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関西大学交響楽団 第28回サマーコンサート

若い指揮者と若いオーケストラの精力的な演奏会戻る


関西大学交響楽団 第28回サマーコンサート
2005年6月25日(土) 19:00  吹田市文化会館メイシアター・大ホール

ウェーバー: 「オベロン」序曲 (*)
グリーグ: 組曲「ペール・ギュント」より (**)
      「朝」「オーセの死」「山の魔王の宮殿にて」「アラビアの踊り」
      「ペール・ギュントの帰郷」「ソルヴェイグの歌」
ドヴォルザーク: 交響曲第8番ト長調

(アンコール)ドヴォルザーク: スラブ舞曲第1番

指揮: 高谷光信、織田映子(学生:**)、大塚佑馬(学生:*)


とても精力的な演奏会でした。 年寄り臭いけど、若いって素晴らしいなぁ〜なんてつい思ってしまうような演奏に圧倒されました。
若手イケメン指揮者の高谷さんによるドヴォルザークの交響曲第8番。 スタイリッシュな指揮で、要所をバシッバシッと決めて進めてゆきます。 もちろんイケイケドンではなく、抑えるべきところはしっかりと抑えを効かせて、じっくりと構えた恰幅の良い演奏とします。 全体的に漲るパワーを感じさせ、キレの良い爽快なドヴォルザークでした。 
ただし個人的にはガンガン演奏しているのが少々お腹いっぱいにも感じた面もありましたけれどね、とにかく若い指揮者と若いオーケストラががっぷりと組んだ活気に満ちたドヴォルザークを楽しみました。
でもこの日、もっとも精力的だったのは学生指揮者の織田さんではなかったでしょうか。
1曲目の「オベロン」序曲では 2ndヴァイオリンのトップサイドを弾いてから2曲目の「ペール・ギュント」では指揮台に立って6曲を見事に指揮。 このあとも1stヴァイオリンのトゥッティとしてドヴォルザークの交響曲第8番に参加されていました。 若いから疲れ知らずなのかしら、と思ってしまうほどでした。
しかも「ペール・ギュント」の演奏、お世辞抜きで6曲とも実に素晴らしい演奏に聞き惚れました。 前半は情感のこもった演奏で、弱音の表現力・集中力がとても素晴らしかったのを特筆したいですね。 そして後半、本来の持ち味であるキレの良い指揮をしてオケをぐぃぐぃと引張った統率力もまた素晴らしかった。 特にフレーズの間合いの取り方など、几帳面になぞるのではなく、聴き手に説得力を感じさせた演奏は見事の一言。 超有名曲なので、耳馴染みは良いけど、裏を返せばかえってアラも見えやすい難曲。 どのように料理するのかなと聴く前にはちょっと不安も感じていたことを白状しますけど、それは全くもって杞憂でした。 勿論、オケへ全幅の信頼を込めた指揮であったでしょうし、オケもまた仲間の指揮者を盛り立てるべく充実した演奏内容で応えていたのだと思いますが、とにかくこれが学生による演奏かと思うほど見事な演奏に参りました。 織田さんの指揮、これは只者ではないですね。 


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

このところウィークデイは仕事に追われているので、休日になるとぐったり・・・ 何となくゴロゴロして体力温存モードです。 夜中に目覚めて眠つかれなかったりもするので、日中にうたた寝して、なんとか体調を整えて家を出ました。
子供の頃、親が休日に家でゴロゴロしているのを見ているとなんだかなぁ〜 なんて思ってましたけど、なんとなく疲れていて動きたくないんですね。 そんな気持ちが分かる年齢になってしまいました。

それはさておき、開演15分前にホールに到着。 さっそく2階への階段を上ります。 いつもの中央通路後ろの足もとの広い席がお目当て。 片隅がカメラマン席として陣取られていましたけど、その反対隅に座りました(そ-18)。 シャッター音が聞こえて邪魔かな、と思いましたけど、ちゃんと布を被せて音を消してくれていたので支障はありませんでした。 1階席は8割以上入っていたでしょうか。 2階は3割ってところでしょう。 時間までパンフレットやプルト表を見て時間を潰します。

でもってプルト表を見ていると、2曲目の指揮者の織田さん、なんと1曲目の「オベロン」序曲では 2ndヴァイオリンのトップサイドなんですね。 しかもドヴォルザークでは1stヴァイオリンのトゥッティですか。 若いから疲れ知らずなのかしら、と思ってしまいました。
あと、この前の正指揮者の中山さん、大学院に進まれたようですね。 3rdホルン奏者として参加されていたのを発見。 頑張ってらっしゃいますね。 とにかく学生時代に打ち込めるものがあるってことは良いことだと思います・・・ ってなんだかイチイチ年寄り臭いなぁ〜

5分前のアナウンスのあと、メンバーが出てこられて着席。 弦楽器の編成が 13-13-9-8-8 の通常配置です。
全員が揃ったところで、再度アナウンス。 演奏に先立って、先日の福知山線脱線事故の犠牲者の方への黙祷をするとのこと。 全員が起立して1分間の黙祷を捧げました。
気分を引き締めて演奏に集中しましょう。 

1曲目のオベロン序曲、学生指揮者の大塚さん、ロン毛を後ろに束ねてスラリとした長身で芸術家風ですね。 演奏は、爽やかな弦アンサンブルがしっとりとし、活気のある管楽器も交えた後半が見事でした。 1曲目の序曲とあって、オケメンバーも若手主体なのでしょうね、前半はやや緊張気味でしたけど、後半は明るくまろやかな演奏として締めあげていました。 今後が楽しみです。

冒頭のホルン、やや緊張気味だっでしょうか。 ヴァイオリンがそっと奏でて入ってくる慎重な出だし。 そして再度ホルン、手堅く吹いて曲を進めると、爽やかな弦、木管楽器と続いてようやく余裕が出てきたようです。 ファンファーレ、最初の音がちょっと潰れたみたいですけど、軽やかでした。 前半は全体的にゆったりと進めているように感じました。
サッと振って、音が弾けて流れ出します。 キレが良かったですね。 若々しい活気を感じさせる音楽になりました。 ホルンのパンチも効いていたし、クラリネットも甘い香りがして素適。 でも何より明るく艶やかな弦楽アンサンブルが基調になっているのが個人的な好みなんですね。 まろやかでしっとりとした弦の響きがとても素適でした。 弦のアンサンブルに乗せて、底力を感じさせる管楽器が絡み、明るくまろやかな演奏として全体を纏めあげたのが良かったですね。 事故もありましたけど、大塚さん、終始堂々としていて今後に期待です。

暗転、弦楽器が退場したあと管楽器も退場して入れ替わります。 今度は 12-12-9-7-7 と先よりも若干小さな編成となりました。

前回ボロディンの交響曲第3番で素晴らしい演奏を聴かせてくれた学生指揮者の織田さん、今回はペールギュントを指揮されます。 期待する半面、超有名曲なので、耳馴染みは良いけど、裏を返せばかえってアラも見えやすい難曲。 しかも6曲とは驚きました。 4曲程度かな、と勝手に思っていましたけど、ますますどのように料理するのかとちょっと不安を感じていたことを白状しますけど、全くもって杞憂でした。 
前半は情感のこもった演奏で、弱音の表現力・集中力がとても素晴らしかったのを特筆したいですね。 そして後半、本来の持ち味であるキレの良い指揮をしてオケをぐぃぐぃと引張った統率力もまた素晴らしかった。 フレーズの間合いの取り方など、几帳面になぞるのではなく、聴き手に説得力を感じさせる演奏はとても見事でした。 とにかくこれが学生の演奏かと思うほど見事な演奏に参りました。 

「朝」、指揮棒を持たず振りはじめると木管楽器の綺麗な響きが流れだしました。 情感の篭った柔らかな木管の響きがとても素適。 そこに弦楽アンサンブルがこれまた艶やかに響いて見事にマッチしています。 大きく歌わせながら進んでゆく音楽に惹かれます。 ここでの織田さんの指揮姿なのですが、見た目ちょっと腰高な感じもして安定感を欠くようでもありますし、ゆらゆらと音楽をなぞっているみたいな拍節感を感じない振りなんですね。 でも出てくる音楽が実に素晴らしいのに驚きます。 オケとの信頼関係がしっかりできているからかなぁ、なんて思って見ていました。

「オーセの死」、程よくブレンドされた低弦の響きがまろやかで、充実した弦の響きが素晴らしかった。 そして何より弱音を実に見事に表現して素晴らしい。 なんだか熟成された音楽のようですね。 織田さん、この曲から指揮棒を持っていましたけど、胸の前で構えてはいるけど、ほとんど振っていないのじゃないかと思うほど。 これで集中力を高めているみたいです。 とにかく最後までステージに惹き付けられっぱなしの見事な演奏に、演奏が終わったとたんにふぅ〜と息を吐くほどでした。

「山の魔王の宮殿にて」、とても雰囲気のある演奏でした。 ミュートをつけたホルンでしょうか、それにファゴットも巧かったですね。 ゆったり、じっくりと音楽を進めてゆきますが、ここでもほとんど棒を振っていないみたい。 後半、ちょっと半身に構えた織田さん、右手をすっと伸ばし、やはり小さく振っていました。 これ、豊中市民管の谷野里香さんの振り方と似ているみたい。 それはとにかくとても集中力の高い演奏でした。

「アラビアの踊り」、軽やかで強靭な音楽つくりが見事で、オケをドライブし始めました。 冒頭のピッコロの愛らしい響き、打楽器も軽やかに始まりましたが、ここでは指揮棒を持つ腕の振りを大きくして盛り上げます。 それでもオケの響きが拡散せず、ぎゅっと纏まっています。 丁寧に指揮をし、リズムに乗せて、ちょっと強引に引き付ける。 間合いの取り方がとても見事でした。

「ペール・ギュントの帰郷」、弾力を感じさせる響きによる開始、弦と管をうまくブレンドさせていたのが印象的でした。 トロンボーンとチューバが軽くバリバリッと吹いていて迫力がありましたけど、単に力で押すのではなく密度で聴かせるような感じでしょうか。 織田さん持ち前の指揮棒の切り返しも素早くなってきましたね。

「ソルヴェイグの歌」、アタッカで入って集中力高く始まります。 中低弦を柔らかく響かせて、しっとりと歌わせた情感、想いなどを見事に表現。 几帳面に旋律をなぞるのではなく、間合いの取り方が実に巧いのに惹かれます。 チャーミングで音楽が息づいていて、聴き手に説得力を感じさせる演奏。 これに聞き惚れているうちに、音楽が静かに着地して終わりました。 しっとりとした感動が押し寄せてくる演奏に痺れました。

織田さんの指揮、これは只者ではないですね。 勿論、オケへ全幅の信頼を込めた指揮であったでしょうし、オケもまた仲間の指揮者を盛り立てるべく充実した演奏内容でそれに応えていたのだと思いますが、とにかくこれが学生による演奏かと思うほど見事な演奏に参りました。

休憩、15分だったかしら。 興奮醒めやらないままアンケートを書いていました。 このところ、休憩時間でもうろうろしなくなりました。 やっぱり体力温存モードかしら・・・

後半は若手イケメン指揮者の高谷さんによるドヴォルザークの交響曲第8番。 
オケの編成は 14-14-10-8-8 に拡大。 スタイリッシュな指揮で、要所をバシッバシッと決めて進めてゆきます。 もちろんイケイケドンではなく、抑えるべきところはしっかりと抑えを効かせて、じっくりと構えた恰幅の良い演奏とします。 全体的に漲るパワーを感じさせ、キレの良い爽快なドヴォルザークでした。 ただし個人的にはガンガン演奏しているのが少々お腹いっぱいにも感じた面もありましたけれどね、とにかく若い指揮者と若いオーケストラががっぷりと組んだ活気に満ちたドヴォルザークを楽しみました。

第1楽章、中低弦の方を向いてさっと構え、棒を振ると柔らかく張りのある響きが流れ出しました。 フルートの響きもまろやかな充実した開始。 ホルンがこれまでステージに向かって左側だったのが、右側に移動しているのに気付きました。 低弦、ホルン、トロンボーン、チューバとパワーを感じさせる配置ですね。 とにかく高谷さん、指揮台の上で颯爽と動きます。 左腕を振ってティムパニをタイトに鳴らし、さっと翻ってオケから活気溢れる旋律を導き出します。 自信に満ちた動きは実にスタイリッシュでカッコ良い指揮ぶりですね。 オケもそれに反応して精力的に曲を進めます。 そのせいか緩徐部分になるとちょっと集中力が続かなかくなるのかミスもあったりしましたけど、堂々曲を歌い上げて立派。 最後は右手で袈裟懸けのように切って曲を止めました。

第2楽章、大きくたっぷりとした弦の響きによる開始。 フルートやクラリネットの柔らかな響きも魅力的で、じっくりと曲を進めてゆきます。 オーボエのソロ、顔を真っ赤にしての熱演もとても素適な響きで巧かったなぁ。 ヴァイオリンのソロも可憐な響きで応えます。 とにかく大きくたっぷりとした演奏なんですけど、若さがあるせいでしょう、ちっとももたれません。 ティムパニの音なども重い響きなのですけど、キレが良く弾力もあります。 どこをとっても活気のよさを感じる演奏でした。

第3楽章、艶やかな弦アンサンブルによる開始。 ほんと綺麗な弦ですね。 高谷さん、指揮棒を下から上に振り上げてオケにパワーを注入。 ここでも精力的な音楽運びとなりました。 なんだかちょっと聴き疲れというか、お腹が一杯になってきた感じがしないでもありませんけれど、でも柔らかなオーボエの響きに救われました。 ほんとオーボエ巧かったですねぇ。 さて弦楽器の中低弦をしっかりと鳴らし、ちょっとゆったりと演奏してから要所をバシッと決めて際立たせる。 そんな緩急をつけた演奏がとてもスタイリッシュです。 ちょっと間違うとクサくもなると思うのですけどね、とてもカッコ良く決めていました。

第4楽章、アタッカで突入、トランペットがまた巧かったですね。 輝きを持って朗々と吹いた耳障りの良さが素晴らしい。 ホルンやティムパニも巧く入ってきて、ちょっと間合いをとってから中低弦。 充実した響きでした。 ゆったりと進めて落ち着きがあります。 高音弦が切れ込み良く入ってくると、低弦もシャープになってステージの左右での掛け合います。 すると中央奥から金管がパワーを持って主張しぐっと音楽が盛り上がる効果も見事。
しっとりと吹いたフルートが一服の清涼剤となり、息づいたチェロのピチカートからまた音楽が高揚してきます。 切れの良い音楽が迸り出てくるよう。 金管が入ると、弦楽器も力を増します。 トロンボーンが迫力ありましたね。 高谷さん、オケの手綱をしっかりと握ってリードを保ちます。 要所を決めるカッコ良さは相変わらずですが、堂々としてよく歌うコーダを形成し、最後はタイトに盛り上げたあと両手を身体の横で真下に振り下ろして全曲を締めました。 

若い高谷さんと若いオケががっぷりと組んだ実に精力的な演奏でした。 活気に満ち満ちたドヴォルザーク、そんな感じだったでしょうか。 若さのお裾分けをいただいた気分になり会場を後にしました。 とにかく皆さんお疲れさまでした。