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六甲フィルハーモニー管弦楽団 第20回記念定期演奏会

感動的な復活戻る


六甲フィルハーモニー管弦楽団 第20回記念定期演奏会
2005年9月11日(日) 14:00 神戸文化ホール・大ホール

ブラームス: アルト・ラプソディ
マーラー: 交響曲第2番ハ短調「復活」

独唱:本多厚美(MS)、津幡泰子(S)

合唱:女声合唱団セシリア、男声合唱団コールシャンテ、グリーン・エコー

合唱指揮:森啓一

指揮:藏野雅彦


じつに感動的なマーラーの「復活」でした。
指揮者の藏野さん、いつものエネルギッシュな指揮ぶりも垣間見せながら、実に丹念に曲を構築していたのが印象的でした。 そしてオケもそれによく応え、無料の演奏会とは思えない、技術的にもしかっりとした素晴らしい演奏でした。 確かに、気になった部分や、アレって思ったところはありましたけど、これまでにマーラーの復活をアマオケで4回聴いていますが、最も技術レベルの高い演奏の一つだと思います。 また技術だけではなく、気持ちもまたよく乗った演奏に心奪われました。
個人的にはコントラバスが10本、チェロ11本が対抗配置で並び、常に安定した演奏で曲をしっかりと支えていたことと、木管楽器のアンサンブルが充実していたことを特筆したいですね。 ともすると派手な金管ファンファーレや打楽器に目が移りがちなのですけれど、裏で吹いていても、ソロであっても、自己主張をよく感じた木管楽器でした。
また声楽では、深々として存在感のあった本多さん、柔らかな響きが特徴的な津幡さん、いずれもしっかりとした歌唱を聴かせてくださいましたし、合唱もまた見事でした。 本当にいい演奏を聴かせてもらいました。
なお、これに先立って演奏されたブラームスのアルト・ラプソディ。
演奏開始後も続々と2階席に人が入ってきたこともあり、あまり集中力なく聴いてしまいました。 おまけに素晴らしいマーラーの演奏の後では、余計に印象が消えてしまったようにも感じられます。 すみません。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

六甲フィルの演奏会、神戸文化ホールの大ホールで演奏会をされるようになった第17回定期演奏会から欠かさず聴かせてもらっています。
第17回の時も、藏野さんの指揮でマーラーの「巨人」、そして今回は「復活」。 毎度のことながら無料の演奏会とは頭が下がります。 前回2月の演奏会でこのことを知ってから、ずっとこの日を待っていました。

じつは今年の3月、同じ神戸文化ホールの大ホールで神戸市民交響楽団(指揮:田中一嘉)による「復活」も聴いていたりします。 その前は、2001年に吹田市交響楽団(指揮:米山信)、1998年には大阪市民管弦楽団(指揮:金洪才)でも聴いているので、今回が4回目の「復活」となります。 残念ながら藏野さんが指揮された2004年の八幡市民オーケストラの演奏会は聞き逃していますけど、関西のアマオケで4回も「復活」を聴くというなんて、ちょっとしたヘェ〜でしょうか(単なる物好きか?)、とにかく何度聴いてもマーラーの「復活」は感動します。

そんな感動を余裕をもって味わいたいから、選挙に寄る時間も考慮して早めに自宅を出発。 奈良から大阪へ、大阪駅では運良く新快速にスムーズに乗り換えることが出来ました。 13時ちょっと前にJR神戸駅に到着。 でも、ちょっと早すぎですね。 いつもは演奏会終了後に立ち寄る湊川神社に参詣してからホールへの坂を登ります。 それでもホール到着は13:05だったかな。 ホール入口の階段に人が並んでいたので、適当に並んで開場を待ちました。 暫くすると列が徐々に長くなってきたので、団員の方が考えながら列を整理。 その方のお子さんでしょうね、小さな女の子がチケットもって可愛らしかったな。 応援の団員の方もやってこられ、列がホールから出そうになるちょっと前、予定よりも7〜8分早かったかしら、開場となりました。

入場すると、すぐさま2階席へ。 中央通路後ろの足もとの広い席(4列-31)を確保しました。 ここならオケの全貌がよく見えますし、足元が広い。 しかも前の壁が低いので、クツを脱いで足を投げ出し、リラックスできちゃいます。 難点は、前が通路なんで、演奏中に入ってくる人がいると気になることですけどね。

ステージを見ると、指揮者が藏野さんなので座席の並びは対抗配置。 パンフレットを読みながら開演時間を待ちます。 座談会の記事に、岡山から聴きに来るって書いてますね、どこかにいることでしょう。 ところでオケのメンバー表には多数の人が記載されています。 コントラバス10名、チェロ11名ですか、これが対抗配置ですから、オケの中心・指揮者に向かってまるで楔を打ち込むように並びますね。 想像しただけでも壮観です。 期待が膨らみます。

定刻、客席は1階席はよく見えませんが8割位かな、2階席は5割位でしょう。 まず男性合唱団の方に続き、オケの木管と弦楽器の方が左右の扉から入場します。 弦楽器の編成は、11-10-10-8-4 ではないでしょうか。 本多さんとともに藏野さんが登場。 一礼をして、準備完了となってから、ようやく照明が落ちました。

ブラームスのアルト・ラプソディ。 本多さんの深々として落ち着いた声、じっくりと歌い込んだ合唱、丁寧に音を紡いだオーケストラと、しみじみと聴かせていたようです。 いたようです、というのは、そもそもこの曲はカスリーン・フェリアーのLP時代から苦手な曲。 また演奏開始後も続々と2階席に人が入ってきたこともあり、あまり集中力なく聴いてしまいました。 おまけに素晴らしいマーラーの演奏の後では、余計に印象が消えてしまったようにも感じられます。 できるだけ書いてみますが、すみません。

藏野さん、会場が落ち着くのを暫く待って振りはじめます。
第1部、アダージョの深い響きがオケから流れました。 ゆったりと曲を進めたあと独唱の本多さんにそっと手を差し伸べるようにして合図、落ち着いた声が会場に響きます。
しかし2階席にはこの後も続々とお客さんが入ってきています。 そして入口付近に立ち止まり、しかも子供連れの方なので、どこに座ろうかと探している様子なんですが(この間、子供はじっとしてませんものね)・・・ このような方が何組かいたようです。 元から苦手な曲でもあるし(すみません)なんか気になってしまって落ち着きませんでした。

第2部、ポコ・アンダンテ、本多さんの動きが大きくなったようです。 手振りで感情をこめて歌われるようになりました。 オケはくすんだ色合い、藏野さん、両手を同時に上下にゆっくりと動かして、丁寧に伴けていましたね。

第3部、アダージョ、男声合唱をともなってやや明るい感じになります。 しかしここでも、音楽をゆったりと柔らかく進めます。 チェロのピチカートがまろやかでしたね。 音楽をそっと大きくしたかと思うと、またすっーと小さくしたり、自然に推移させているようです。 でも何だか印象が薄いまま(2階席もようやく静かにはなりましたけど)、柔らかな響きで曲を纏めたあと、ふわぁ〜と拡散させるようにして終わりました。

15分間の休憩。 ステージ上では団員さんがイスや譜面台、打楽器などを出して演奏準備をせわしなくされています。 15分で終わるかな、と余計な心配をしましたけど、滞りなく準備完了。 予鈴のあと暫くしてから、打楽器と金管楽器の団員の方より整列入場します。 弦楽器は、多くて数え難いのですけど 15-14-12-11-10 の編成でしょうか。 藏野さんが、ゆっくり歩いて登場、一礼したあと照明も落ち、いよいよ始まります。

感動的なマーラー「復活」でした。
指揮者の藏野さん、いつものエネルギッシュな指揮ぶりも垣間見せながら、実に丹念に曲を構築していたのが印象的でした。 そしてオケもそれによく応え、無料の演奏会とは思えない、技術的にもしかっりとした素晴らしい演奏でした。 確かに、気になった部分や、アレって思ったところはありましたけど、これまでにマーラーの復活をアマオケで4回聴いていますが、最も技術レベルの高い演奏の一つだと思います。 また技術だけではなく、気持ちもまたよく乗った演奏に心奪われました。
個人的にはコントラバスが10本、チェロ11本が対抗配置で並び、常に安定した演奏で曲をしっかりと支えていたことと、木管楽器のアンサンブルが充実していたことを特筆したいですね。 ともすると派手な金管ファンファーレや打楽器に目が移りがちなのですけれど、裏で吹いていても、ソロであっても、自己主張をよく感じた木管楽器でした。
また声楽では、深々として存在感のあった本多さん、柔らかな響きが特徴的な津幡さん、いずれもしっかりとした歌唱を聴かせてくださいましたし、合唱もまた見事でした。 本当にいい演奏を聴かせてもらいました。

第1楽章、キレの良い音が響き渡ります。 コントラバスとチェロがぎゅっと引き締まった響きで芯になっています。 木管楽器がややハッキリした音で繋いだあと、徐々に大きな音楽に。 タイトで思い切りの良いティムパニ、迫力あります。 ここでも低弦が芯になっていて騒々しさなど感じません。 藏野さん、ピークでは大きく抑揚つけて盛り上げますが、すぐに両手を縦に振って端正に纏めます。 カラフルな金管ファンファーレなどにも彩られながら、実に安定した音楽を構築しています。 若干、裏で鳴る金管が合っていないように感じた面もありましたけど、些細なことですね、音楽がぐぃぐぃと進んでゆくのが気持ちいい。 木管、オーボエやコールアングレがいい味を出しています。 フルートのソロも巧かったですね。 ヴァイオリンのソロは高音に艶が乗ってました。 こうして徐々にまたピークを迎えますが、あまり細かなことを追いかけて聴いているのが勿体ない感じです。 もう流れに身を任せ、何度も聴き馴染んだ音楽を楽むことにしました。 ホルン軍団、ミュートを取り付けて吹き、そしてミュートをまた足もとに置く動作、見事に全員同じ動きなのに驚きました。 木管のベルアップも見事に揃ってますしね。 見ているだけでも精度の高い音楽、それが次々と繰り出されてきました。 最後は丁寧に音を紡いで、ヴィオラの響きがザンザンと締まって聴こえたのが印象的で、このあとなだらかに盛り上げてふわっと着地。 ふぅ〜と会場内から溜息が漏れていました。

第2楽章、ちょっと長めのインターヴァルのあと、豊かな弦の響きによる開始。 音色といい雰囲気といい、当たり前ながらマーラーを聞いているという実感を持ちます。 藏野さん、ゆったりと曲を進めます。 柔らかな低弦のピチカート、チェロの前半プルトがアルコで弾いているのが素敵に響きます。 曲調変わっても真摯な弦アンサンブルが魅力的。 常に低弦が芯になって曲を支えています。 ここでもしばし音楽に身を任せましょう。 藏野さん、ヴィオラや2ndヴァイオリンに力を求めて厳しさを音楽を求めたあと、弦楽器をマンドリンのように持ってのピチカート。 息づいた音がオケの中を巡ってゆきます。 暖かな音楽ですね。 ハープの深い響きもまた印象的でした。 そして透明感の高いヴァイオリンの演奏へと引き継がれて、柔らかな木管を絡ませながら、慈しむような音楽。 最後はやはり柔らかなピチカートで締めました。

ここでチューニングを実施しますと、合唱団が登場。 独唱者が出てくると会場から拍手が起きました。 独唱者はオケの中央後ろ、ティムパニの前、向って右にトランペット、左にホルンに挟まれる位置に着席して準備完了です。

第3楽章、タイトなティムパニの打音が決まりました。 コントラファゴットかな、深い響きがホールに響く充実した開始。 良く揃った弦楽器にクラリネットなどの木管の響きが加わります。 藏野さん身体を左右にくねらせるようにして音楽を揺らせているようですね。 ふわふわっとした感じから急激にクライマックスへと昇り詰めます。 暴走するような感じじゃなくて、きちっとリズム感を保って自信たっぷりな盛り上がり。 それをまた自然に減衰させてゆくので、流れがとっても自然ですね。 トラペットが甘くうねるように吹いて見事でした。 そして音楽はまたクライマックスへ。 オケの下から湧き上がってくるような響き、そして本当に音楽の流れが素晴らしい。 銅鑼の響きによって、すぅ〜と引き込まれるようにして終了しました。

第4楽章、本多さんが立ち、深い響きで歌い始めます。 トロンボーンとホルンによるコラールがしっとりと響いて素敵です。 弦も加わり、しみじみとさせる深い歌唱。 コントラバスの柔らかな響きがそっと底辺を流れています。 ヴァイオリンのソロもまた濡れたような響き、そのフレーズの終わりには艶を感じました。 しみじみと聴きました。 音楽がゆったりと呼吸しているようでした。

第5楽章、急激に盛り上がりますけど、まろやかさを感じさせる余裕がありますね。 これをすっと退かせ、リズム感を保ったままじっくりと曲を進めると、バンダのホルンが遥かな響きを聴かせました。 素敵です。 これにオーボエが応えて曲を進めますけど、このあたりではホルンがちょっと乱れたのかな、断片的な感じを受けたもの影響なし。 しみじみとさせます。 木管楽器とチェロ、そしてヴィオラのピチカートと曲を彩ってから、トロンボーンがまた素晴らしい響きを聴かせました。 トランペットも素敵です。 そして弦のピチカートにのせてゆったりと曲を進めて、バンダのホルンがいい感じで入ってきますね。 光が差し込んでくるようでした。

次第に緊張感を増してゆくのをすっと止め、トロンボーンとチューバによるコラールが厳かに響きます。 オケの打楽器メンバーがこれを合図に準備開始、トランペットが加わって力が漲ってきて、ホルンのベルアップが感動的。 大きくゆったりとして輝かしい音楽として盛り上げると、スネアがタイトに打って迫力あるピークを形成。 勢いのついた音楽が行進曲調となります。 木管のベルアップ、決まっていました。 コントラバスの後方、教会の鐘のようなものを女性奏者がハンマーで力強く叩き、その響きがホールを震わせました。

ここまでやや大人しい感じがしていましたけど、ここからノリの良さが出てきたようです。 ぐっと溜めたかと思うと、ドラが鳴って音楽が大きくなります。 バンダでは軍楽隊も登場し、自信たっぷりに流れる音楽。 底鳴りのするオーケストラ・サウンドでピークを迎えたとき、合唱団が立ち上がりました。 

音楽はすっと退き、中音弦がゆっくりとリズムをつけて弾きます。 オルガンの響きも聴こえてきますけど、ちょっと音量控えめかしら(パイプオルガンなら足もとに地鳴りのような響きが伝わってきているのでしょうが)。 雄大なバンダのホルン、トランペットも見事ですけど、フルートがしみじみとさせますね。 この多彩な響き、これがマーラーだなぁ〜なんてここでもそう思って聴いていました。

津幡さんが立ち上がり、合唱団とともに厳かに歌い始めます。 慈しむような合唱。 その中から津端さんの柔らかな声も聴こえてきます。 上から見ていると、コントラバス2本と、チェロがこれらの合唱を裏でそっと支えているのが分かりますね。 弦楽アンサンブルに拡大されて、音楽が大きく呼吸するように進みます。 祈りの音楽といった感じかしら。 この雰囲気が合唱にも引継がれ、ゆっくりと盛り上がってゆきました。 そして本多さんも加わります。

柔らかな声楽と、低弦のピチカート、そしてオーボエの響き、オケも厳かに併せてじっくりと曲を進めてゆく藏野さん。 ぐっと力をこめて男声合唱を際立たせました。 これをすっと止め、また徐々に盛り上げます。 男声と低弦の響き、女声とハープの響きが重ね合います。 合唱とオケ、それぞれの響きを重ね合わせながら、感動的なクライマックスへと登ってゆきました。 藏野さん、ここでは両手を目の前で握り、まるで祈るような場面もありましたね。
もうここまでくると感動の波に乗って、まるで堰を切ったようにエンディングへと向かって進んでゆきました。 教会の鐘を女性奏者が、男性奏者がぶら下げた3枚の鉄板をハンマーで叩いて、その響きがホールに充満。 感動。 そして音楽をゆったりと大きく進めて、響きを左右に拡散させるようにしたあと、その響きを吸収するようにまとめて全曲を綴じました。

素晴らしい演奏に会場内から割れんばかりの拍手の嵐。 そしてカーテンコールでは、オケの中からも地響きのする拍手(足踏み)に包まれていました。
第5楽章、ここまでくると、さすがに疲れてきてミスが目立つ演奏も多いのですけれど、最後まで集中力高い演奏が展開されました。 これまでにアマオケでマーラーの復活を4回聴いていますけれど、最も技術レベルの高い演奏の一つだったと思います。 また技術だけではなく、気持ちもまたよく乗った演奏に心奪われました。 本当にいい演奏を聴かせてもらいました。 どうもありがとうございました。