BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
六甲フィルハーモニー管弦楽団 第19回定期演奏会

意気盛んなオケの集中力の高い伊福部戻る


六甲フィルハーモニー管弦楽団 第19回定期演奏会
2005年2月20日(日) 14:00 神戸文化ホール・大ホール

伊福部昭:交響譚詩(*)
ラヴェル:クープランの墓(*)
ブラームス:交響曲第3番

(アンコール)ブラームス:ハンガリー舞曲第1番

指揮:松井真之介(*)、森 康一


伊福部の交響譚詩、集中力高く、オケの響きにも艶を感じてとても素晴らしかった。
いずれの演奏も集中力の高さを感じましたけど、勢いを感じながらも派手派手しくない第1譚詩、叙情性をもってしみじみと歌った第2譚詩。 いずれも懐かしさを感じさせるのは日本人の作曲だからでしょうね。 一緒に連れてきた小学5年の長男も、最初から最後まで実に興味深そうに聴いていたのも印象的でした。
ラヴェルのクープランの墓はヴァイオリンの数を絞り込み、軽やかにかつしっとりとした演奏に仕上げていました。 木管楽器がとてもチャーミングでした。 浮遊するような感じもよく出ていたように思います。 思います、っていうのはフランス音楽が苦手なのでこんなところで勘弁してください・・・
ということでメインのブラームスの交響曲第3番。 こちらは何度も耳にしている有名曲です。 耳慣れていることもあってハードルが高くなってしまうのですけど、ストレートな感じのした演奏でした。 ただちょっと生真面目な感じが見え隠れしていたようですけど、緻密さという若さの現れでしょう。 オジサンにはもうちょっと揺らすなり見栄を切るなりして歌って欲しかったなぁ、というのが率直なところなのですけど、とにかくこの演奏も集中力が高いものでした。 そして第4楽章に至ってはかなり熱い演奏になっていました。
ということでこの演奏会、どの曲もオケのポテンシャルの高さを感じ楽しみました。 
そして、次回はマーラーの「復活」ですか・・・しかもいつもどおりの入場無料。 意気盛んなこのオケの今後がますます楽しみになりました。


簡単に演奏会をふり返ってみたいと思います。

珍しく長男を連れてちょっと早めに家を出ました。 長男のお目当ては、本町駅ホーム内の水槽にいるアロアナ。 海遊館の魚を展示しているのですけど、先日他の演奏会に連れていった長女が見ていて、自分も見たくなったようです。 なんたって動物好きですから。 でそのアロアナ、事前に話を聞いていたシルバーアロアナに加え、アジアアロアナも居たのが意外だったみたいで、暫く水槽の前にへばりついて鑑賞。 とにかくデッカイですねぇ。 帰りにもまた見ることにしてその場を離れ神戸に向かいました。

良いお天気の中、湊川神社横の坂道をせっせと登って神戸文化ホールには15分前に到着。 
さっそく2階席への階段を上り、中央通路後ろの足元の広い席(4列-34)を確保しました。 身体も火照っていたし、会場も暖かいので、セータも脱いで落ち着きます。 ざっと見渡して、2階席はだいたい3割程度の入りかしら。 
2階のロビーには就学前の小さなお子さん連れが何組かいらしたのは入場無料だからでしょうか。 でもどのお子さんも着飾っているんですよね。 いわゆる余所行きの服を着ていて、見ていると可愛らしくていいもんですね。 休憩時間にはロビーの椅子(ストゥール)にお菓子や玩具を広げて遊んでました。

予鈴のブザーが鳴り、メンバーが整列入場します。 オケは通常配置で、弦楽器が 10-9-8-5-6 の編成になっていたようです。
ところでプログラムを見ても、「ようこそオーケストラへ」という冊子を見ても、指揮者が松井さんか森さんであるかが書いてありません。 まぁ伊福部を採り上げるのは松井さんだろう、と思ってはいたのですけどね。 その予想どおり松井さんが登場しました。

その伊福部の交響譚詩。 プログラムや前述の冊子に譚詩とはバラードのことで、外国風には「バラード・シンフォニカ」と呼ばれるそうですが、勢いを感じさせながらも派手派手しくない第1譚詩、叙情性をもってしみじみと歌った第2譚詩、ともに集中力高い演奏は交響的でかつオケの響きに艶も感じられる素晴らしい演奏でした。 どこか懐かしさを感じさせるのは日本人の作曲だからでしょうね。 長男も最初から最後まで実に興味深そうに聴いていたのもまた印象的でした。

第1譚詩、松井さんが指揮台の上で背をかがめて集中力を高めてから跳ね上がるようにし、軽やかな音楽が飛び出しました。 輝かしいブラス、艶のある弦の響きといい見事な開始。 トランペットが巧かったですね。 勢いのある音楽を進んだあと、オーボエ、ヴィオラ、コールアングレがゆったりと歌ったあと、また活気づいてきます。 このあとのコールアングレが密やかなに奏でられたり、実に緻密に音楽を組み立てているけれど、生気を失わず、また派手派手しくも感じさせず見事でした。 ホルンとトロンボーンが重い響きでブンチャッチャ・・・と奏でる部分も安っぽくなりません。 ティムパニの強打にハッとさせられたあとぐんぐんと盛り上がっていったあと、松井さんが両手両足をX字のように広げてバシッと止めたのはカッコ良かった。

第2譚詩、木管の密やかな響きに続いてヴィオラが叙情性を持った響きで芯になり進んでゆきました。 中でもコールアングレの響きが東洋的な密やかさを感じさせていたのと、ヴィオラを中心にした中音弦の響き、プログラムにも「呪詛的なソロ部分と神楽のような全合奏の絡み合いが印象的」と書かれていますけれど、まさしくそれを体感。 どこか懐かしい感じ、遠くに聴こえる村祭りの音楽かしら、そんなことを考えているうちに曲が盛り上がってきて艶やかなトランペットの響き。 そのあと密やかなコールアングレのソロで、最後はズン・ズン・ズン・・とリズムが消え入るようになり、松井さんの左手が拳を握ってそっと終わりました。

演奏とは関係ありませんが、最後のズン・ズン・ズン・・のリズムに合わせて、隣のお爺さんのイビキがそれに妙にシンクロしていたのには吃驚しました。

管楽器メンバーが入れ替わって絞り込まれ、また弦楽器の編成も 7-10-7-5-6 になったようです。
チューニングがなかなか始まらず、オケメンバーもアレって思っているような雰囲気を感じた頃、2ndクラリネット奏者の方が駆け込んでこられて準備完了。 さて、こちらも指揮者の記載がありませんけど、森さんがホルンのトップを吹いていることがパンフレットから読めますので、指揮者は引き続き松井さんとなります。

ラヴェルのクープランの墓、第1ヴァイオリンの数を絞り込んだこともあって、軽やかにかつしっとりとした演奏に仕上げていました。 木管楽器がとてもチャーミングでした。 浮遊するような感じもよく出ていたように思います。 思います、っていうのはフランス音楽が苦手なのです。 あまり耳馴染みではないので、こんなところで勘弁してください・・・

前奏曲、軽やかにかつ渦を巻くようなオーボエと弦の響きが印象的な開始でした。 後で調べたら16分の12拍子なんだそうですね。 音楽が大きく膨らんだのちまた冒頭の響きに戻ります。 金管が加わっても響きの柔らかさ、軽やかさは泳ぐみたい。 松井さんが大きく振ってハープを誘導してから曲を終えました。

フォルラーヌ、大きく振ってまろやかな響きによる開始。 木管奏者の方が身体を使ってニュアンスを出しているのがよく見えます。 そんな瑞々しい木管の響き、爽やかな第1ヴァイオリン、最後はチャーミングな金管も加わった集中力の高い演奏でした。

メヌエット、オーボエが歌いはじめフルートに引き継ぎます。 オーボエの優しい響きが魅力的。 またハープと弦楽器が柔らかなピチカートとアルコでしっとりと伴奏を付けていてとても綺麗でした。 音量があがって、軽く吹くトラペットが加わったあと、しっとりとしたメヌエットに戻り、最後はチャーミングなハープに弦も応え、軽やかに閉じました。

リゴードン、元気よくといっても肩の力がうまく抜けたような軽妙さを持った音楽です。 キビキビとしていてホルンやトランペットも軽やかな響きで印象的。 弦のアンサンブルもまたよく揃ってました。 オーボエがエキゾチックな旋律を吹き、しっとりと歌わせたあと、また元気になっておどけた音楽のよう。 軽妙洒脱って感じでしょうか。 最後、松井さんが回した右手を高く差し上げて締めくくると残響がホールに残って素敵でした。 

15分の休憩。 何やら陽気ないい音楽が流れてくるな、と思っていたら、1階ロビーでコンサートをしていました。
トランペット2本、トロンボーン、チューバ、ホルンだったでしょうか。 2階席の後ろまで陽気な音楽の響きがまわってきていて、とてもいい雰囲気。 メインはジャズだったかな、でも最後は定番ともなった隣のトトロの音楽も聞こえてきて、長男がトトロだと教えてくれました。

ブラームスの交響曲第3番。 森さん指揮によるこの演奏は、耳慣れていることもあってハードルが高くなってしまうのですけど、ストレートな感じのした演奏でした。 ただちょっと生真面目な感じが見え隠れしていたようですけど、緻密さという若さの現れでしょう。 オジサンにはもうちょっと揺らすなり見栄を切るなりして歌って欲しかったなぁ、というのが率直なところなのですけど、とにかくこの演奏も集中力が高いものでした。 そして第4楽章に至ってはかなり熱い演奏になっていました。

第1楽章、締まったブラスの響き、弾けるように始まりました。 重いティムパニの響きで、カッチリと纏まった音楽。 精力的な第1主題、ゆったりと歌わせた第2主題のあと力をこめてぐっと盛り上げて主題の繰返し。 2回目はちょっとまろやかになったでしょうか、律儀な感じのする纏まった音楽という印象。 展開部でしょうか、コントラバスの響きに乗せてヴィオラとチェロが熱く歌う場面もありましたけど、重いティムパニを伴って主題の再現。 森さんは大きく振って雄大な感じもよく出していますけど、ストレートな印象を覚えました。 個人的にはもうちょっとタメを効かせて欲しいなぁとかって思うのですけど、ぐんぐん盛り上がってゆく集中力の高さは見事。 強く纏めたあと、上げた左手で何かをつまむようにして消えるように終わりました。

第2楽章、ゆったりとやわらかな木管と、ヴィオラ、チェロ、コントラバスが穏やかな響きで、じっくりと進められました。 ちょっと遅めのテンポだったかしら。 もうちょっと遅くしたら、オケに綻びが出そうな感じにさえ思えるほどじっくりと歌っていました。 中音弦が奮闘していたのが魅力的。 またチェロ、コントラバスのピチカートも柔らかな芯になっていました。 後半ちょっと乱れがあったかな、でも穏やかに締めくくりました。

第3楽章、チェロの旋律がゆったりと歌われます。 これがヴァイオリンに引き継がれてゆきますが、どことなくあっさりした感じ。 演歌のようにドロ臭く歌って欲しいわけではないけれど、オジサンにはもうちょっと粘り気が欲しい感じが・・・ ホルンも清潔な感じのするソロ、全体的にもじわじわっと進めてゆくのですけど、全体的に若さからかな、緻密さというのが勝っているようにも思えます。 情よりも技って感じでしょうか。 以前ならこの楽章を演歌のように歌わせるなんて、って失笑していたのですけど、僕も年齢とったのでしょうねぇ。 とにかく最後はやわらかくはずむような感じで美しく閉じました。

第4楽章、これまでにない熱さを感じた音楽で始まりました。 そう、これまでお行儀が良く、どこか外から冷静に見ているような感じもしたのですよね。 ま、ここでも忘我という感じではありませんけど、気力の漲りを感じます。 じっくりと熱く進めてティムパニが鋭く打って嵐に入ります。 裏で吹いているホルンもタイト、コントラバスのピチカートにも熱いものを感じます。 森さん丁寧に音楽を紡いでゆきますが気合も十二分に入ってます。 そしてコーダは穏やかな音楽となり、少々ぎこちなく感じた面もあったものの、じっくりと過去を回想する英雄のような感じで静かに全曲を纏めました。

どの曲もオケのポテンシャルの高さを感じ楽しみました。 
次回はマーラーの「復活」ですか・・・しかもいつもどおりの入場無料。 意気盛んなこのオケの今後がますます楽しみになりました。