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オーケストラ・アンサンブル京都 第5回定期演奏会

明るい雰囲気のいい演奏会戻る


オーケストラ・アンサンブル京都 第5回定期演奏会
2006年2月5日(日) 14:00  京都府長岡京記念文化会館

ドヴォルザーク: 交響曲第9番ホ短調op.95「新世界より」
J.シュトラウスJr.: 喜歌劇「こうもり」序曲
ビゼー: 「カルメン」第1組曲
J.シュトラウスJr.: 美しく青きドナウ

アンコール: ドヴォルザーク: スラヴ舞曲第1番
アンコール: L.アンダーソン: 舞踏会の美女
アンコール: J.シュトラウス: ラデツキー行進曲

指揮:湯浅篤史


ちょっと遅めの「ニューイヤーコンサート」形式での演奏会。
いきなり新世界交響曲で幕を開け、休憩後に「こうもり」序曲、「カルメン」第1組曲、「美しく青きドナウ」というちょっと変わった構成です。 しかもアンコールが3曲もつくという盛り沢山な内容に、ほぼ9割近く埋まっていた客席は大満足でした。
いつもは古典派の演奏をされているそうですが、新年、新たな夢と希望をもって「新世界」を演奏して一年のスタートを切る、とパンフレットに書かれていました。 確かにその言葉どおり、力強い意志を感じさせた演奏でした。 指揮者の湯浅篤史さん、縦振りが基本でぐぃぐぃと曲を進め、しかも要所では両手を下にぐいっと押さえ込むようにして力を漲らせてましたね。 本当に気合十分な新世界の演奏でした。
休憩後の「こうもり」序曲、こちらはゆったりと進めてましたけど、やはり要所では力をこめた演奏で聴き応え充分。 時に大きくルバートをかけて止めたりして、メリハリつけてました。
「カルメン」第1組曲、これまでの演奏と違って瑞々しい響きが特徴的でしたね。 弦楽器が艶やかに鳴って、管楽器も気持ちよかったなぁ。 個人的にはこの演奏が一番気に入りました。 なんたって楽しかったですものね。
「美しく青きドナウ」ってアンコールかな〜と最初は思ってましたけど、これが本プロのラスト。 この演奏も時に大きくテンポを揺らしながらメリハリをつけてました。 最後はゆったりと歌うように纏めて幕。
そしてこのあと、なんと3曲のアンコールも楽しませていただいて、本当に幕となりました。 この間に客席を立つ人はほとんどおらず、音楽を楽しみ暖かい拍手が途切れることなく続きます。 明るい雰囲気のいい演奏会でしたねぇ。 
続々とお客さんが詰め掛け、最終的には客席は9割ほど埋まっていたでしょうか。 子供さんや年配の方も多く、皆さんとともに、気合のこもった演奏を大いに楽しませていただきました。 明るい雰囲気のいい演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

良い天気に誘われるようにオケアン京都の演奏会に出かけることにしました。 家にこもっていても何も起きませんしね。 「オケアン」どこかの演奏会で貰ったチラシにこう書かれていたのを覚えていますけど、実際に演奏会に伺うのはこれが初めてです。 わくわくしますね。

阪急梅田駅からの13:00発の特急に間に合うように家を出て、予定通り長岡天神には13:28着。 梅田まで定期券があるので片道380円、しかも演奏会は無料なんですよね。 このようなアマオケ・コンサートって、休日のお得な過ごし方の一つなんです。

会場前に到着すると、もう列はありませんでしたけど、続々とお客さんが詰め掛けてきている感じです。 僕もそれに続いて入場。 パンフレットを受け取り、階段を昇ってホール後方の扉から入ります。 ぐるっと見渡して、後ろから4列目 25列12番の席を確保しました。 サイドの席は足元が広そうなのが魅力的なんですけどね、まだここは座ったことなく、いつも座るのと同じ辺りの席ですね。

ひとまずトイレに行って準備を整え、席に戻ってパンフレットを読みながら開演を待ちます。 続々とお客さんが入ってきて、7〜8割くらいになった頃(最終的に9割位入ってましたけどね)に定刻。 ステージが明るくなり、メンバーが左右の袖から整列入場します。 弦楽器は 11-9-8-9-4 の通常配置でした。 
全員が揃うとコンミスが登場、客席に一礼して拍手を受けると、オケの中からも軽い足踏みがあって歓迎の挨拶がありました。 ゲスト・コンミスなのですね。

チューニングが完了。 しばし静寂ののち、指揮者の湯浅さんが舞台袖を出て客席に軽く会釈をしてから、軽い足取りで指揮台へ。 湯浅篤史さんという指揮者の方は初めて聴かせていただきます。 トロンボーンが専門の方でシカゴにも留学されたようで、現在は京都市立音楽高校の先生でもあるそうですね。 第3回の定期演奏会より続けて指揮をされてもいるようです。
 さて、指揮台の上で恭しく礼をされていよいよ始まります。

新世界交響曲、新年、新たな夢と希望をもって「新世界」を演奏して一年のスタートを切る、とパンフレットに書かれていましたけど、その言葉どおりの力強い意志を感じさせた演奏でした。 指揮者の湯浅篤史さん、縦振りが基本でぐぃぐぃと曲を進め、しかも要所をぐいっと押さえ込むように力を漲らせてましたね。 実に気合十分な演奏でした。

第1楽章、湯浅さんが中低弦のほうを向いてゆったりと振り始めますと、柔らかな響きが出てきました。 ホルンもまろやかな響きでアクセント。 このあとの管楽アンサンブルは慎重に合わせての序奏、ここから響きを強くして盛り上がりました。 ティムパニに迫力ありますね。 そしてこのまま最後まで力強い演奏で押し切った、そんな感じでした。
湯浅さん、見ていると縦振りが基本。 ぐぃぐぃとオケを乗せてゆきます。 そして要所では両手を下に押し付けるようにして力を籠めるのが特徴的。 そして溜めた力をまたぐぃっと引き上げて開放、また縦振りでぐぃぐぃ進めるといった感じかな。 あまり粘ることなのない演奏でした。 ただしフィナーレでは、ちょっとタメを作ってたみたい。 これで盛り上げたあと、また下にズンズンと力を押し込んで籠め、最後は押し切るようにしてこの楽章を閉じました。 いきなりの気合の入り方に、ふっ〜と息をつきました。

第2楽章、ほとんど間を置かずに始まりました。 前の楽章の熱気がまだ残っている感じ。 ぐっと盛り上げたあと、しっとりとしたコールアングレによるお馴染みのメロディがいい感じでホール内を流れます。 弦楽器も響きを抑えて付けていますけど、やっぱりどこかに熱気がちょっと残っているみたいやな・・・と思っていたら、金管がぐわっと大きく入り、熱い弦楽アンサンブルになりました。 そしてコールアングレのメロディでしっとりと戻し、熱気を冷まします。 ミュート・ホルンがちょっとフラついたみたいですけど大事ありません。 コントラバスのピチカート、4人なんですけど雄弁でよかったですよね。 弦のアンサンブルや管楽器が満を持したように次々に入ってきて、なんだか演奏してるっていう意気込みを感じる演奏に引き込まれてゆきました。 そして前のプルトのみの演奏の部分、湯浅さんは演奏をちょっと長めに止めます。 そしてこの後はぐいっと大きく引き上げるようにしてから、最後はゆったりと纏めました。

第3楽章、すっ〜と入ってきました。 タイトなティムパニの打音、徐々に演奏を盛り上げてゆきますが、ここは少々抑え加減だったようです。 木管の響きが明るく、ゆったりと進めてゆき、大きく振りかぶって一瞬止めたりもしましたけど、基本はインテンポの演奏で淡々と進めていった感じかな。 トライアングルもチャーミングに響かせてました。 主題を戻し、タイトに決めながら進めますけど、ここも終始抑えた感じ。 トランペットが朗々と吹いたあと(いい感じの響きでした)、湯浅さんがすっ〜腕をと伸ばしてオケを止め、この楽章を終了。

第4楽章、その伸ばした腕をからアタッカで力強い開始です。 4人のコントラバスのメンバーが響きを纏めて芯になっています。 ちょっと早めのテンポ設定だったでしょうか、湯浅さんの縦振り、例の下に押し付けるような仕草で、気合を込めて盛り上げてゆきます。
クラリネットが柔らかく吹き、静けさを取り戻しますけど、徐々にまた熱気を漲ぎらせて大きな音楽に。 ティムパニと金管が入ると更に高揚します。 でもテンポをしっかりと維持し、きちんと整った音楽です。 暴走なんかしません。 トロンボーンが艶のある響き、素敵ですねぇ。 トランペットもまたしかり。 ぐいぐいと曲を盛り上げていった最後、すっと引いて残ったトランペットの響き、これを端正に響かせたのを纏めて幕。 
力強い意志を感じさせた熱い演奏でした。

15分間の休憩。 席でパンフレットやホール内などを眺めながら時間を過ごしました。 ニューイヤーコンサートと題されているし、無料の演奏会なので、ベビーカーは無いものの、お子さんが結構来られてますね。 でも皆さんおとなしくていい子でしたよ。

定刻、ステージが明るくなってメンバーが登場。 今回も 11-9-8-9-4 の通常配置ですが、あれっ、色とりどりのチャイナ帽のようなを被った方がいたり、ホルンの方など赤い大きな蝶ネクタイをしてますね。 ちょっと控えめのコスプレって感じが微笑ましい感じです。
さて、チューニングのあと指揮者の湯浅さんがにこやかに出てこられ、一礼もそこそこに演奏が始まりました。

「こうもり」序曲。 力強い開始でしたけど、こちらはゆったりと進めていたようです。 でも、やはり要所では、ぐいっと力をこめた演奏。 また時に大きくルバートをかけてオケを止めたりしてメリハリをつけ、最後はストレートに盛り上げてました。 聴き応え充分な演奏でした。

管楽器メンバーがシフト。 おっと、トランペットの人が大太鼓に移ったみたい。 こんな遣り繰りもアマオケらしいところで、面白いですよね。

「カルメン」第1組曲、これまでの演奏と違って瑞々しい響きが特徴的でした。 弦楽器が艶やかに鳴って、管楽器も気持ちよかったなぁ。 個人的にはこの演奏が一番気に入りました。 何より楽しかったですものね。

「前奏曲」、いきなり艶の乗ったアンサンブル。 厚みも十二分にあって、あっという間に引き込まれました。

「アラゴネーゼ」、こちらも力のある合奏で始まりました。 ピチカートが瑞々しいですね。 オーボエのソロもエキゾティック。 息づいた音楽に雰囲気があります。 滑るような弦楽器、バリバリっと吹く金管も素敵でした。

「間奏曲」、ハープとフルートの美しい合奏。 柔らかな響きがこれまた素敵です。 そしてこれを引き継いだクラリネットもまろやか。 湯浅さん、ここではほとんど動きませんでしたね。 弦のアンサンブルが入って音楽を徐々に大きくし、雰囲気を見事に作り上げ、最後の柔らかなピチカートまで素敵に纏めていました。

「セギリーリャ」、フルートとクラリネットのまろやかな開始。 柔らかな弦のキザミに乗せてオーボエがエキゾティックに吹きます。 そしてトランペットも負けじと甘い響きを聞かせてくれました。 魅惑的音楽ですけど、明るさも感じて楽しみました。

「アルカラの竜騎兵」、のどかなファゴットが優しい響きで歌います。 いいですねぇ。 弦のアンサンブルはチャーミングなのですけどちゃんと響きに芯があります。 そして今度はクラリネットが先の旋律を歌いファゴットが裏で吹きます。 軽やかな木管アンサンブル、巧かったですねぇ。

「闘牛士たち」、湯浅さんが大きく振りかぶってオケを整え、力の入った音楽です。 大太鼓の太い響き。 インテンポでよく揃った演奏には力が漲ってます。 金管のリズムに乗せ、高音弦が歌ってから、大きく強く揃えた着地も見事。 堂々とした音楽で全曲を締めました。

トランペット、フルートの方がシフト。 大太鼓を叩いていた方は本業のトランペットの席に戻って準備完了。

演奏会プログラムの表紙に、最後の曲目として「美しく青きドナウ」が載っているので、アンコールかな〜って最初は思ってましたけど、これが本プロのラスト。 この演奏も時に大きくテンポを揺らしたメリハリをつけた演奏でした。

湯浅さん、ヴァイオリンに向かってふわっと振り始めると、すぐにホルンに向いて柔らかな響きを導き出します。 大きく縦に振って、弦の響きの音量を上げたと思ったら、すっと退きます。 そしてゆったりと歌い始めました。 ちょっと遅めのテンポになると、オケがちょっと戸惑ったような感じでテンポに付いてきたって感じでしたけど、ちょっとタメを作って流れに乗せます。 金管楽器が活き活きと吹いているのが印象的。 旋律を戻し、ゆったりと歌うように纏めて、最後は指揮棒を下から上に跳ね上げるようにして締めました。 

大きな暖かい拍手に包まれていました。 
トランペットの女性ともう一人の女性が慌てて楽屋に下がって、花束を持って登場。 指揮者とコンミスへの花束贈呈係もこなします。 アットホームですね。 そして贈呈後、また席に戻ってアンコールの演奏。
これがなんと3曲も続きましたけど、この間に客席を立つ人はほとんどいないのもまたいいですね。 皆さん音楽を楽しみ、暖かい拍手が途切れることなく続きました。 明るい雰囲気のいい演奏会でした。 ほっこりとした気分になって会場を後にしました。