なように聞かせても、きちんと抑制も効いていました。 米山さん、これみよがしな目立ったことは何もせず、淡々としているようなんですけどね、勢いや明るさだけじゃない素適な演奏に大満足しました。

第1楽章、はじけるように、爽やかな音楽が響いてきました。 イタリア交響曲の開始ってこうでなくてはいけませんね。 コントラバスがよく締まっていてリズム感よく、きちんとした土台になってます。 トランペットの響きも抑制が効いて、全体の響きにとてもマッチしていました。 とにかくごちゃごちゃしないスッキリしたオケ全体の響きが素適。 もちろん充足感が足りずに軽いってことも全くありません。 しばし聞き惚れてしまいました。 主題が再現される手前かしら、ほんの少し音量を下げてから主題に入ってきました。 よ〜く考えられた曲の運び、さすがに米山さんですね。 それに的確に反応しているオケも見事ですね。 とにかくオケの弦の分奏がきちっと決まってて、弦の響きが綺麗に重なって聴こえます。 そしてその弦の響きの上に木管楽器の響きが乗り、更に金管楽器が乗っていました。 ティムパニもコンパクトな響きが素適でした。 フィナーレでの響きが消えたあと、長い静寂がホールに広がったのもよかったですね。

第2楽章、やや熱気を感じさせた開始でした。 それをちょっと抑えるような指示を出した米山さん。 ゆったりと歌わせてゆきました。 ここでもコントラバスをベースにし、弦と管が一体になった響きで曲を進め、とても心地良かったですね。 長調になっても、ヴァイオリンの洗練された響きと木管の優しい響きがよく合わさってました。 このあとも、米山さんは省エネな指揮で、淡々と曲を進めているようなんですけど、緻密に組み合わせられたオケの響きを充分に楽しませてもらいました。

第3楽章、軽やかなで優雅なメヌエット。 フルートが柔らかな響きでしたね。 ここでもチェロとコントラバスがしっかりと下支え。 この曲、底が浅く感じられることが多いのですけど、そんなところ全くありませんね。 ファゴットとホルンも柔らかいファンファーレ。 トランペットも抑制を効かせた響きが軽やか。 でもオケ全体の響きにはちゃんと弾力を感じます。 やはり低弦がよく締まっていたからでしょうね。 

少しだけ間合いをとって気合を入れて始まった終楽章、やや縦ノリのリズム感。 サルタレロと題されていますが、これはタランテラに似たナポリの舞曲が元になっているそうですね。 しだいにオケも熱気をはらんでゆきますが、相変わらず米山さんは汗をいっぱいかかないような淡々とした指揮で盛り上げてゆきます。 大きな身振りで大きな音を要求して盛り上げるような感じじゃなく、響きの密度の濃さで勝負しているって感じですね。 抑制がきちんとかかっていて、とても充実した響きによる舞曲のリズムが気持ちいい。 そして冒頭のテーマに戻ったあと、熱気を内に秘めた充実した音楽で盛り上がり、最後、指揮棒を持った米山さんの右拳が心臓のあたりにすっと振り下ろされて止まった音楽、潔い幕切れでした。

素晴らしいイタリア交響曲でした。 これみよがしな目立ったことは何もなく、淡々としているようなんですけど、とても充実した音楽でした。 メンデルスゾーンが古典派の延長線上にしっかりと位置付けられていることもよくわかったような気がした演奏でもありました。 
長女もこの演奏が一番よかったと言っていたことを付け加えておきます。