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枚方フィルハーモニー管弦楽団 第64回定期演奏会

柔らかな木の音色、今回も和みました戻る


枚方フィルハーモニー管弦楽団 第64回定期演奏会
2006年10月22日(日) 14:00  枚方市民会館大ホール

シューベルト: 劇音楽「ロザムンデ」序曲 (*)
モーツァルト: 交響曲第35番「ハフナー」(*)
ドヴォルザーク: 交響曲第6番

(アンコール)ドヴォルザーク: スラヴ舞曲第10番

指揮: 生島 靖、寺坂隆夫(*)


柔らかな木の音色がする枚方フィルの演奏会、今回も和みました。
いつもながらこのオケの演奏は奇をてらうことがなく、オーソドックスながらも常に自分たちの音楽を精一杯演奏されています。 みんなで力を合わせ、ひとつの曲を仕上げているからでしょうね、聴いていたら暖かな気持ちになってくるのが分かりました。
ロザムンデ序曲、冒頭は慎重に音を重ねていて丁寧なのにどこか緩やかなアンサンブルだったのですが、主部に入ると明るく優しい小春日和のようなアンサンブルに変身。 これこれ、これですね。 ここの旋律の裏で支えるチェロとコントラバスによるピチカートが最高でした。 オケ全体の響きが柔らかブレンドされた演奏に気持ちが明るくなりました。
続くモーツァルトのハフナー交響曲。 こちらもオーソドックスで丁寧な演奏なのですが、普通このようなモーツァルトは退屈になってしまうところなのに、ところがどっこい、気持ちの和む演奏でした。 指揮者の寺坂さん、右手でしっかり拍を刻んで、左手を時に手刀のようにして音を切るのですが、それがまた柔らかく流線型のように切れて肌触りがいい。 演奏している皆さんも音楽を楽しんでいるのかしら(必死で演ってらっしゃると思いますが、目くじらたててタテ線合わせようとピリピリしてないみたい)。 もちろん流れが滞ることなどなく、気持ちのほっこりとした演奏でした。
そしてメインのドヴォルザークの交響曲第6番。
指揮者の生島さんは、これまでやった演奏会で一番知名度が低い曲目だとおっしゃってましたが、実は今日はこの曲がお目当て。 好きなんですね、この曲。 今回の演奏では特に第1楽章が素晴らしかったのではないかしら。 冒頭の軽やかなホルン、そして弦の分奏をしっかりと決め、管楽器・打楽器ともに突出することなく、全員一丸となっての演奏。 ヴァイオリン奏者の方が譜面をバサッとめくる音にも気合を感じました。 そして全体として特筆したいのはホルン軍団。 ソロも見事でしたけど軽くバリバリっと吹き鳴らした斉奏、全体の響きにもよくマッチしてました。 またこのホルンに限らず、全員で一つの音楽を創りあげているところがとても魅力的でした。 枚方フィルらしい演奏を最後まで堪能しました。
多少のミスや、アンサンブルが緩んだり、無防備な全奏などもありましたけれど、いずれの曲においても演奏後には爽やかな気持ちになり、このところの少々ささくれだった気持ちがどんどんと和んでゆきました。 秋らしい味わいのある演奏会、元気を頂きました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

このところ残業に休日出勤も続き、0時を廻って帰宅することも多くなっています。 前日に続いて演奏会当日もまた休日出勤をしましたが、昼に職場を抜け出して枚方市民会館に向かいました。 たまには楽しみがないとね。

開演15分ほど前に到着。 2階席はまだ締め切られていたので、1階席の隅に座ってまずは休憩。 すると、さっきまで玄関に立ってお客さまのお出迎えをされていた指揮者の生島さんがホールの中を覗いてお客さんの入り具合を確かめておられる様子。 これは2階席が開くな、と思ったらドンピシャ。 さっそく2階席に移動しました。

A-16、最前列なので足を伸ばせて楽ちんです。 ちょっとお行儀悪いけど靴も脱いでリラックス。 1階席は7割以上入っているでしょうか。 皆さん楽しみに来られているのでしょうね、下から熱気が伝わってきます。 2階席は静かですが、活気を感じるホール内でパンフレットを読みながら開演を待ちます。 そして定刻、オケの編成は通常配置で 11-11-7-8-4 でしょうか。 コンマスが出てこられてチューニングを実施して準備完了。 指揮者の寺坂さんが登場されて始まります。

ロザムンデ序曲、ふわっとした音がホールに広がってゆく開始。 柔らかく響かせ、丁寧に音を重ねてゆきますが、どことなく緩やかなアンサンブルが続きます。 これを寺坂さんが左手をぐっと握って纏め、主部に突入。 ここから明るく優しい小春日和のようなアンサンブルに豹変。 これこれ、これですね。 この旋律の裏で支えるチェロとコントラバスによるピチカートが心地よくってもう最高。 木管アンサンブルも柔らかく落ち着いた響き、金管も抑制を巧くかけてます。 ホルンの斉奏が軽くバリバリッて感じで吹くのですが、ちゃんとこれも全体の響きのなかに綺麗に収まって見事。 主題を戻し、心地よいピチカートをまた楽しんでから、最後はブレンドされたオケの響きによるファンファーレを大きく決めておしまい。 気持ちが明るくなる演奏でした。

管楽器メンバーが抜けますが、弦楽器の編成はそのまま。 準備が整うとコンマスがチューニングを行い、そして寺坂さんの登場で始まります。

モーツァルトのハフナー交響曲。 こちらもオーソドックスで丁寧な演奏なのですが、普通このようなモーツァルトは退屈になってしまうところなのに、ところがどっこい、気持ちの和む演奏でした。 指揮者の寺坂さん、右手でしっかり拍を刻んで、左手を時に手刀のようにして音を切るのですが、それがまた柔らかく流線型のように切れて肌触りがいい。 演奏している皆さんも音楽を楽しんでいるのかしら(必死で演ってらっしゃると思いますが、目くじらたててタテ線合わせようとピリピリしてないみたい)。 もちろん流れが滞ることなどなく、気持ちのほっこりとした演奏でした。

第1楽章、重厚な響きによる開始。 ティムパニの音も重い打音です。 丁寧ながらも流れがありモーツァルトらしさを失ってません。 主としてヴァイオリンが推進力を持ち、曲を進めてゆく感じですが、中低弦やファゴットも健闘しています。 やや噛んで含めるような感じもしないではありませんが、これは誠実さなのですね。 ちょっと遅いテンポでの木管アンサンブル、そして弦楽器が入って推進力を増してこの楽章をきちんと纏めました。 纏まった演奏に拍手も沸き起こりました。

第2楽章、ここもゆっくりと丁寧で柔らかく始めましたが、ちょっとアンサンブルが緩い感じかな。 でもね、ほのぼのとした木管の響き、第2ヴァイオリンの旋律に第1ヴァイオリンがキザミを入れる部分など可愛らしくもあって味のある演奏ですね。 寺坂さん、中低弦を向いて響きを増し、左手を手刀にして切れ目をしっかりとつけた曲の運び。 手刀がこれまた柔らかく切れる。 中低弦がしっかりとしているからでしょうか、柔らかくてもなまくらな感じがしない。 これもまた味わい深く感じます。 そして寺坂さんが左手をくるっと回してこの楽章を止めました。

第3楽章、息を合わせ、弾力ある和音による開始。 ここもまたじつにオーソドックス。 丁寧に曲を進めてゆくのですが、不思議と飽きのこない演奏が続きます。 演奏者の皆さんも演奏を楽しんでいらっしゃるのかな、などと思ってみたりもしました。 演奏していて楽しくなければ、聴いている方には楽しさは伝わりませんものね。 最後のふわっとした着地まで、心和む演奏に身を委ねて楽しみました。

第4楽章、寺坂さんが嬉しそうな表情で小さく振って弾力ある響きをオケから導き出します。 これをしだいに大きくし、推進力を持たせて進めます。 ティムパニのロール、ちょっと重い響きながらも軽やかにロールさせてアクセントになってますね。 寺坂さん、メリハリをしっかりとつけて、オケ全体の響きを巧くブレンドし、流れに乗せていって、まるで喜遊曲のような雰囲気を醸し出しました。 これまた聴いてい楽しい気分になる演奏。 そして心軽くなったフィナーレでは大きな拍手を贈らせていただきました。

15分間の休憩、2階席に来たときには数人でしたが、ここも2割近く入ったかな。 小さなお子さん連れの方も多くいらっしゃいます。 家族で気楽に楽しむ演奏会、いいですよね。

定刻、オケの編成は変わりませんがコンミスに交代。 チューニングをして準備が完了すると長身の生島さんが出てこられました。 いよいよメインのドヴォルザークの交響曲第6番。
演奏終了後に生島さんは、これまでの演奏会で一番知名度が低い曲目だとおっしゃってましたが、今日は実はこの曲がお目当て。 好きなんですね、この曲。 昨年、奈良交響楽団の演奏会でも堪能しました、というか、この時の演奏会のための予習で好きになったのですね。 知名度は低いけれどいい曲ですし、なにより枚方フィルのイメージがこの曲のイメージにもダブってみたりもしますがどうでしょう(知名度が低いって言ってないですが、そう思われたらゴメンなさいね)。

さて本題、今回のドヴォルザークの交響曲第6番では、特に第1楽章が素晴らしかったと感じました。 冒頭の軽やかなホルン、そして弦の分奏をしっかりと決め、管楽器・打楽器ともに突出することなく、全員一丸となっての演奏に心奪われました。 ヴァイオリン奏者の方が譜面をバサッとめくる音にも気合を感じましたしね。 全体として特筆したいのはホルン軍団でしょう。 ソロも見事でしたけれど、軽くバリバリっと吹き鳴らした斉奏、全体の響きにもよくマッチしていました。 そしてホルンに限らず、全員で一つの音楽を創りあげているところが、今回もまたとても魅力的な演奏でした。 枚方フィルらしい演奏だったと思います。 最後まで堪能しました。

第1楽章、軽やかなホルン、透明感のある木管、そしてヴァイオリンのキザミ、優しい風情を感じさせる上々の出だしから惹き込まれました。 弦楽器の分奏がきちっと決まっていてとても見事ですね。 金管は抑制をしっかりかけてますし、ティムパニも控えめながらも要所をきちんと決めています。 ヴァイオリンが譜面をバサッとめくる音にも気合を感じました。 長身の生島さん、腰をかがめて響きを抑え、すっと背筋を伸ばして丹念に振ることを繰返しますが、とてもオーソドックスで奇をてらうことのない誠実な演奏を展開。 そしてオケもこれによく応えていました。 この後もそうですが、時には小さな事故があったり、焦点が少々ボケたりもしますが、その都度全員で助け合って2回目はしっかり決めてくる感じ。 最後は、快活なコーダをトランペット、トロンボーン、ホルンの響きで見事にブレンドさせ、張りのある音楽として纏めました。

第2楽章、木管アンサンブルから暖かな響きのホルンのソロ、ほのぼのとした開始です。 生島さん、大きく振って表情を込めながら進めます。 ちょっとバランスが悪いのかな、纏まりの無さも感じましたけど、そこも奏者の皆さんの気持ちでカバーして進みます。 ちょうどこのあたり、席の後ろでお子さんが泣いたりもして、こっちもちょっと集中力切れてました(すみません)。 ヴィオラのアンサンブルが味わい深い響きで入ってきました。 いいですね、この辺りから透明感のあるヴァイオリン、そしてフルートも綺麗な響きが素適に響いて持ち直しました。 フルートは後のソロもまた柔らかで素適でした。 そしてホルン・ソロ、ホルン斉奏でぐっと盛り上がらせて、生島さんもまた軽いハナ息でオケ全体を乗せてから、すっとこの楽章を収めました。

第3楽章、フェイドインするような感じで始まったフリアント。 爽やかでクセが少ない感じかな・・と思っていたらホルン軍団がここでも底力を秘めた響きで入ってきました。 でもしっかりと全体の響きのなかに収まっています。 弦楽器が柔らかな響きです。 全体として、力づくで巻き込もうといった感じではなく、丁寧に歌っているといった感じ。 心なごむような感じですね。 透明感のあるピッコロ、木管アンサンブルが軽やかに歌い上げます。 大きくゆったりと曲を進めてゆき、またフリアントに戻って活気つきますが、ここでもまた丁寧な演奏を繰返して、最後はすぱっと止めました。

第4楽章、ほぼ休みなく演奏開始。 ちょっと散漫な感じもした開始でしたが次第に集中力を増して力強い音楽に。 でも最初の全奏はちょっとわっ〜と音を出した感じだったかな。 このあとちゃんと改善、きちっと修正します。 トロンボーンとチューバにパワーが漲っていました。 そして柔らかな旋律となるのですが、上から見ていることもあるのですが、弦楽器の分奏がしっかりとしているのが見て取れます。 主題が戻り、しっかりとした弦楽アンサンブルに木管、金管も絡んでステップを踏みます。 旋律をきちんと回しているのですが、聴き手を巻き込むような感じもよく出ていたし、ティムパニが要所を決めて見事。 速度を上げ、締まった響きによるコーダもまた誠実な響きとして力強く全曲を締めました。

多少のミスがあっても、アンサンブルが緩んだり、無防備で芯を感じない全奏などもありましたけれど、部分ではなく全体として、とても健やかな気持ちにさせてくれた演奏でした。 枚方フィルらしい柔らかな木の音色、牧歌的な雰囲気などもよく出ていました。 とにかく、このところの激務で少々ささくれだった気持ちをどんどんと和ませていただきました。

そしてアンコールのスラヴ舞曲第10番もまた暖かな気持ちになった演奏で御開き。 そんな気持ちを抱いてホールを出ようとしたら、ロビーには先ほどまで指揮台に立たれていた指揮者の生島さん、そしてコンミスが・・・ 皆さんの暖かなお人柄をうかがえた演奏会、頭が下がる思いです。 とても優しい気持ちになってホールをあとにしました。 皆さんお疲れさまでした。