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大阪市立大学交響楽団 ジューンコンサート2005

若々しく清新でエネルギッシュ戻る


大阪市立大学交響楽団 ジューンコンサート2005
2005年5月28日(土) 19:00 八尾プリズムホール

フンパーディンク: 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より前奏曲 (*)
ベートーヴェン: 交響曲第8番
シベリウス: 交響曲第2番

(アンコール)シベリウス: 悲しきワルツ

指揮:藏野雅彦、大塚洋平(*,学生)


エネルギッシュな藏野さんの指揮のもと、若々しいオケによる清新な力と熱気にあふれたシベリウスの交響曲第2番に満足しました。
シベリウスの交響曲第2番、藏野さんはきちっと縦の線を揃えながらも第1楽章から起伏の大きな熱い演奏、それが最後まで衰えることなく、第4楽章では底力のある金管が雄大に歌い上げて素晴らしい演奏でした。 もとからこの曲は叙情的に演奏するのではなく、ぐぃぐぃと力を込めて演奏するのが好きなので、とても聴き応えのある演奏には大いに満足しました。
ベートーヴェンの交響曲第8番も、若い学生オケらしく一本気な感じのするタイトでストレート、熱い演奏でした。 ただこちらはシベリウスと違って全体的に音量の幅が狭く、ガンガン演った、という感じもしました。 個人的な嗜好もあって、もうちょっと歌わせて欲しいところでしたけど、この律儀さを感じさせる若い学生オケでは、ルーズなオジさんの趣味とは相容れなかったのかもしれませんね。
というのも、途中の休憩時間のこと。 休憩時間が15分間とのアナウンスのあと「8時4分から演奏開始予定です」との言葉が続いたので、えっ、て思って時計を見たら、演奏終了は7時49分でした。 それに15分加えると8時4分ですね、確かに・・・(でも細かいな)。 しかも、本当に8時4分きっかりにオケメンバーが登場しました。 そして1分もかからずに全員が席につき、コンマスが8時5分の数秒前に出てきたのにはもう脱帽。 心底驚きました。 とにかく演奏に取り組む真摯な姿勢・気合が伝わってきた出来事でした。
冒頭の学生指揮による「ヘンゼルとグレーテル」の前奏曲、もちろん藏野さんのようなエネルギッシュさはありませんけれど、そんなオケ本来の真面目さ丁寧さのよく出た演奏でした。 ゆったりとした情感のこもった開始、きちっとした見せ場を作り、優しい時間をホールに流れさせて見事でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

長男に付き合って大和郡山まで熱帯魚や金魚を見に行き、自宅に帰ってきたのが17時半。 急いで軽く食べ、家を飛び出しましたけど・・・ 自宅のすぐ近くで外出から帰ってきた我が奥さんとバッタリ。 自宅に残した子供達の話をしてたら、なんと電車に乗り遅れましたよ。 ぎゃっ〜

そんなわけで、開演時間にホールに滑り込みました。 客席に入ると同時にオケのメンバーも舞台袖から入場してました。
客席はだいたい6割程度の入りでしょうか。 本当は2階席に行きたかったのですけど(締め切りでした、でも横の階段を使うと行けたかも)、1階中央通路の後ろ側で右端のブロックに落ち着きました(R-43)。 ここだと足を通路に投げ出せて楽チンみたいでいいです。 もっとも慌ててやってきたので、まだ息がゼイゼイと言ってますけどね。 入念なチューニングが始まりました。 ステージを見渡すと対抗配置、弦楽器は 15-13-10-8-6 の編成。 第1と第2ヴァイオリンの末席にはトレーナの先生が座っておられます。 学生指揮者の大塚さんが燕尾服を着て落ち着いた感じで登場、いよいよ始まります。

フンパーディンクの 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より前奏曲、 ゆったりとした情感のこもった開始から、きちっとした見せ場を作り、優しい時間をホールに流れさせていました。 きれいに、たっぷりとした明るい音楽として纏めあげていました。 とてもいい感じでしたけど、まだ息があがっていたので、前半はよく覚えていません(すみません)。

冒頭のホルン・アンサンブル、落ち着いていて、柔らかく情感のこもった響きで惹きつけました。 弦楽器も拡がりを感じさせて、ゆったりとしています。 大きくたっぷりと振って、木管楽器もなだらかに応えます。 さっと翻すようにして快活な音楽に変身。 それでも響きの柔らかさや、深さを失いません。 暗譜で振っていますけど、音楽がとても落ち着いていますね。 優しい時間がホール内を流れている感じ。 ゼイゼイとしていた僕の息もちょっと落ち着いてきたかな。 そして最後はまた勢いづいてきて元気で明るい音楽。 でもここもたっぷりとした厚みのある音楽として、輝かしい金管をうまくミックスさせていたようです。 とてもいい感じ。 フィナーレは優しくそっと纏めてこれも見事でした。

ステージが暗転し全員がいったん退場。 しばらくしてから、また出てこられました。 今度の編成は 13-11-9-7-4 。 やはりトレーナーの方がヴァイオリンの末席におられます。
あとホルン・パート、先ほどはヴィオラ後方の雛壇でしたが、ステージ最後列左側に移りました。 なお管楽器は通常配置です。 藏野さんが、大きな歩みで出てこられました。 客席に向かって一礼したあと「ヨロシクオネガイシマス」と言われたのかな、口がそんな風に動いていました。 いつも何か言っておられますね。

ベートーヴェンの交響曲第8番、若いオケらしく一本気な感じのするタイトでストレート、熱い演奏でした。 ティムパニの強打が目立っていたこともありますし、テンポもちょっと速かったかな、全体的に音量の幅が狭くて mf〜ff くらいでガンガン演った、そんな感じだったと思います。 個人的にはもうちょっと歌わせて欲しかった、と感じましたけどね。 とにかく熱気のこもった演奏でした。

第1楽章、さっそうとした音楽が始まりました。 ヴァイオリンが綺麗に響き、演奏のキレの良さを感じるのと、ティムパニが先の細いマレットで固めの響きで打っているのが印象的でした。 ファゴットがいい響きでしたね、他の木管もチャーミングです。 金管は全体の響きに合わせるようにやや抑え気味に吹いて、オケ全体がとてもよく纏まっている感じです。 藏野さんは要所を鋭角的に振って、カクカクッと決めながら進めます。 フィナーレに近づくのに連れて気合も入ってきたのでしょうか、金管もタイトに決めて、低弦の響きも増してきました。 最後は、ぐっと盛りあげたあと、ふわっとした着地。

第2楽章、やや速度をあげたメトロノーム。 フレッシュな響きで威勢の良い演奏ですね。 藏野さんも機械仕掛けのような動きをしています。 木管など相変わらずチャーミングで素適ですけど、音量が全体的に大きいかな。 mf〜ff くらいで推移しているみたいです。 音量の落差を利用するよりも、グィグィと勢いで進めている感じですね。 大きくすくいあげるようにし、まあるくこの楽章を閉じました。

第3楽章、縦の線を揃えて、やはりやや音量の大きなメヌエット。 ここも熱い音楽でしたね。 若い息吹のようなものが存分に感じられます。 ただ少しそんな熱気にのまれたのでしょうか、ちょっと惜しい面もあったようですけど、大勢にはまったく影響なく熱い音楽が終始流れていった楽章でした。

第4楽章、藏野さん、ちょっと猫背になって首をかしげ、小さく纏めるかのような出だしから、さっと翻してこれまでどおり、いやそれ以上の威勢の良い音楽を迸らせます。 本当に若々しい響きです。 でも藏野さんは端正な振り。 時には身体をくねらせるような場面もありますけど、曲のテクスチュアをいじることなく音楽を熱くさせます。 オケも持ち前の若々しさを武器に、縦の線を揃えて音楽をぐぃぐぃと乗せてきます。 ここでもやや速めのテンポだったでしょう。 後半、雄大な感じではありますが、トランペットの響きがよく透ってきましたね。 ホルンも見事に決めて、熱さと緻密さがうまく噛み合ってます。 畳み掛けるようなフィナーレ、最後は藏野さんが叩きつけるような感じに振って、熱く感動的に全体を閉じました。

とにかく、何度も書きますが、熱く若々しい音楽でした。 ただし、個人的にはもうちょっと歌わせて欲しいとか、音量の落差が欲しい面も感じたことも事実ですけどね。 ま、メンゲルベルクの演奏を最初に親しんでしまったせいなので許してください。

15分間の休憩、とのアナウンスのあと「8時4分から演奏開始予定です」との言葉が続いたので、えっ、て思って時計を見たら、確かに演奏終了時間は7時49分でした。 それに15分加えると8時4分ですよね、確かに・・・
でも細かいよなぁ、ちゃんと8時4分に始まるのかな・・・なんて逆に思ってしまいましたけど、本当に8時4分きっかりにオケメンバーが登場しました。 そして1分もかからずに全員が席につくと、コンマスが8時5分の数秒前に出てきたのにはもう脱帽。 心底驚きました。 とにかく演奏に取り組む真摯な姿勢・気合が伝わってきた出来事でした。

シベリウスの交響曲第2番、藏野さんはここでもきちっと縦の線を揃えながらも第1楽章から起伏の大きな熱い演奏、それが最後まで衰えることなく、第4楽章では底力のある金管が雄大に歌い上げて素晴らしい演奏でした。
藏野さん、時に大きく歌わせ、熱っぽく語りますが、オケもそれによく応えて見事。 もとからこの曲は叙情的に演奏するのではなく、ぐぃぐぃと力を込めて演奏するのが好きなので、とても聴き応えのあるこの演奏には大いに満足しました。

第1楽章、豊かな弦の響きが包む込むような開始。 やや音量は大き目だったでしょうか。 ホルンが柔らかな響きで吹きます。 とてもいい感じで始まりました。 そして軽く弾むように、また大きくゆったりとした流れに戻り、藏野さんは丁寧に振り分けて、起伏の大きな熱い音楽を演出します。 金管ファンファーレ、量感たっぷりでクレッシェンドしてきました。 木管アンサンブルの明るい響き、弦楽器は深みのあるアンサンブルで充実した音楽。 もう少し、うねるような感じが欲しい気もしますけど、パワーのある音楽に圧倒されました。 フィナーレはそっと包む込むようにゆったりと終了。

第2楽章、深い響きのティムパニ、先のベートーヴェンではタイトさばかりが目立っていましたけど、ここでは深みや抑えも見事に表現していました。 低弦のピチカート、ファゴットの響きと寂寥感を感じさせるところですが、世の中の不条理を訴えかけるかのような陰鬱とした感じもしましたね。 この楽章では、藏野さん、両手を大きく縦に振ったたり、右手を大きく回して前に突き出したり、とオケもよく応えていました。 うねり感はもとよりダイナミックさもよく出ていました。 トランペットのソロが官能的な響きで素晴らしかったなぁ。 リズミカルに力を蓄えて熱くタイトに盛り上がりますと、その熱い想いを引きずるかのようにして音楽を流す。 最後はより一層熱く盛り上げたあと、やや型どおりな感じに決めました。

第3楽章、力感のある弦アンサンブルが進めるタイトな開始。 オーボエのソロ、ちょっとそっけなく媚びない響きで突き放した感じかしら。 裏で吹くホルンは長閑さを漂わせていました。 チェロのソロは甘い音色が魅力的。 力を戻し、またタイトに音楽が進みます。 ホルンの響きはまろやかな音色ながら力がありますし、これに対抗する金管楽器の響きは底光がしてて素晴らしいパワー。 ノリノリって感じですね。 それがさっと引いて、またオーボエのソロ、チェロのソロで一息ついたあと、徐々に音楽が大きくなってきます。

第4楽章、金管が歌いながら雄大なメロディへと結びつきます。 トランペットが輝かしく、トロンボーンとチューバがカッコ良く決めていました。 滑るような弦楽器、透明感高く大きく歌い上げて素晴らしい。 藏野さん、ここでも大きく振って弦楽器を歌わせていますけど、常に打点が明快だからでしょうね、決してムーディに流れることなどない、きちっとした音楽となっています。 木管楽器が色をつけずに端正に吹いていたのもまた特徴的だったでしょうか。 後半、徐々に力を戻してきました。 ティムパニの強打でぐっと盛り上げ、弦楽器が雄大に歌うと、また金管ファンファーレがカッコ良く決めます。 ホント気持ちいい。 藏野さん、また身体を左右に大きくゆすり、手を大きく動かして歌わせ、すっと引いて端正に纏めたあと、ぐぃっと熱気を込めて最後は大きく右手ですくい上げるようにして全曲を纏めました。

エネルギッシュな藏野さんの指揮のもと、若々しいオケによる清新な力と熱気にあふれたシベリウスの交響曲第2番でした。 大いに満足しました。 走ってホールに駆け込んで正解でした。