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奈良交響楽団 第48回定期演奏会

集中力高く、若々しく誠実な音楽造り戻る


奈良交響楽団 第48回定期演奏会
2005年12月18日(日) 14:00  大和郡山城ホール・大ホール

ヴェルディ: 歌劇《シチリア島の夕べの祈り》序曲
シューマン: 序曲、スケルツォとフィナーレ 作品52
ブラームス: 交響曲第2番ニ長調 作品73

アンコール: ブラームス: ハンガリー舞曲第6番

指揮:小崎雅弘


新鋭の小崎さんの指揮のもと、いずれの曲も集中力の高い演奏でした。
小崎さん、始めて聴かせてもらう指揮者ですが、その指揮は縦振りが基本、ぐいぐいとオケを進めてゆく感じですね。 振りは藏野さんと似ているかもしれません。 ただし音楽の解釈はよりストレートといった感じだったでしょうか。 若々しくてシャープでタイトな音楽造りだったと思います。 オケも集中力を高めて、小崎さんの指揮に合わせて演奏しきった、そんな感じを受けました。
最初の「シチリア島の夕べの祈り」、とてもよく締まった演奏でした。 スペクタクルといっても良いような感じで盛り上げていたのが印象的でした。 余計な贅肉はなく、カチッと纏まった演奏は、聴き応えがありました。 演奏後にブラボーの声がかかったのも頷けました。
シューマンの「序曲、スケルツォとフィナーレ」も、シャープでタイト、こちらもしっかりとして、見通しの良い演奏でした。 弦の分奏もバシッと決まっているし、管楽器もよく統制されているといった感じ。 ただしフィナーレなど、フーガのように旋律を楽器間で回していったり、ユニゾンで演奏するときなど、かえってよく揃っているのはシューマンらしくないんじゃないか、とか、もっと思索的な感じじゃないのかなぁ、なんて思ってしまいました。 よく曲も知らないのに、印象だけですけど、間違っていたらごめんなさい。
メインのブラームスの交響曲第2番、こちらもシューマンと同傾向。 スマートでシャープで纏まりの良い演奏でした。 ただし、こちらは各パートの響きを重ね、組み合わせた音楽はまさしくブラームス。 しかも聴いていると、「あっ、こんな楽器にこんな音形があったんや」という発見もあったりして、日頃よく耳にする音楽なのですけど、興味深く聴くことができました。 こんな書き方をすると、解剖学的な冷たい演奏のように思われるかもしれませんが、弦楽器では中低弦がしっかりと曲を支え、がっしりとした構成感のある素晴らしい演奏です。 響きは若々しいのですが、安心して聴き進んでゆける演奏に満足しました。
じつは風邪をひいてしまい、演奏会に行くまえには、コタツで横になって、何度も寝ては起きてを繰り返してました。 聴き手としてこちらの集中力がガクンと落ちている状態だったのですけど、まったく飽きることなく演奏を楽しませていただきました。 若々しくも誠実な音楽造りが気持ちよかったです。 皆さんお疲れさまでした。


簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。

先週の忘年会で風邪をもらってきたようです。 夜中に咳き込んだり、時に熱っぽかったりと(平熱なんですけど身体がダルイんです)体調不良気味。 当日もコタツで横になり、意識が飛んだように居眠りしては目覚めるのを繰り返してましたけど、時間になったので家を出ました。 幸運にも西大寺での乗り換えもスムーズで(向い側ホームの電車に飛び乗ってGO!)、最寄駅から最短の10分ほどで近鉄郡山駅に到着。 心配していた寒波も中休みかな、長女とブラブラと歩いて開演20分前にホールに入りました。

ロビーでは、トロンボーン3本とホルンが楽しそうなロビーコンサートを演っておられましたけど、2階からちょっとだけ見て、まずは座席の確保。 2階正面の最前列も考えましたけど、ちょっと人が多く入ってますので、通路後ろの最前列EE-16を確保。 2人で席4つを確保して(荷物置き用)も、ここなら大丈夫でしょう。 それでも最後には、2F正面も5割位の人が入っていたようです。 1階席はよく見えませんが、9割位入っていたのではないでしょうか。 2階席でゆったりと座って開演を待ちます。

定刻、チャイムのあとホール内が暗転するのと同時にステージにライトが当たります。 両サイドよりオケのメンバーの方が整列入場。 ステージ中央奥より整然と腰掛けてゆきます。 弦楽器は通常配置で 10-10-8-7-6 だったでしょうか。 コンサートミストレスが出てきてチューニングして準備完了。 指揮者の小崎さんが悠揚と登場しました。 始めてお聴きする指揮者だと思いますが、プログラムの写真よりも貫禄を感じる登場に期待が膨らみます。

「シチリア島の夕べの祈り」、とてもよく締まった演奏でした。 スペクタクルといっても良いような感じで盛り上げていたのが印象的でした。 余計な贅肉はなく、カチッと纏まった演奏は、聴き応えがありました。 演奏後にブラボーの声がかかったのも頷けました。

ふわっと振って始めますが、打楽器がハッキリと聞こえてアクセントになっています。 続く木管も柔らかな吹奏、ふわっふわっと曲を進めていますけど、右手をしっかりと上下させて集中力の高い演奏です。 打楽器がタイトに打ち、よく締まった響きでオケをドライブします。 まるでスペクタクルみたいな盛り上がり方、そんな印象を持ちました。 それをすっと収めると、今度はしみじみと聞かせて、また活気づきます。 よく締まったブラス、タテノリ系のリズムでぐぃぐぃ迫って、おおっ!って思っていたら、それが退いて伸びやかな弦アンサンブルと瑞々しい木管。 めくりめくように繰り返されますが、いずれも拍をきちんととり、集中力高く演奏されているのに、聴いているこちら側も自然と乗せられたようです。 フィナーレをノリノリに演奏して、気合のこもった熱演で締めました。 ブラボーの声もかかっていました。

ステージは暗転、管楽器と打楽器のメンバーがチェンジ。 弦楽器の編成は変わっていなかったと思います。 準備が完了し、小崎さんが出てこられて始まります。

シューマンの「序曲、スケルツォとフィナーレ」、シャープでタイト、こちらもしっかりとして、見通しの良い演奏でした。 弦の分奏もバシッと決まっているし、管楽器もよく統制されているといった感じ。 ただしフィナーレなど、フーガのように旋律を楽器間で回していったり、ユニゾンで演奏するときなど、かえってよく揃っているのはシューマンらしくないんじゃないか、とか、もっと思索的な感じじゃないのかなぁ、なんて思ってしまいました。 よく曲も知らないのに、印象だけですけど、間違っていたらごめんなさい。

序曲、ヴァイオリンの方を向き、柔らかな振りで始めました。 弦楽アンサンブルが充実していて、中低弦の響きがほどよくブレンドされています。 オーボエが絡み、瞑想的な感じのする開始でした。 チャーミングなヴァイオリンの響きで音楽が躍動し始めます。 ここでも弦楽アンサンブルが充実していましたね、バシッと分奏が決まっています。 小崎さん、拍節感をしっかりと維持し、オケの集中力高めてぐぃぐぃと曲を進めてゆきました。

スケルツォ、ここでも充実した弦楽アンサンブルにホルンの響きが加わり、集中力の高く始まりました。 パンフレットには、いたずらな妖精が森の中を駆け回っている・・・といった記載がありましたが、よく揃っているのがかえって統制された感じにも思えたりもして、難しいなぁ、なんて思って聴いてました。 小崎さん、確かに丁寧に曲を進めていらして、シャープでタイトな響きを導き出し、見通しの良い明快な音楽といった印象でした。

フィナーレ、ふわっと大きな円を描くような開始。 最初こそ要所では響きを膨らませるような感じに思えましたが、しだいに上下に振った右手で決め所を明快にしていったみたい。 フーガのように旋律を各楽器に回すあたりも綺麗に分かれて聞こえます。 これはこれで面白く馴染み易いのですけど、曲をよく知らないのに言うのは反則だと思いますけど、シューマンらしさってもっと思索的とか、どこか単純に割り切れないような感じがあるんじゃないかと・・・思ってみたりもします。 間違っていたらごめんなさい。 小崎さん、嬉しそうな表情で最後までオケをきちんと揃えて盛り上げ、全曲を締めました。

20分間の休憩。 あまり体調が良くないので体力温存(復活?)モードに入って席で目をつぶっていたら少々眠ってしまったようです。 チャイムで覚醒しました。 オケが整列入場して今度は 10-10-8-8-6 の編成、コンサートミストレスによるチューニングでオケは準備完了。 こちらも気合を入れなおして準備完了。 小崎さんが登場され、始まります。

ブラームスの交響曲第2番、こちらもシューマンと同傾向。 スマートでシャープで纏まりの良い演奏でした。 ただし、こちらは各パートの響きを重ね、組み合わせた音楽はまさしくブラームス。 しかも聴いていると、「あっ、こんな楽器にこんな音形があったんや」という発見もあったりして、日頃よく耳にする音楽なのですけど、興味深く聴くことができました。 こんな書き方をすると、解剖学的な冷たい演奏のように思われるかもしれませんが、弦楽器では中低弦がしっかりと曲を支え、がっしりとした構成感のある素晴らしい演奏です。 響きは若々しいのですが、安心して聴き進んでゆける演奏に満足しました。

第1楽章、右側(中低弦)のほうを向き、重厚な響きを導き出しました。 金管が出だしこそつっかえたみたいですが、落ち着いた音楽は微動だにしません。 透明感の高いヴァイオリンが入って躍動的になりますが、ここはちょっと散漫な印象。 しかしチェロやコントラバスがいい感じで旋律を引継ぎます。 木管、高音弦と展開してゆくとノッてきましたね。 コントラバスのピチカートが裏で支えていて気持ちいいんです。 少々早いテンポかもしれませんが、低弦がしっかりしているから浮ついた感じはありません。 クライマックスでは、華やかな響きの金管もきちんと抑制されているし、ティムパニもシャープに打ち、オケ全体がよく纏まっています。 主題が戻り、ここでもコントラバスのピチカートが素適でした。 ホルンのハリのある響きもよかったですね。 躍動感あるピチカートから、最後はふわりと弾けるように終わりました。

第2楽章、集中力の高い音楽が流れ出てきました。 チェロのアンサンブルがよく纏まっていて、艶がありました。 ヴァイオリンはこなれた響きで引継ぎます。 小崎さん、ここでも縦振りが基本。 実に明快で、オケも合わせやすいように思います。 もちろんオケの皆さんもよく練習されているのでしょう、それぞれにニュアンスがよく伝わってくる充実した演奏です。 特に変わったことはしていないし、目新しいことも無いように思うのですが、響きを重ねた音楽は紛れも無いブラームス。 金管が入っても音楽を殊更大きくすることなく、集中力をより高め、絞って丁寧に進めてゆきます。 各パートの音が分離してよく聴こえてくる見晴らしのいい演奏ですね。 最後は左手で丸くすくうようにして締めました。

第3楽章、まずオーボエが艶のある響きに魅了(全曲に渡ってオーボエの響きがよかったですね)、瑞々しいチェロのピチカートによる開始でした。 やや速めなのかな。 木管アンサンブルも素適に響きを絡ませあい、弦楽器も中低弦を芯にしたアンサンブルがとても気持ちよく、音楽が流れてゆきます。 コントラバスの方、譜面をめくる速さが懸命さを物語ってますね。 ピチカート、アルコともによく纏まった響きが素適でした。 最後は木管が負けじとチャーミングな響きを重ね、ふわっとしたピチカートで着地。

第4楽章、アタッカではないけど余り間を置かずに始めます。 ふわっとした開始から、しだいに響きを集めてクライマックスを形成。 ここではティムパニが重く響きの少ないドコドンといった音で畳掛けます。 この重い響きにトランペットの音が抑えられた感じもしました。 弦楽アンサンブルもちょっと控えめな感じでしたけど、小崎さんが左手をぐるぐる回して気合を込めます。 皆さん懸命で、よく締まった統制のよく取れた音楽。 素晴らしいですね。 ただ集中力が高いぶん、うねったり、巻き込んだりするような感じはしないのですけどね、誠実で清潔、気持ちのいい盛り上がりです。 でもこれはフィナーレへの布石だったみたい。 小崎さん、このあとも腕を回したりしつつオケをドライブしますけど、縦振りが基本。 やや淡々とした感じで曲を進めてゆきました。 ティムパニの響きも耳に馴染んだせいかな、ちょっと音量が下がったようです。 絞った音楽はフィナーレにきて一気に開放。 最後はノリノリといった感じで盛り上げ、弾けるようにして全曲を閉じました。

色々と書きましたけど、風邪の影響で聴き手としてこちらの集中力がガクンと落ちている状態だったのですけど、そんなことものともせず、まったく飽きることなくいずれの演奏も楽しみました。 若々しくも誠実な音楽造りが気持ちよかったです。 皆さんお疲れさまでした。