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やまなみグリーネ管弦楽団 第20回定期演奏会

気持ちのよい演奏会、熱い演奏を堪能戻る


やまなみグリーネ管弦楽団 第20回定期演奏会
2005年7月10日(日) 14:00  やまなみホール

ベートーヴェン: 序曲「コリオラン」
ベートーヴェン: ヴァイオリン協奏曲
ベートーヴェン: 交響曲第7番

独奏: 赤松由夏(vn)

指揮: 河野正孝


気合の入った気持ちのよい演奏会でした。 熱い演奏を堪能しました。 
1年ぶりのやまなみホール。 今回も関西本線で大河原駅へ。 非電化区間なので加茂からディデールカーに乗り換え、ちょっとした旅行気分も満喫しました。 それはともかく、演奏も素晴らしいものでした。
ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団のコンサートミストレスの赤松有夏さんをソリストに迎えたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。 第2楽章が絶品でした。 この曲、実は苦手な曲の一つなのですけれど、この第2楽章のあまりの心地良さに感動しました。  赤松さんの可憐でまろやかなヴァイオリンの響きも最高でしたし、また河野さん率いるオケも、間合いをうまくとってしっとりとしたサポート。 とても素適な時間がやまなみホールの中に流れ、この時間が永遠に続いて欲しい、そんな願いを持ちながら音楽に身を任せていました。 
メインの交響曲第7番は推進力があり、また緻密に練り上げた素晴らしい演奏に感激。 対抗配置になったオケから音楽が迸り出てくるのですが、単に勢いやパワーだけに頼らないしっかりとした構成感の見事さが光っていました。 その点では第2楽章が実に素晴らしかったですね。 弦楽器の各パートに管楽器も絡み、それらが呼応しあって織り成す響きの綾。 まるでポリフォニーを聴いているような感じさえ覚え、聞き惚れました。 そして終楽章ではバランス、力加減にも配慮が行き届いた推進力ある演奏を満喫。 息づいた音楽として全曲を締めあげました。 全員が一つに纏まった素晴らしい音楽でした。
昨年のマーラーの交響曲第4番の演奏会に続いて今回が2回目ですが、1年に1回、このホールでやまなみグリーネの演奏会に伺うのが本当に楽しみになりました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

1年ぶりに京都府南山城村の大河原駅に降り立ちました。 関西本線の非電化区間、加茂からディデールカーに乗り換え、あいにくの天気でしたけれど、木津川沿いの景色も堪能してのちょっとした旅行気分。 1年ぶりに戻ってきた、そんな感じもします。
前回は長女と2人でしたけれど、今回は一家4人。 最初は行くことをしぶっていた長男も、山間の景色が家族旅行で行っている和歌山に似ていると言い、ここが気に入ったようです。 河原で鮎釣りをしている人を見つけたりしながらホールに向います。

やまなみホールに入ります。 正面奥のロビーにお茶席があることを教えると、奥さんと長女の目の色が変わりました。 この二人、座席につくやいなや、お茶席へと消えてゆきました。

なお席は中央列の後ろから4列目、僕の席はN−14。 腰をかけてステージを改めて見て、おおっ!! なんとオケの配置がヴァイオリンを左右に振り分けた対抗配置なのですね。 ベートーヴェンの第7番の交響曲は、この配置だと魅力も増します。 というか、この配置でないと・・・などと生意気にも思っています。 前回のマーラーでは通常配置だったので、この曲のために対抗配置にしたのでしょうね、期待が高まります。

お茶席から女性陣が戻ってきました。 お菓子が綺麗で美味しかったし、また丁寧に応接していただいたとか、とても喜んでいました。 そんなこんな、一家4人でわくわくしながら、いよいよ開演時間。 
メンバーの方が出てこられて着席しますと、弦楽器は 8-7-4-5-3 という編成。 トランペットがヴィオラの後ろなのですね。 通常、弦楽器を対抗配置にしても金管楽器は通常の配置で中央奥の一番高い席を占めることが多いのですけど、ステージが狭いせいでしょうか。 それとも金管楽器の直接音を避けての配置でしょうか。 後者のような気がしますけど定かではありません。 そんなことを思っているうちに、指揮者の河野さんが出てこられ、一礼するや始まりました。

「コリオラン」序曲、一言で言うなら、力の篭った演奏だったでしょうか。
荘重な響き、熱気に満ちた音楽として始まりました。 それがゆったりと、そして音圧を感じさせるような感じでゆったりと押し寄せてきます。 ティムパニが重いけど角の取れた響きで重量感があります。 木管楽器の各パートや、弦楽器の各パートの分離もよく、響きを織り成すようにして曲を進行。 力の篭った音楽として主題を戻します。 弾力がありますね。 そしてまた力を漲らせ、最後はチェロの旋律、そしてピチカート、ふわりと終わりました。 ドラマティックというよりも、力を感じさせる演奏で纏めた、そんな感じでした。

一部の管楽器メンバーが抜け、指揮台を横にズラせてソリスト用のスペースを空けます。 指揮台は斜めを向いている感じですね。 なおソリスト用の譜面台も用意されていました。
さて、オケのチューニングも終わりましたが、楽屋からヴァイオリンを調律する音が漏れ聴こえてくるのに、ソリストの赤松由夏さんがなかなか登場しましせん。 おやっどうしたかな、そんな感じに思えはじめたころ、ようやく赤松さんが舞台袖でちょっと止まって客席を見てから登場。 真紅のドレスだったかしら、スラッとした可愛らしい方ですね。 立ち姿も綺麗、容姿端麗、そんな言葉がよくあてはまります。

そしてその赤松さんによるヴァイオリン協奏曲は、第2楽章が絶品でした。 この曲、実は苦手な曲の一つなのですけれど、この第2楽章のあまりの心地良さに感動しました。  赤松さんの可憐でまろやかなヴァイオリンの響きも最高でしたし、また河野さん率いるオケも、間合いをうまくとってしっとりとしたサポート。 とても素適な時間がやまなみホールの中に流れ、この時間が永遠に続いて欲しい、そんな願いを持ちながら音楽に身を任せていました。 

第1楽章、柔らかなティムパニの打音、木管楽器がチャーミングに奏でた第1主題の呈示からの開始。 弦のアンサンブルも柔らかいけれど芯の通った響きで曲を進めます。 ファゴットやオーボエなどもよく聴こえる小さなホールならではのゆったりした音楽を味わっていると、力を増します。 重厚な感じです。 第2主題のあと曲を穏やかにしてから赤松さんの登場。 美音ですね。 軽やかで艶やかな響きは濡れたような感じ。 オケのコンサートマスターの方は、地味に響かせて華を感じないことが多いのですけど、赤松さんは良い意味での女性奏者らしい凛とした華を感じます。 艶やかな響きで旋律を奏で、ゆったりと歌いあげてゆきます。
オケもそれにぴったりと寄り添うようなサポート。 赤松さん、オケが演奏している最中にも、入念に楽器の調整をしています。 オケがぐんと盛り上がってから、また赤松さんの登場。 ここでも美音で朗々と歌ったあと、またソロとオケが一体となってゆったりと進みます。 艶やかなヴァイオリンの響き、寄り添うオケの音楽を楽しみました。 
再現部、オケが力を込めて主題を戻して曲を進めますが、全体としてはゆたったりとしたペースでしょう。 この第1楽章、長いので正直苦手なのですね。 ようやくたどり付いた、そんな感じのカデンツァ、華麗な技巧も見事ですがじっくりとして深みも感じさせた素晴らしい演奏でした。 このあたりからだんだんと前屈みになって聴いていました。 オケが入ってゆったりと第2主題を奏で、最後はソロとオケが一体となって力をこめて駈けあがった終結でした。

第2楽章のまえ、赤松さんはここでも入念なチューニングをします。 外の天候が不順なので楽器の調整が大変なのでしょうね。 この時期、楽屋とステージでも乾燥の度合いが違うのでチューニングが狂う、そんな話を聞いたことがあります。 でもその効果は絶大だったようで、この楽章はもう絶品でした。
暖かで、まろやかな響きによる素適な開始。 ここでもゆったりとした音楽です。 ホルンに導かれるように可憐な赤松さんのソロが始まりました。 クラリネットの響きが木の温もりを感じさせる響き。 赤松さんも、やさしく、囁くように、丁寧にそっと歌い込んでゆきます。 河野さん率いるオケは、これとうまく間合いを保って見事なサポート。 ファゴットの響きもまた暖かい。 オケのピチカートに乗せて赤松さんの歌うソロなどもう息をのむほどの美しさ。 ゆったりと大きく呼吸しながら進むオケ、可憐に歌い上げるソロ・ヴァイオリン。 もう目と耳はステージに釘付けです。 ああっこの時間が永遠に続いて欲しい、そんな願いを持ちながらひたすら音楽に身を任せていました。 

第3楽章、暖かみのある響きと愛らしい響きが語りあう赤松さんソロが素適な開始でした。 オケはだんだんと力を増し荘重な音楽に。 覇気を感じます。 甘いホルンのソロが伸びやかに歌い、オケがそれに応えると、赤松さんもそれに負けじと技巧を駆使して歌いあげます。 いいですね。 主題を繰り返したあと、今度は赤松さんとファゴットが絡みます。 ファゴットもまろやかでした。 囁きかけ、歌いかけあう音楽が素晴らしい。 再現部かな、オケが堂々と奏でます。 赤松さん、まろやかなピチカートから旋律を歌わせますが、決してオケと対峙している感じではありません。 オケと語り合うような感じかな。 オケがぐんぐん力を増してからカデンツァ、ここでも技巧を駆使して華麗で伸びやかに歌いあげます。 オケが加わっていよいよフィナーレ。 可憐なオーボエの響き、オケとソロが主題を華麗に展開し、力を増してから河野さんが身体を丸めるようにぎゅっと絞り込んで全曲を終了。 
後半の2つの楽章、我を忘れそうな感じで聞き惚れていました。 素晴らしい演奏に大きな拍手を贈りました。

20分間の休憩。 いつもは休憩時間でも座席にへばりついていますけど、家族がいるので一緒に外にお散歩です。 ヴァイオリン協奏曲は第1楽章が長いこともあって3人とも撃沈でしたものね。 ホールの裏側まで行って景色を眺めたあと、飲み物を飲んで気分転換。 長男は河原に降りていきたかったようでしたけど・・・
とにかくこれで気分もリフレッシュ。 席に戻って後半のプログラムに備えます。 気が付くと、ホールには8割近い人が入っているようです。 さあ定刻になりました。

メインの交響曲第7番は推進力があり、また緻密に練り上げた素晴らしい演奏に感激。 対抗配置になったオケから音楽が迸り出てくるのですが、単に勢いやパワーだけに頼らないしっかりとした構成感の見事さが光っていました。 その点では第2楽章が実に素晴らしかったですね。 弦楽器の各パートに管楽器も絡み、それらが呼応しあって織り成す響きの綾。 まるでポリフォニーを聴いているような感じさえ覚え、聞き惚れました。 そして終楽章ではバランス、力加減にも配慮が行き届いた推進力ある演奏を満喫。 息づいた音楽として全曲を締めあげました。 全員が一つに纏まった素晴らしい音楽でした。

第1楽章、弾力ある和音に続きオーボエの艶やかな旋律、豊かな響きによる開始でした。 弦楽器が力の篭もったアンサンブルで熱気を高めてゆきますが、一斉にわっ〜て感じではなく、各パートの分離が良く、それらがしっかりと団結しています。 フルートが豊かな響きで穏やかな雰囲気となりますけど、また活発に。 ホルンの辻さんでしょうか、顔を真っ赤にされての熱演です。 弦パートの人達が譜面をめくる速度が速く、たったかと曲を進めてゆき、アンサンブルに力があります。 でも、オケからまろやかな響きがするのですね。 これは木管楽器やホルンの響きの質にもよるのでしょうが、対抗配置にした弦楽器の効果も大きいと思いました。 低弦が芯になってそのうえ弦楽パートがのり、しかもそれらが綺麗に分かれて聞こえてきます。 またトランペットも客席からは横向きになって直接音が届かないですしね。 とにかく、リズムと旋律が奔流のように流れ出てくるのに身を任せ、聴き進みました。 そして一段と力の入ったエンディグ。 スパっと切り落とすと、オケの響きがホールに残っていました。

第2楽章の前にチューニングを実施。 深い中音弦の響きを伴った荘重な開始。 セカンド・ヴァイオリンが入って響きを増し、ファースト・ヴァイオリンが加わって豊かで熱いアンサンブルになりました。 素晴らしい弦楽アンサンブルです。 これも対抗配置による効果の一つでしょうか。 そして管楽器が入り、歌い上げる弦の旋律と絡みます。 オケの各パートの分離がよく、しかも響きあい、呼応しあいながら曲を進めてゆくのはまるでポリフォニーのよう。 へぇ〜こんな感じにも聴こえるのか、などと新たな発見をした気分で聴き入りました。 素晴らしい演奏でした。 しだいに管楽器にも熱気が移ったみたい、弦の熱いピチカート。 そして弦楽パートによる幻想的なフーガを展開。 旋律を廻して音楽を一段と大きくさせます。 ここもまた素晴らしかったですね。 身を乗り出して聴いていました。 コーダに移り、熱のこもったピチカートのあと、まあるくこの楽章を閉じました。

第3楽章、暖かな響きがすぐに躍動的になり、弦と管が呼応しあいながら進みます。 タイトなティムパニでぐっと盛り上げ、そしてホルンの斉奏には木管楽器もからんで甘くこだまします。 ゆったりとしているけど、熱気が潜んでいますね。 トランペットの持続音でぐんとその熱気を増し、音楽を引張ったあとまた躍動的になります。 リズミカルな音楽。 オーボエもリズミカルで素敵でした。 そして盛り上がってゆくとホルンの斉奏がまた柔らかく響きます。 熱く音楽を熟成し、トランペットの持続音で弾みをつける繰り返し。 躍動感あふれるこの楽章、最後は劇的な和音のあとスパっと止めました。

第4楽章、力の入った音楽が迸り出てきます。 力を蓄えた堂々とした進行。 ホルンとトランペットが左右に分かれ華やかさを感じますけど、主体は弦楽器ですね。 可憐に木管楽器が入ります。 ティムパニの打音で力を増し、推進力のある音楽。 迫力や重量感もありますけど、重すぎて引きずることなく音楽が前へと進みます。 主題を繰り返します。 ほんの少し飛ばし気味だったかしら。 でもバランス、力加減など実によく考えらた構成です。 飛ばしていても前のめりではありませんし、まして暴走などしていません。 統制のしっかりととれた音楽で、しかも息づいた音楽です。 素晴らしい。 音楽に身を委ねます。 そしてフィナーレでは音量が一段と上がったみたい。 低弦が芯になって響き、充実した音楽を全員一丸として纏めあげて全曲を閉じました。 
推進力があり、また緻密に練り上げた構成感を持った素晴らしい演奏に熱い拍手を贈りました。

蛇足ですが、いつもは演奏会に行くのを嫌がる長男ですが、この曲では音楽に乗ってきたようで、右手を指揮のように揺らしたりしながら聴いていました。 来週は「運命」が聴ける演奏会もあると言うと、それも行きたい、そんなことも言っていました。
昨年のマーラーの交響曲第4番の演奏会に伺わせてもらって今回で2回目。 ホールも素適ですけれど、演奏もまた素晴らしく、1年に1回、このホールでやまなみグリーネの演奏会に伺うのが本当に楽しみになりました。 いい演奏会でした。